宗典

Kitagawa Soten I

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重要巻 60, 番 162 · 鍔

概要

近江八景を表裏に高彫色絵にし、種々の色金を用いた鐔の銘は、作者が彦根中籔に住したことを明らかにする。作者は藻柄子宗典で、説明書は彦根彫の祖、その代表工とする。『装剣奇賞』によれば元来は京都の出身で、後に江州彦根に住し、彦根御家中川北氏の抱え工となって氏を喜多川と改め、初銘を秀典と称したといい、通称を善五郎という。「同名二代あるといい」、現存する行年紀作等から初代は承応元年(1652年)に生まれ、江戸時代前期から中期にかけて活躍したことがわかる。

その修業は定かでない。説明書の一つは『金工総覧』を引いて「後藤弟子北河秀典製」と銘した作があるとしながら、「宗典の作には特に後藤家に学んだと見られる大きな特色はない」と付け加える。他の説明は宗典を「美濃彫より出た彦根彫の代表工であり」とし、良作には後藤・美濃の風が見られるとし、赤銅地の一枚を同工の美濃風を最もよくあらわしたものとする。

その芸はなにより最も多用する鉄地の鐔にあり、たっぷりとした地の表裏一杯に人物を肉置き豊かな高彫で表す。画題は宗典の鉄地に最も多い武者図のほか、仙人、清雅な遊びに興ずる高士、近江八景などで、各種色金の象嵌色絵を施し、金の種類をも複数使い分ける。百花繚乱の中の高士の鐔について、説明書は「その彫口は、実におおらかでゆったりとしており、観る者を幽玄の世界に誘ってくれる」とする。近江八景の鐔は率直に評され、「雅味に乏しい憾はあるが、力感に溢れている」とされる。

説明書は繰り返し、宗典の傑作は一派の透しの作にはないとする。彦根の鐔は武者や竹林の七賢などの透彫が多いが、透しのない高彫象嵌色絵の作に傑作が多い。波に鶴、裏に千鳥を配した赤銅の真丸形鐔について、説明書は「無透の板鐔には比較的優秀作がある」とする。赤銅魚子地では画面全体に濃密な画題を配し、藻貝図では一つの貝を金と銀に半分ずつ色絵し、十二支図では複数の金を使い分ける。

その賑々しい作柄を説明書は宗典の真骨頂とし、「賑やかに華やかに展開する様はまさに宗典の真骨頂であり」と記す。賑々しい鐔は行き過ぎの感も否めないことがあるが、「宗典の手にかかると不思議と行き過ぎ感がないばかりか、品格をも兼ね備えた豪華な優鐔となるのである」という。

記録に残る十枚はいずれも重要刀装具の鐔で、後年の指定のうち二枚は行年銘をもち、説明書はこれを貴重とする。また名があまりにも有名であったために後代の彦根彫の作品に宗典の刻銘が多用され、土産物といわれる粗悪な作品にも刻銘されていると注意する。自身銘をもち濃密な高彫を備えた一枚こそ蒐集家の求めるもので、市場に現れるのは時折のことである。

歴史的重要度

宗典の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定

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御物—
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