貞宗

Soshu Sadamune

評価作品88点

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特重巻 3, 番 13 · 脇差

概要

第二十七回特別重要刀剣に指定された名物御堀出貞宗は、徳川家康が伏見で見出したことに名号が由来し、元和二年(一六一六)に家康から前田利常に贈られた享保名物の刀である。その作者貞宗は通称彦四郎、正宗の門人で後に養子になったと伝え(子とする伝もある)、相州正系の二代を継ぎ、鎌倉時代最末期から南北朝時代前期にかけて作刀した。指定書は「確実な在銘の作は皆無」と繰り返し、現存作は悉く無銘で、本阿弥の金象嵌・朱銘・折紙によって極められる。その位置は「正宗と信国の間をつなぐものが貞宗」と、師と弟子の双方から挟んで定められる。

師との分かれ目は質にあり一貫する。「正宗に比較すると総じて穏やかでおっとりした湾れ調の乱れ刃に持味があり」という定型句がほぼ半数の説明に明記され、ある説明は、正宗に比して鍛はややおだやかで、肌がそれほどに立たず、地沸も少なく、金筋・稲妻などの働きがやや乏しく穏やかになると細かく対比する。積極的な見どころは彫物にある。相州随一の彫物の名手で、梵字・素剣・護摩箸・三鈷剣・倶利迦羅が正宗・行光・則重に見られない頻度で施され、「二筋樋は貞宗の得意としたところ」とされて名物二筋樋貞宗の号の刀がある。彫物こそ正宗に見られなかったものであり、「大進坊の流れを汲んで、重ね彫を得意とし、これを弟子の信国に伝えて」と記される。

鍛えは板目に杢を交え、優品では地沸が微塵に厚くつき、地景が細かく頻りに入り、時に肌立ちごころとなる。刃文は浅いのたれに互の目・小互の目・小丁子を交え、足・葉入り、匂口深く、沸厚く明るく冴え、金筋・砂流しがかかり、刃縁にほつれ・湯走りを見せる。帽子は乱れ込みまたは直ぐに小丸、掃きかけて尖りごころとなるものが多い。「相州伝上位作特有の光美しい沸」がその出来の標識として挙げられる。この主流の両極に二つの部類が立つ。「直刃は稀」であり、少数の直刃調の作は浅くのたれごころを帯びて小互の目が間遠に交じり、特別重要の短刀は国宝の名物伏見貞宗を思わせると評される。重要美術品の直刃の短刀について本間順治は、姿と地景、金筋と沸づきの良さから相州伝上々の作と見つつ、「上手な梵字と素剣の彫、及び茎尻の剣形から貞宗と鑑せられる」と談じており、静かな作の極めの拠り所を示す。賑やかな極では互の目が目立ち、処々荒沸を交え、飛焼・湯走りが散って帽子は火焔状に掃きかけ、皆焼ごころに及ぶ作もあるが、「広光・秋広までには至らない」と測られる。

姿は太刀・短刀ともに二様あり、いずれの体配かによって製作年代が読まれる。早い方は鎌倉末の「古調」で、身幅尋常・中鋒の刀と反りのほとんどない小振りの短刀があり、最も小振りの一口は名物太鼓鐘貞宗に共通すると評される。遅い方は現存の主流たる南北朝の大柄な姿で、身幅広く元先の幅差の開かない大磨上無銘の刀と、幅広で寸延び重ね薄い平造の短刀・小脇指があり、後者は多く生ぶ茎である。生ぶの作では茎自体が見どころとなり、舟形で先剣形、鑢目勝手下りの茎は「貞宗の掟通り」と評される。片切刃造も得意とした造込みで、紀州徳川家に伝来し南龍公頼宣の指料と伝える切刃貞宗が著名である。

正宗門中で最もよく師風を継承し、技倆もこれに次ぐとされ、上限では師との境が問われる。池田仲博旧蔵の重要美術品の刀について本間順治は、常の作より刃文に変化があり、火焔帽子と輝く沸を見せるとして「むしろ、正宗と見たいものである」と談じた。下流では穏やかなのたれと彫物がそのまま信国に再現され、相州の彫技は貞宗を経て信国へ渡る。

藤代の格付けは最上作。指定を受けた作は八八口を数え、国宝四口、重要文化財一二口、戦前の重要美術品三口、特別重要刀剣二三口・重要刀剣四六口、上位二指定で六九口に上る。極めには名物が連なる。国宝の四口は、茎に花菱亀甲文を毛彫りする名物亀甲貞宗の刀、貞宗の典型作とされる名物寺沢貞宗の短刀、本阿弥の朱銘のある名物伏見貞宗の短刀、そして「同作中特に華やかな作」とされる名物徳善院貞宗の小脇指である。御堀出のほか、切刃、秀忠から前田利長に贈られた善得院、享保名物牒の氏家、太鼓鐘、二筋樋、そして豊太閤所蔵の大坂御物で大坂夏の陣に焼け、初代康継が再刃して家康遺品として頼宣に与えられた獅子貞宗があり、物吉・石田・国宝伏見貞宗に擬えられる作も記される。伝来は四〇口に記録され、将軍家宣から家継に伝わった指料、元禄十年(一六九七)に綱吉から柳沢吉里へ下賜された刀のほか、尾張・紀州徳川家、前田・伊達・毛利・池田・佐竹・蜂須賀・成瀬・小笠原・鷹司の諸家に及ぶ。蒐集家にとってその大半は手の届かぬところにある。国宝・重要文化財は市場の外の文化財であり、所在の知られるものは東京国立博物館・徳川美術館・三井記念美術館・佐野美術館などに収まる。現実に出会いうるのは特別重要・重要の六九口で、その殆どが本阿弥の極めを拠り所とする大磨上無銘の刀か寸延びの脇指である。かかる一口が市場に現れることは稀で、得意の二筋樋や重ね彫を伴う一口であれば、出色の機会となる。

栄誉

享保名物帳Kyōhō Meibutsu Chō (Catalog of Celebrated Blades)

名物19・焼失3・追記2(計24口)

享保4年(1719年)、本阿弥家が八代将軍徳川吉宗に献上した名物刀剣の台帳。平安〜南北朝の刀剣約274口(現存168口+焼失約80口+追記約26口)を刀工別に収載し、号の由来・寸法・代付・伝来を記す。本栄誉は名物帳に作品が所載される刀工に付与され、詳細欄には刊行集計による口数(正確な場合)または所載名物の号を記す。

歴史的重要度

貞宗の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定

国宝4
重要文化財12
重要美術品3
御物—
特別重要刀剣23
重要刀剣46

名工ランク

鑑定

伝来

刀種

評価作品88点の分布

銘

評価作品88点の銘の種類

系譜

相州派の他の作者

  1. 1.正宗Masamune87指定
  2. 2.義弘Go Yoshihiro53指定
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  4. 4.秋廣Akihiro28指定
  5. 5.則重Norishige2 販売中133指定
  6. 6.廣光Hiromitsu45指定
  7. 7.行光Yukimitsu4 販売中149指定
  8. 8.高木貞宗Takagi Sadamune1 販売中39指定
  9. 9.爲繼Tametsugu2 販売中76指定
  10. 10.國廣Kunihiro16指定
  11. 11.大進房Daishinbo3指定
  12. 12.國綱Kunitsuna1指定

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