釣狐透鐔 干英子野村包教製 江州彦根住 -Kaneishi Nomura Kanetsune Gōshū Hikone Jū- 縦72.3ミリ 横68.95ミリ 切羽台厚5.0ミリ 重量100.0グラム 江戸中期(享保頃) Mid Edo period (around the Kyōhō era) 附属 特別保存刀装具鑑定書、桐箱 野村包教(鑑定書では「包敦」と記載)は、三郎次あるいは三郎兵衛と称し、干英子と号した近江国彦根の刀装具師です。江戸に住したとも伝えられますが、現存する作品はいずれも「江州彦根住」の地名を銘文に添えています。作風は藻柄子一派と同趣で、同派の有力な分派として知られ、生没年は未詳ですが、「享保九甲辰鶯時」と年紀を刻した作品が確認されており、その頃を中心に活躍したことが窺えます。高肉彫と象嵌・色絵を巧みに駆使した精緻な人物表現を得意とし、野村家一門を代表する名工として高く評価されています。 狂言「釣狐」は、室町時代以来伝わる代表的な狂言の演目で、人々を化かしてきた老狐を猟師が罠で捕らえようとする物語です。狐は人間に化けて様子を窺いながら罠へ近づき、猟師との緊迫した駆け引きが見どころとなっています。 本作は、その情景を高肉彫透によって見事に表した優品です。表には二人の猟師が配され、一人は左手で棒を後手に持ち、もう一人は身を屈めて罠を仕掛けています。その左には、笠を被り肩に棒を担い、人に化けた狐が表され、狐の顔貌や髭まで精緻に彫り分けられています。上部には老松、柴垣、建物、蔓を配し、さらに霞がかった雲間から半ば姿を現す月を表すことで、夜の静寂と物語の緊張感を巧みに演出しています。 高肉彫による立体感に富んだ人物表現、細部まで行き届いた毛彫、金・銀・赤銅・素銅による象嵌と色絵はいずれも見応えがあり、保存状態も頗る良好です。物語性と卓越した彫技とが高い次元で融合した、包教の優れた作域を示す一作であり、特別保存刀装具鑑定書を備えた資料性・美術性ともに優れ、包教代表作の一つに数えられる名品中の名品といえるでしょう。
在銘 · 江戸












包教
江戸
近江
在銘
特別保存 (NBTHK)
金工 · 近江 · 江戸
現在3点販売中
野村包教は、三郎次、または三郎兵衛といい、干英子と号す。近江国彦根の出身で江戸に住したと言われているが、「江戸住」と銘した作は無く、いずれも「江州彦根住」という地名を銘文に添えている。師については、江州彦根中藪住人で藻柄子宗典の弟子であるとする説がある。作風は藻柄子一派と同趣で、同派の有力な分派であるとされ、宗典門第一の上手と評される。生没年は未詳であるが、「享保九甲辰」と年紀のある作品が確認されており、ほぼその活躍期を窺い知ることが出来る。彦根に於いて同時期に活躍した秀典銘・宗典銘といった藻柄子初期の傑作を髣髴とさせる作風を示す。
包教の作風は、鉄地、赤銅魚子地などを用い、高彫、色絵、象嵌色絵などの技法を駆使する。題材は故事や物語に取材したものが多く、源氏物語の「明石」や『小督』の物語を題材とした作例が見られる。大胆な構成力と繊細な色がね象嵌を特徴とし、画面を広く使い物語を演出する。彫口はおおらかでゆったりとしており、観る者を幽玄の世界に誘うと評される。耳には金覆輪を施した作が多い。
包教の作品は、師である宗典の傑作に勝るとも劣らない出来と評され、同工屈指の一作、野村包教の白眉と見られる一枚と評されるなど、高く評価されている。藻柄子一派の作風を継承しつつも、独自の意匠や技法を加え、同派の有力な分派として独自の地位を確立した。鐔の他には縁頭の作を多く見る。
包教の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
金工 · 近江
現在30点販売中
