説明

<audio controls preload="auto"> <source src="clocktowerbell.mp3" type="audio/mpeg" /> </audio> Showa era (A.D. 1312-1317, Kamakura period) Shu urushi nuri "Botan" makie saya, wakizashi koshirae 則重は鎌倉後期の越中国婦負(ねい)郡御服荘(富山市呉羽町)の刀工で、新藤五國光に学んだ相州伝の代表工。則重の個性は、明瞭に入った地景により、肌目が松の木肌を想わせる「松皮肌」と呼ばれる地鉄にある。鍛えに感応して金線や砂流しが現れ、刃縁に沸と匂が敷き詰められた焼刃も、他工に紛れぬ強い個性となっている(注1)。 この脇差は、長寸の太刀を大磨上とし、切り取った銘字を茎に嵌め込んだ額銘。今尚身幅が充分にして鎬筋も高い元来の造り込みが残され、中鋒やや延びた力強い姿。地鉄は板目に杢、刃寄りに流れごころの肌を交えて詰み澄み、躍動的な地景によって奇麗に肌起ち、厚く付いた地沸の粒子が精美に輝き、沸映りも鮮やかに立つ。特別に処方された研ぎによって鎬地が磨き込まれることなく、鎬筋を越えて大きくうねる肌目がよく見え、これが顕著な松皮肌となり、しかもしっとりとした潤い感に包まれている。浅い湾れに互の目を交えた刃文は銀砂のような沸で明るく、太い沸足が入り、刃境に細く長い湯走り、元から先まで金線と砂流しが掛かって幾重にも層をなし、沸で明るい刃中にも働き掛かる。帽子は焼深く、金線と砂流しを伴って激しく掃き掛け、横に展開して浅く返る。茎の額銘も正しく上身の出来と完全に符合する。刀号もしくは切れ味を証する文言であろうか、茎裏の金粉銘(注2)も興味深い。

額銘 則重

額銘 則重

脇差

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仕様

長さ

41.3 cm

反り

0.91 cm

元幅

2.86 cm

先幅

2.11 cm

作者について

Soshu Norishige則重

1 国宝7 重要文化財10 重要美術品30 特別重要刀剣84 重要刀剣

則重は鎌倉時代末期の越中の工で、新藤五国光の門人、行光・正宗とは兄弟弟子として相州伝を完成へ導いた。『古今銘尽』など江戸期の刀剣書は正宗十哲の一人に挙げるが、現存する正和・元応などの年紀や太刀・短刀の姿形からすれば、室町期の刀剣書のいう新藤五国光門下説が妥当で、正宗とは相弟子、あるいはやや先行とみるべきである。 常の作風はその名を負う松皮肌である。板目が大模様に肌立ち、杢を交え、太い地景が頻りに入って松皮の如き肌をなし、地沸厚く、かねは黒みを帯びる。諸書は相州上工中もっとも正宗に近いとしつつ、「正宗以上に沸の変化を露に表現」したものが多いとし、刃中・地鉄ともに「千変万化の沸の働き」をあらわすという。刃文はのたれに互の目を交えた沸出来で、匂口は沈みごころ、金筋・砂流しが烈しく働き、二重刃・湯走りを交える。帽子は単なる小丸ではなく、掃きかけて乱れ込み、時に尖り・焼詰め風となる。 いま一つ、精到で珍重される作風がある。在銘の太刀や前期の在銘短刀では地肌が常ほど肌立たず、整った小板目に締まって地刃ともに穏やかとなり、かねは一段と明るく冴え、地景・金筋は静かである。ある在銘太刀は「常の則重の作に比べて地刃共に穏やか」と評され、小のたれ主調の底に則重特有の渦巻肌と地景を沈めてよく冴える。正和三年紀の在銘短刀は肌立たず明るく、「新藤五国光や行光につながる出来」として前期作とされる。これは松皮肌の崩れではなく、別個の、そして高く評価される一面である。 鑑別の核は二様に共通する。太い地景、沈みごころの匂口、烈しい金筋・砂流し、そして掃きかける帽子である。沈む匂口は明るい備前と分かち、沸の変化の激しさと肌立ちは正宗と分かつ。藤代は最上作に列し、特別重要刀剣の指定数は全工中でも上位に位置する。在銘作は短刀が主で、「太刀は僅かに二口をかぞえるのみである」。名物は豊臣秀吉より徳川綱吉を経て柳沢家へ、ほかに島津・前田・細川・井伊などの諸家を歴とし、国宝・重要文化財として動かぬものも多い。松皮肌は門人為継により越中へ受け継がれた。

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