説明

粟田口国吉の特別重要刀剣、鎌倉中後期作、大磨り上げながら、二尺六寸二分強の豪壮な姿、重要文化財級と認められた同工典型作及び最高傑作です。 粟田口派は、鎌倉初期、山城国に於いて三条、五条派に次いで興り、京物の名声をより一層高めた刀工群で、その流派名は、京の都と七道(東海道、東山道、北陸道、山陽道、山陰道、南海道、西海道)を結ぶ街道の入り口に設置された関所、いわゆる『京の七口』の一つとされる粟田口(現京都市東区粟田口)付近で鍛刀したことに由来しています。 世上、『粟田口=名刀の代名詞』であり、名だたる名工を多数輩出していますが、中々現存作を見ません。初祖は国家とされますが、現存作は皆無、その子に国友、久国、国安、国清、有国、国綱の六人兄弟がおり、鎌倉初期から前期頃に掛けて活躍、同派から、国友、久国、国安が『後鳥羽院番鍛冶』選出されていることも、一派の名声を更に一段と高めています。また末弟の国綱は、後に北条時頼の招きにより鎌倉へ移り、備前福岡一文字助真、備前三郎国宗と共に相州鍛冶の草分けとなりました。 六人兄弟の次の世代では、国友の子に則国、則国の子に国吉、国吉の子或いは門人に藤四郎吉光などがいます。 本作は、大磨り上げ無銘ながら、『伝粟田口国吉』と極められた優品、第四十回重要刀剣(平成六年)(一九九四)で、第十五回特別重要刀剣(平成十年)(一九九八)に指定された同工極めの白眉と名高い名品です。 寸法二尺六寸二分強、切っ先猪首風に詰まり、身幅広く、重ね厚く、樋が入っていながら、刀が現代刀のように重く、天正磨り上げの茎仕立ても完璧です。 国吉は、前述したように、則国の子、粟田口六兄弟の長兄国友の孫に当たり、藤四郎吉光の父とも師とも伝わる名工です。 現存作の大半は二字銘ですが、重要文化財指定の『名物鳴狐(なきぎつね)』などは、平造り打刀で、『左兵衛尉藤原国吉』と切られており、左兵衛尉に任じられていたことが分かっています。 年紀作に見る活躍期は、建治(一二七五~七八)、弘安(一二七八~八八)頃で、太刀は少なく、短刀を得意とし、剣も数口あります。 作風は、地は、小板目が良く練られ、細かな地沸が良く付いて美しく、刃は、直刃調に小乱れ、小互の目を交えて良く沸付いた出来を基本とします。中でも特徴的なのは、刃に沿って二重刃が点続して掛かるところで、特に上半に著しく、帽子にも同様に見られます。この様子を古伝書『解粉記(けふんき)』では、『手癖にたぶん二重刃ありて、炮物(ほうじもの=火であぶったもの)のように地に銀浮くことも多し。』と記しています。 板目肌が良く練られた地鉄は、杢目、流れ肌を交えて上品に肌立ち、地斑状の映り立ち、直湾れ調で、小乱れ、小丁子、小互の目交じりの刃は、刃縁ほつれ、打ちのけ、細かな飛び焼き掛かり、刃中葉、小足良く入り、金筋、砂流し頻りに掛かり、刃に沿って太い二重刃が断続的に掛かっています。帽子は、裏は刃縁に沿って沸の喰下がりが見られます。 図譜には、『この刀は、大磨り上げ無銘ながら、身幅広く、重ね厚い雄渾な鎌倉中期の典型的な体配を示し、地刃には同工の特色が示されていることから、国吉の極めは妥当であり、しかもすこぶる健体であることが好ましい。』とあり、探山先生鞘書きには、『生ぶ穴の残らぬ大磨り上げ無銘作で、元来大太刀様式也。幅広で、なお輪反り高く、猪首切っ先の堂々たる体配を見せ、地沸を微塵に敷く温潤精妙なる肌合い、刃縁に煌めく沸が豊かに付き、断続的に湯走り心の二重刃掛かるなど、剛毅さと粟田口特有の雅さが共存する優品也。二重刃は彼の個性的見所也。』とあります。 兎にも角にも、これだけの迫力と重量感あふれる国吉は見たことがありません。例えば、古備前系統であれば、国宝『名物大包平』など、生ぶ在銘で三尺近い豪壮な太刀も僅かに見られますが、粟田口系統に於いては、おそらくこれ以上のものはないでしょう。言い換えれば、これが特別重要刀剣のレベルです。 日刀保が示している特別重要刀剣の審査基準には、『特別重要刀剣は、重要刀剣の中で、更に一段と出来が傑出し、保存状態が優れ、国認定の重要美術品の上位に相当すると判断されるもの、若しくは、国指定の重要文化財に相当する価値があると考えられるもの。』とありますが、本刀はその水準を大きく上回っていると鑑せられます。 これが重要文化財に匹敵すると認められた不朽の名作、同工のみならず、同派を代表する一振りになるでしょう。物凄い粟田口左兵衛尉国吉の登場です。 こちらの商品の価格はお電話またはメールにてお問い合わせ下さい 商品番号:V-2156 刀 無銘(伝粟田口国吉) 第十五回特別重要刀剣指定品(平成十年)(一九九八) 探山先生鞘書き有り

刀 無銘(伝粟田口国吉) Katana:Mumei(Den Awataguchi Kuniyoshi)