彦根派は、近江国彦根に興った刀装具の一流派であり、その彫法は世に彦根彫の名をもって知られる。開祖は藻柄子入道宗典で、『装剣奇賞』によれば元来は京都の出身と伝えられ、後に江州彦根に移住して彦根彫の祖となったという。彦根御家中川北氏の抱え工となり、氏を喜多川(喜多河)と改め、初銘を秀典と称した。同名二代があるといい、現存する行年紀作などから初代は承応元年に生まれたことが知られ、その活躍期は江戸時代前期から中期にかけてである。美濃彫の流れを汲むとも伝えられ、作風に後藤風、美濃風が見られるとする見解もある。宗典の門からは野村包教をはじめとする有力な作者が輩出し、包教は宗典門第一の上手と称され、同派の有力な分派として独自の地位を確立した。 作風は、鉄地または赤銅魚子地を用い、鋤出高彫に金・銀・赤銅・素銅などの各種の色金を駆使した象嵌色絵をもって飾るものが多い。たっぷりとした地の表裏画面一杯に主題を肉置き豊かな高彫で表し、各種の色金にかつ金の種類をも複数使用して、壮大な画面に仕立てる点に大きな特色がある。題材は武者、竹林の七賢、花鳥、藻貝尽くし、唐人物、群仙図、十二支など多岐にわたり、また『源氏物語』の「明石」や『小督』の物語に取材した作例も見られる。賑やかに華やかに展開する様はまさに宗典の真骨頂であり、その彫口はおおらかでゆったりとしており、観る者を幽玄の世界に誘うと評される。包教もまた、大胆な構成力と繊細な色がね象嵌をもって画面を広く使い物語を演出し、師の作風を継承しつつ独自の魅力を加えた。 彦根派の作は、その濃密な彫法によって名を馳せ、宗典は代表工として多くの鐔好きを魅了した。ともすれば賑々しい鐔は行き過ぎの感を否めないこともあるが、宗典の手にかかると不思議と行き過ぎ感がないばかりか、品格をも兼ね備えた豪華な優鐔となる。包教の作もまた、師である宗典の傑作に勝るとも劣らない出来と評され、その白眉と見られる一枚も伝えられている。一方、宗典の名はあまりにも有名であったために、後代の彦根彫の作品に宗典の刻銘が多用され、土産物といわれる粗悪な作品にまで刻銘されているのが現実である。それゆえ真作においては、賑々しい作柄に品格を兼ね備えた豪華な優鐔が多く、行年銘が貴重であり、保存状態が良いことも好ましい評価の点とされる。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
釣狐透鐔 干英子野村包教製 江州彦根住 -Kaneishi Nomura Kanetsune Gōshū Hikone Jū- 縦72.3ミリ 横68.95ミリ 切羽台厚5.0ミリ 重量100.0グラム 江戸中期(享保頃) Mid Edo period (around the Kyōhō era) 附属 特別保存刀装具鑑定書、桐箱 野村包教(鑑定書では「包敦」と記載)は、三郎次あるいは三郎兵衛と称し、干英子と号した近江国彦根の刀装具師です。江戸に住したとも伝えられますが、現存する作品はいずれも「江州彦根住」の地名を銘文に添えています。作風は藻柄子一派と同趣で、同派の有力な分派として知られ、生没年は未詳ですが、「享保九甲辰鶯時」と年紀を刻した作品が確認されており、その頃を中心に活躍したことが窺えます。高肉彫と象嵌・色絵を巧みに駆使した精緻な人物表現を得意とし、野村家一門を代表する名工として高く評価されています。 狂言「釣狐」は、室町時代以来伝わる代表的な狂言の演目で、人々を化かしてきた老狐を猟師が罠で捕らえようとする物語です。狐は人間に化けて様子を窺いながら罠へ近づき、猟師との緊迫した駆け引きが見どころとなっています。 本作は、その情景を高肉彫透によって見事に表した優品です。表には二人の猟師が配され、一人は左手で棒を後手に持ち、もう一人は身を屈めて罠を仕掛けています。その左には、笠を被り肩に棒を担い、人に化けた狐が表され、狐の顔貌や髭まで精緻に彫り分けられています。上部には老松、柴垣、建物、蔓を配し、さらに霞がかった雲間から半ば姿を現す月を表すことで、夜の静寂と物語の緊張感を巧みに演出しています。 高肉彫による立体感に富んだ人物表現、細部まで行き届いた毛彫、金・銀・赤銅・素銅による象嵌と色絵はいずれも見応えがあり、保存状態も頗る良好です。物語性と卓越した彫技とが高い次元で融合した、包教の優れた作域を示す一作であり、特別保存刀装具鑑定書を備えた資料性・美術性ともに優れ、包教代表作の一つに数えられる名品中の名品といえるでしょう。
在銘 · 江戸












包教
江戸
近江
在銘
特別保存 (NBTHK)
金工 · 近江 · 江戸
