雲龍図鐔 連英彫 友鶴 -Ren’ei hori, Tomozuru- 縦79.5ミリ 横75.0ミリ 切羽台厚2.4ミリ 耳厚3.8ミリ 重さ102グラム 江戸後期 The late Edo period 附属 桐箱・保存刀装具鑑定書 友鶴は因幡国鳥取に住して江戸後期に活動した金工で、連英は小谷氏を称し、青年時代に江戸へ出て柳川直連の門に学んだ後、因幡国鳥取に住して幕末期に活躍しました。 本作には「連英彫」「友鶴」と銘が刻まれており、友鶴が地鉄を鍛え、柳川派の彫技を修めた連英が彫刻を担当した合作であることがうかがえ、同じ因幡国に住した二人の親交と金工としての交流を伝える貴重な作例といえます。 龍は水や雲を支配して天へ昇る霊獣とされ、強大な力と飛躍、守護を象徴する吉祥の意匠として、古くから武家の調度や刀装具に好んで用いられてきました。 本図では湧き立つ雲の中を一匹の龍が自在に巡り、鐔の表裏を一つの画面として生かした雄大な天空の情景を描き出しています。 本作は竪丸形の鉄磨地に両櫃孔を開け、片切毛彫によって一匹の龍と渦巻く雲気を表裏にわたり彫り表しており、表に姿を現した龍が雲間へ身を隠しながら裏へ回り込むように構成され、鐔面を縫うように巡る龍身が視線を自然に表から裏へと導きます。 友鶴が鍛えた鉄地は端正で落ち着いた黒褐色を呈し、その地を舞台として連英が片切毛彫の線に巧みな強弱と深浅を与え、鋭い眼差しを見せる龍の顔、細やかな鱗や鬣、柔らかく渦を巻く雲の動きを彫り分けることで、鉄地一色の抑制された仕立ての中に奥行きと躍動感を生み出しており、因幡金工二人の技と交流を一枚の中に味わえる合作です。











町彫 · Edo
現在57点販売中
柳川派は、江戸中期に興った町彫の一派であり、横谷家の門流に連なることから、審査説明においても「横谷門下柳川派」と一貫して位置づけられている。家祖柳川直政(元禄五年・一六九二〜宝暦七年・一七五七)は、吉岡因幡介および横谷宗珉に学び、江戸お玉ヶ池に住して一家を成した。直政は実子に恵まれなかったため門人の育成に心血を注ぎ、歴代当主は「直」の一字を継承している。二代直光ののち、直故の実子にして家祖直政の嫡孫にあたる直春は、生後まもなく父が急逝したため直光の後援指導を受けて修行し、寛政年間に直光が隠居すると柳川家三代目の家督を相続した。直春は実子の直連や河野春明らを輩出し、江戸の彫金界を盛り上げていった。 その作風は、横谷伝来の技法体系を基幹とする。すなわち赤銅魚子地に高彫(多くは据文)を施し、金・銀・四分一等の象嵌色絵を加える彫法を本領とし、片切彫にも優れた。作品は小柄・笄・縁頭・目貫・鐔を中心に、獅子牡丹・虎・唐人物などの古典的画題や福禄寿等の人物図を得意としている。なかでも直春の「以宗珉図」と銘した福禄寿図縁頭は、「高低差の大きい高彫象嵌色絵は実に見事で、宗珉に肉薄した出来映え」[[c:2]]と評され、的確に配置されて施された象嵌や色絵とあいまって、宗珉様式を規範として堅持した同派の姿勢を如実に物語っている。また師の名から一字を授かって名乗りとする師弟相伝の慣行も同派の特色であり、加藤直常や石黒政常らの銘にその跡をたどることができる。 柳川派の意義は、自派の作域にとどまらず、江戸後期の金工諸派を生み出した母体としての役割にある。柳川派の加藤直常に学んだ石黒政常は、直政の「政」と直常の「常」の各一字を組み合わせて政常と名乗り、「柳川家の作風を脱し、花鳥図に工夫を凝らし独自の作風を確立」して石黒家を興した。同家は明治まで代々栄え、その門下には双璧と称された政美・政明をはじめ、是常・政英・政広など多くの上手が名を連ねている。また柳川直光に師事した菊岡光行(寛延三年・一七五〇生)は菊岡派の創始者となり、「精巧堅実な彫法に定評がある」と称された。さらに直春門の河野春明の系流は、「師春明の作風をよく受け継いでいる」[[c:3]]と評される大石明親らを通じて幕末にまで及んだ。かくして柳川派は、赤銅魚子地高彫色絵に代表される横谷風の彫技を江戸金工界に広く伝播させた要枢の存在として、刀装具史上に確固たる位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥297,000