刀 無銘(伝粟田口国吉) Katana:Mumei(Den Awataguchi Kuniyoshi)

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仕様

長さ

79.5 cm

反り

2.2 cm

元幅

3.25 cm

先幅

2.34 cm

作者について

Awataguchi Kuniyoshi國吉

7 重要文化財5 重要美術品18 特別重要刀剣21 重要刀剣

粟田口国吉の指定書のほぼ全てが名物「鳴狐」を引く。「左兵衛尉藤原国吉」と長銘する打刀式の大平造脇指で、新たに極められる作は今なおその作風に照らして読まれる。国吉は則国の子、一説に弟子と伝え、粟田口六人兄弟の長兄国友の孫にあたり、左兵衛尉に任じ、弟に国光がいる。子とも弟子とも伝える工に藤四郎吉光がある。弘安三年紀の短刀が実存し、古伝書の刀絵図に建治四年・弘安六年・弘安十年などの紀年銘が見られ、これにより粟田口派各工の年代が所伝通りであることが知られ、その活躍期は鎌倉時代中期と明らかにしうる。 作風について指定書は定型の評を繰り返す。地は小板目がよく錬れて地沸がよくつき美麗であり、刃は直刃に小乱れ・小互の目を交えて小沸よくつき、「地刃が来物よりも一段と強い」。とりわけ見どころとされるのが刃に沿って目立ってかかる二重刃で、『解紛記』は「手くせにたぶん二重刃ありて炮物のように地に銀浮くことも多し」と既にこれを手くせと名指している。時に三重刃となり、しばしば刃縁に連なる湯走りがこれをなし、帽子にまでかかる例がある。足・葉が頻りに入り、金筋・細かな砂流しがかかり、匂口は明るく冴えると繰り返し記され、帽子は直ぐに品よく小丸に返る。 地鉄は一派の代名詞を担う。小杢を交えた小板目が極くつんでよく錬れ、地沸微塵に厚くつき、細かな地景が入り、所謂梨子地肌を呈して沸映りが立ち、時に地斑調の肌合を僅かに交える。『古今銘尽』は国吉の鉄味を賞して「地の色底にきらめきあり、灰かつぎの天目の銀のごとし」と述べている。 確実な在銘の太刀は二口のみで、一口は夙に重要文化財、いま一口は平成九年の重要刀剣指定時に新出と記された細身で腰反り高く踏張りのつく優美な一口である。磨上げて茎下半に二字銘を有する別の一口も、特別重要指定に際し右の二口に極めて近似すると認められた。短刀は比較的多くて銘の大半を担い、剣も数口あり、大脇指は「鳴狐」唯一口である。短刀の姿は庖丁形にズングリしたもの・尋常なもの・細身で寸延びたもの・幅広で寸延びたものなど「頗る多様」で、来派の如く一律でない点が注目され、吉光同様に「区の処で焼き込んでいる」ことが多く、護摩箸や梵字を彫る。無銘は大磨上の刀が多く、身幅広く輪反り風につき、中鋒は猪首風につまり、直刃は小丁子・互の目を交えて賑やかとなり、二重刃が極めの拠り所となる。菖蒲造の一口は「鳴狐を大きくしたような」感を抱かせると評される。剣は先の張らない上品な姿で、「同作の剣にはしばしば沸の強いものがあり」と特筆される。銘は二字が常で、鏨は細い手・尋常な手・太い手など種々あり、年代差によるものであろうと記される。 吉光との関係について指定書は紀年から推す。国吉には弘安三年紀の短刀と古伝書の紀年押形があり、吉光には実存・押形ともに紀年が皆無であるから、両者は親子と言うよりは「年齢差の比較的少ない師弟」と考えるのが妥当とする。両者ともに太刀が寡作で短刀を得意とし、多様な姿態を共有する。一門の中での見どころも明らかで、二重刃は記録の半数近くに見え、吉光には稀で父則国には見えず、三重刃に至っては同門に例がなく、梨子地と名指されるのも本工の記録である。 藤代の格付けは最上作。指定を受けた作は五一口を数える。国宝はないが重要文化財が七口、戦前の重要美術品が五口あり、旧篠山藩主青山子爵家旧蔵の短刀を含む。特別重要刀剣一八口・重要刀剣二一口、両指定で三九口に上る。伝来も著しい。本阿弥光温折紙を伴う在銘短刀は伊予西条松平家に、無銘の短刀は冷泉家に伝来し、二字銘の特別重要の太刀は大久保一翁が所持して後に岩崎家に伝来、在銘の剣は尾張徳川黎明会の所蔵であり、在銘短刀の一口は鞘書に依れば徳川家千代誕生の御七夜に藤堂高睦が献上したと伝える。所在の知られるものは徳川美術館・京都国立博物館・彦根城博物館などに収まる。蒐集家にとって国吉は、粟田口の名の中では全く手の届かぬ存在ではない。重要文化財は市場の外に保存される文化財であるが、特別重要・重要の三九口こそ私蔵の一口に出会いうる層であり、その多くは二重刃を極めの拠り所とする大磨上無銘の刀である。かかる一口が市場に現れることは稀で、現れれば出色の機会となる。在銘の短刀はさらに少なく、確実な在銘太刀は二口に尽きるから、これに見える機会は一派の中でも最も稀な部類に属する。

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