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野村包教は、三郎次、または三郎兵衛といい、干英子と号す。近江国彦根の出身で江戸に住したと言われているが、「江戸住」と銘した作は無く、いずれも「江州彦根住」という地名を銘文に添えている。師については、江州彦根中藪住人で藻柄子宗典の弟子であるとする説がある。作風は藻柄子一派と同趣で、同派の有力な分派であるとされ、宗典門第一の上手と評される。生没年は未詳であるが、「享保九甲辰」と年紀のある作品が確認されており、ほぼその活躍期を窺い知ることが出来る。彦根に於いて同時期に活躍した秀典銘・宗典銘といった藻柄子初期の傑作を髣髴とさせる作風を示す。
包教の作風は、鉄地、赤銅魚子地などを用い、高彫、色絵、象嵌色絵などの技法を駆使する。題材は故事や物語に取材したものが多く、源氏物語の「明石」や『小督』の物語を題材とした作例が見られる。大胆な構成力と繊細な色がね象嵌を特徴とし、画面を広く使い物語を演出する。彫口はおおらかでゆったりとしており、観る者を幽玄の世界に誘うと評される。耳には金覆輪を施した作が多い。
包教の作品は、師である宗典の傑作に勝るとも劣らない出来と評され、同工屈指の一作、野村包教の白眉と見られる一枚と評されるなど、高く評価されている。藻柄子一派の作風を継承しつつも、独自の意匠や技法を加え、同派の有力な分派として独自の地位を確立した。鐔の他には縁頭の作を多く見る。
包教の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
金工 · 近江
現在30点販売中
彦根派は、近江国彦根に興った刀装具の一流派であり、その彫法は世に彦根彫の名をもって知られる。開祖は藻柄子入道宗典で、『装剣奇賞』によれば元来は京都の出身と伝えられ、後に江州彦根に移住して彦根彫の祖となったという。彦根御家中川北氏の抱え工となり、氏を喜多川(喜多河)と改め、初銘を秀典と称した。同名二代があるといい、現存する行年紀作などから初代は承応元年に生まれたことが知られ、その活躍期は江戸時代前期から中期にかけてである。美濃彫の流れを汲むとも伝えられ、作風に後藤風、美濃風が見られるとする見解もある。宗典の門からは野村包教をはじめとする有力な作者が輩出し、包教は宗典門第一の上手と称され、同派の有力な分派として独自の地位を確立した。 作風は、鉄地または赤銅魚子地を用い、鋤出高彫に金・銀・赤銅・素銅などの各種の色金を駆使した象嵌色絵をもって飾るものが多い。たっぷりとした地の表裏画面一杯に主題を肉置き豊かな高彫で表し、各種の色金にかつ金の種類をも複数使用して、壮大な画面に仕立てる点に大きな特色がある。題材は武者、竹林の七賢、花鳥、藻貝尽くし、唐人物、群仙図、十二支など多岐にわたり、また『源氏物語』の「明石」や『小督』の物語に取材した作例も見られる。賑やかに華やかに展開する様はまさに宗典の真骨頂であり、その彫口はおおらかでゆったりとしており、観る者を幽玄の世界に誘うと評される。包教もまた、大胆な構成力と繊細な色がね象嵌をもって画面を広く使い物語を演出し、師の作風を継承しつつ独自の魅力を加えた。 彦根派の作は、その濃密な彫法によって名を馳せ、宗典は代表工として多くの鐔好きを魅了した。ともすれば賑々しい鐔は行き過ぎの感を否めないこともあるが、宗典の手にかかると不思議と行き過ぎ感がないばかりか、品格をも兼ね備えた豪華な優鐔となる。包教の作もまた、師である宗典の傑作に勝るとも劣らない出来と評され、その白眉と見られる一枚も伝えられている。一方、宗典の名はあまりにも有名であったために、後代の彦根彫の作品に宗典の刻銘が多用され、土産物といわれる粗悪な作品にまで刻銘されているのが現実である。それゆえ真作においては、賑々しい作柄に品格を兼ね備えた豪華な優鐔が多く、行年銘が貴重であり、保存状態が良いことも好ましい評価の点とされる。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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