雲龍図鐔 連英彫 友鶴 -Ren’ei hori, Tomozuru- 縦79.5ミリ 横75.0ミリ 切羽台厚2.4ミリ 耳厚3.8ミリ 重さ102グラム 江戸後期 The late Edo period 附属 桐箱・保存刀装具鑑定書 友鶴は因幡国鳥取に住して江戸後期に活動した金工で、連英は小谷氏を称し、青年時代に江戸へ出て柳川直連の門に学んだ後、因幡国鳥取に住して幕末期に活躍しました。 本作には「連英彫」「友鶴」と銘が刻まれており、友鶴が地鉄を鍛え、柳川派の彫技を修めた連英が彫刻を担当した合作であることがうかがえ、同じ因幡国に住した二人の親交と金工としての交流を伝える貴重な作例といえます。 龍は水や雲を支配して天へ昇る霊獣とされ、強大な力と飛躍、守護を象徴する吉祥の意匠として、古くから武家の調度や刀装具に好んで用いられてきました。 本図では湧き立つ雲の中を一匹の龍が自在に巡り、鐔の表裏を一つの画面として生かした雄大な天空の情景を描き出しています。 本作は竪丸形の鉄磨地に両櫃孔を開け、片切毛彫によって一匹の龍と渦巻く雲気を表裏にわたり彫り表しており、表に姿を現した龍が雲間へ身を隠しながら裏へ回り込むように構成され、鐔面を縫うように巡る龍身が視線を自然に表から裏へと導きます。 友鶴が鍛えた鉄地は端正で落ち着いた黒褐色を呈し、その地を舞台として連英が片切毛彫の線に巧みな強弱と深浅を与え、鋭い眼差しを見せる龍の顔、細やかな鱗や鬣、柔らかく渦を巻く雲の動きを彫り分けることで、鉄地一色の抑制された仕立ての中に奥行きと躍動感を生み出しており、因幡金工二人の技と交流を一枚の中に味わえる合作です。











町彫 · Edo
現在57点販売中
柳川派は、江戸中期に興った町彫の一派であり、横谷家の門流に連なることから、審査説明においても「横谷門下柳川派」と一貫して位置づけられている。家祖柳川直政(元禄五年・一六九二〜宝暦七年・一七五七)は、吉岡因幡介および横谷宗珉に学び、江戸お玉ヶ池に住して一家を成した。直政は実子に恵まれなかったため門人の育成に心血を注ぎ、歴代当主は「直」の一字を継承している。二代直光ののち、直故の実子にして家祖直政の嫡孫にあたる直春は、生後まもなく父が急逝したため直光の後援指導を受けて修行し、寛政年間に直光が隠居すると柳川家三代目の家督を相続した。直春は実子の直連や河野春明らを輩出し、江戸の彫金界を盛り上げていった。 その作風は、横谷伝来の技法体系を基幹とする。すなわち赤銅魚子地に高彫(多くは据文)を施し、金・銀・四分一等の象嵌色絵を加える彫法を本領とし、片切彫にも優れた。作品は小柄・笄・縁頭・目貫・鐔を中心に、獅子牡丹・虎・唐人物などの古典的画題や福禄寿等の人物図を得意としている。なかでも直春の「以宗珉図」と銘した福禄寿図縁頭は、「高低差の大きい高彫象嵌色絵は実に見事で、宗珉に肉薄した出来映え」[[c:2]]と評され、的確に配置されて施された象嵌や色絵とあいまって、宗珉様式を規範として堅持した同派の姿勢を如実に物語っている。また師の名から一字を授かって名乗りとする師弟相伝の慣行も同派の特色であり、加藤直常や石黒政常らの銘にその跡をたどることができる。 柳川派の意義は、自派の作域にとどまらず、江戸後期の金工諸派を生み出した母体としての役割にある。柳川派の加藤直常に学んだ石黒政常は、直政の「政」と直常の「常」の各一字を組み合わせて政常と名乗り、「柳川家の作風を脱し、花鳥図に工夫を凝らし独自の作風を確立」して石黒家を興した。同家は明治まで代々栄え、その門下には双璧と称された政美・政明をはじめ、是常・政英・政広など多くの上手が名を連ねている。また柳川直光に師事した菊岡光行(寛延三年・一七五〇生)は菊岡派の創始者となり、「精巧堅実な彫法に定評がある」と称された。さらに直春門の河野春明の系流は、「師春明の作風をよく受け継いでいる」[[c:3]]と評される大石明親らを通じて幕末にまで及んだ。かくして柳川派は、赤銅魚子地高彫色絵に代表される横谷風の彫技を江戸金工界に広く伝播させた要枢の存在として、刀装具史上に確固たる位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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