二匹犀図小柄 無銘(脇後藤) -Mumei(Waki-Goto)- 長さ97.2ミリ 幅14.1ミリ 重さ30.4グラム 江戸前期 The early Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 後藤家は室町時代に祐乗を祖として発展し、足利将軍家をはじめ、織豊政権から徳川幕府へと続く武家社会において刀装金工の中心的な位置を占めた名門です。宗家から分かれた諸家は脇後藤と総称され、後藤家伝統の赤銅魚子地を基調に、据紋や高彫、金・銀・素銅などの色金を巧みに取り合わせた格調ある作品を制作しました。犀は後藤家に実例の確認できる画題であり、後藤宗家においても二匹の犀を組み合わせた作品が伝わることから、本作の意匠も後藤系金工の伝統に沿ったものと考えられます。17世紀に活躍した後藤宗家七代顕乗の作品も現存しており、後藤家の古典的な家彫様式が江戸前期に継承されていたことが確認できます。 本作は二匹の犀を素銅の据紋によって肉高く表した小柄です。二匹はいずれも左方へ進む姿で配され、先を行く左側の犀が首を後方へ巡らせ、後ろから続く一匹を振り返る瞬間を捉えています。単に二匹を並べるのではなく、先行する犀の振り返る動作によって二頭の間に視線のつながりが生まれ、小さな画面の中に動きと物語性をもたらした巧みな構成です。短く力強い四肢、量感を持たせた胴体、特徴的な角や甲状の皮膚まで簡潔ながら要所を捉え、随所に施された金色絵が素銅の柔らかな赤味と赤銅魚子地の深い黒を鮮やかに引き立てています。表の抑制された色彩構成に対して裏を哺金とした贅沢な仕立ても、本作の格を高める大きな見どころとなっています。 魚子地を仔細に見ると粒の頂部には長年の使用によると思われる穏やかな擦れが認められ、据紋の犀にも頭部、背、脚など突出した部分を中心として角が取れた自然な摩耗が見られます。この古色と摩耗に加え、魚子地を広く残して中央に主題を凝縮する古様な構成、素銅を主体として金色を要所に効かせる抑制された色彩表現などを総合し、本作は江戸前期頃の作と見立てられ、時代感豊かな脇後藤の佳品です。




後藤派
江戸
無銘
保存 (NBTHK)
家彫 · 山城
現在325点販売中
後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」[[c:1]]を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」[[c:2]]「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」[[c:3]]と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」[[c:4]]と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥275,000
二匹犀図小柄 無銘(脇後藤) -Mumei(Waki-Goto)- 長さ97.2ミリ 幅14.1ミリ 重さ30.4グラム 江戸前期 The early Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 後藤家は室町時代に祐乗を祖として発展し、足利将軍家をはじめ、織豊政権から徳川幕府へと続く武家社会において刀装金工の中心的な位置を占めた名門です。宗家から分かれた諸家は脇後藤と総称され、後藤家伝統の赤銅魚子地を基調に、据紋や高彫、金・銀・素銅などの色金を巧みに取り合わせた格調ある作品を制作しました。犀は後藤家に実例の確認できる画題であり、後藤宗家においても二匹の犀を組み合わせた作品が伝わることから、本作の意匠も後藤系金工の伝統に沿ったものと考えられます。17世紀に活躍した後藤宗家七代顕乗の作品も現存しており、後藤家の古典的な家彫様式が江戸前期に継承されていたことが確認できます。 本作は二匹の犀を素銅の据紋によって肉高く表した小柄です。二匹はいずれも左方へ進む姿で配され、先を行く左側の犀が首を後方へ巡らせ、後ろから続く一匹を振り返る瞬間を捉えています。単に二匹を並べるのではなく、先行する犀の振り返る動作によって二頭の間に視線のつながりが生まれ、小さな画面の中に動きと物語性をもたらした巧みな構成です。短く力強い四肢、量感を持たせた胴体、特徴的な角や甲状の皮膚まで簡潔ながら要所を捉え、随所に施された金色絵が素銅の柔らかな赤味と赤銅魚子地の深い黒を鮮やかに引き立てています。表の抑制された色彩構成に対して裏を哺金とした贅沢な仕立ても、本作の格を高める大きな見どころとなっています。 魚子地を仔細に見ると粒の頂部には長年の使用によると思われる穏やかな擦れが認められ、据紋の犀にも頭部、背、脚など突出した部分を中心として角が取れた自然な摩耗が見られます。この古色と摩耗に加え、魚子地を広く残して中央に主題を凝縮する古様な構成、素銅を主体として金色を要所に効かせる抑制された色彩表現などを総合し、本作は江戸前期頃の作と見立てられ、時代感豊かな脇後藤の佳品です。




後藤派
江戸
無銘
保存 (NBTHK)
家彫 · 山城
現在325点販売中
後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」[[c:1]]を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」[[c:2]]「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」[[c:3]]と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」[[c:4]]と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
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