国内の戦乱と海外への貿易が、室町の備前を国内随一の刀剣産地にした。応仁の乱以後は戦国の需要が一世紀続き、遣明船は数万振の単位で刀を運んでいる。
Eisho era(A.D.1504-1521, late Muromachi period) Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.94cm Saki-haba(Width at Kissaki) approx.1.88cm 右京(うきょうの)亮(すけ)勝光(かつみつ)は弟左京(さきょう)進(のじょう)宗光と共に、戦国武将赤松政則に仕えた名工。赤松政則は応仁の乱で細川勝元を支持し、備前、播磨、美作の守護となったが、文明十五年以降、宿敵の備後守護山名氏や備前の武士松田氏などの猛攻に敗れ、文明十八年に福岡城から同盟者の備中守護代荘元資の領地草壁に避難し、勝光、宗光もこれに従って同地で鍛刀(注2)している。雲州尼子氏や大内、毛利等の群雄と渡り合った赤松政則と運命を共にした勝光と宗光は、懸命に鎚を振るって山陽道の戦国史を生き抜いたのであった。 この刀は、草壁打(注3)と同じ文明十八年紀の一口。二尺一寸にも満たない寸法はこの時代の刀の定寸で、身幅頃合いに、鎬地の肉が削ぎ落されて相対に鎬筋が張り、反り浅く中鋒の精悍な姿。太刀に差し副え、素早く抜き放って用いられたものであろう、茎が短く片手での操作に適していることが注目される(元来の茎の重ねが極厚)。地鉄は小板目に小杢目、刃寄りに柾を配して詰み、肌目の間に地景が看取され、小粒の地沸で地肌が潤い、全面に立ち昇った霞のような映りが乱れて焼刃に迫る精緻で強靭な鍛え。直刃の刃文は浅い湾れ、小互の目等小模様の起伏を交え、柔らかな沸の粒子で刃縁がやや締まって明るく、刃境には湯走り、細かな金線、ほつれ、砂流しが掛かり、処々二重刃風、喰い違い、小足、葉が入り、刃中は微細な沸の粒子が充満して澄む。帽子は浅く乱れ込み、掃き掛けて小丸に返る。茎には細鑚による銘字が神妙に刻されている。現存尠ない右京亮勝光の刀である。刃区付近の鎺で隠れる部分に小さな鍛え割がある。











備前伝 · 備前
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勝光派は、室町時代後期に備前国長船の地に栄えた末備前の刀工系である。鎌倉以来の太刀の時代が閉じ、身幅広く先反りのつく片手打の打刀が戦国の手に渡る時代に入ると、勝光の名はその新しい需要を担う一群の総称となった。説明書は、室町中期以後にこの名を用いた工が十数を数えるとし、なかでも俗名を冠する者を著名とする。文明の年紀作を遺す右京亮勝光は宗光の兄にして子の先輩、その子たる次郎左衛門尉勝光は永正の年紀作を多く遺し、いずれも末備前のうち技倆すぐれた者に数えられる。本派は弟左京進宗光との合作の名手で、古く宗勝合作と珍重された連銘の刀・脇指を遺し、与三左衛門尉祐定・五郎左衛門尉清光と並ぶ末長船を代表する一系である。 作域には末備前が共有する語法がある。小板目のよくつんだ地に地沸つき地景細かに入り、古調の作にはこの地へ乱れ映りが淡く立つが、地沸の強い作では映りが目立たず鉄味が勝って見える。刃文は末備前を診断する腰の開いた互の目を基調とし、足・葉さかんに入り、匂本位に小沸つき、小さな飛焼を交えて匂口が明るい。皆焼を交える作や、棟を駆け上がる飛焼の作もある。表裏には倶利迦羅・梵字・素剣に八幡大菩薩や天照皇太神といった神号の彫物を施すが、説明書はこれを鍛冶自身ではなく協力する彫物師の手とする。一派のうちで勝光を分かつのは、その互の目に丁子を多く交えて一段と華やかな乱れとする点で、いわゆる蟹の爪と称する乱れが比較的少く、明るく変化に富む。これに対し一般の末備前物は作風相似て地刃の働きも浅い。 鑑定の勘所は、まず注文打の上手と数打物の別を見極めることにある。名工の入念な作は地鉄精良に匂口冴え、年紀を切り丁寧な彫物を伴い、所持者の銘を負うものもある。主要工のうち右京亮勝光は文明十六年紀の太刀に天下泰平の祈念文字を陰刻した出色の一口を遺し、次郎左衛門尉勝光は華やかな互の目のかたわら冴えた直刃をも能くした。合作にも見るべきものが多く、与三左衛門尉祐定とともに宇喜多能家の注文に応じて鍛えた豪壮な大薙刀は末備前の薙刀中の傑作とされ、子の次郎兵衛尉治光との連銘作や、彦兵衛忠光を加えた三人合作も遺る。藤代の極めは上々作で、本間による御物台帳に所載の作、大久保家や乃木神社に伝来する作、また松下昌俊の旧蔵にかかる重要美術品「朝嵐」が知られる。年紀を有し丁寧な彫物をもつ在銘の勝光は、長船がその末期にいかに華やかな乱れを鍛えたかを語る一証である。 詳しく見る →
室町時代の備前
国内の戦乱と海外への貿易が、室町の備前を国内随一の刀剣産地にした。応仁の乱以後は戦国の需要が一世紀続き、遣明船は数万振の単位で刀を運んでいる。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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