縁・頭(ふち・かしら)一対 江戸時代の美濃彫の典型的な作風を示す一対です。 赤銅魚子地に龍の図を配し、色絵を施しています。縁の縁金(ふちがね)を高く盛り上げ、金の色絵を施す手法は、まさに美濃彫の本領と言える意匠です。 銘:吉長 ヘインズ・インデックス(H 11920.0)には、1600年から1700年頃にかけて活躍した美濃吉長の名が記載されています。彼は主に草虫図など、伝統的な美濃スタイルの作品を多く残したとされています。 本品に鑑定書は付属しておりませんが、真銘であると判断いたします。 一般的に偽銘(ぎめい)は著名な作者の名を騙るものが多く、本作のような比較的知られていない作者の銘を偽る例は稀です。また、銘振りおよび工作ともに『金工銘鑑』に掲載されている参考例とよく一致しております。 (出典:マルクス・セスコ著『Signatures of Japanese Sword Fittings Artists』2014年、623頁。図版は政本・小久保共著『金工銘鑑』より引用)







美濃
江戸
美濃
在銘
金工 · 美濃
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美濃派は、技術的には古金工の流れを汲む刀装金工の一派であり、その作域は桃山時代から江戸初期にかけての時期に限定される。古美濃と称される作品群は、後藤家の正統的な金工技法とは一線を画す独自の様式を確立した。特に「美濃龍」と呼ばれる龍図の表現は、後藤家の龍とは全く異なる形態を示し、薄金出しで大振りな構図、透かしの多い造形、そして独特のくねくねとした龍の姿態が特徴である。この様式は桃山時代以前には遡らず、当時の武将階級の需要に応じて発展したものと考えられる。 美濃派の技法的特色は、金無垢地に容彫を施し、透かしを多用する豪快な造形にある。彫口は深く繊細でありながら力強く、骨太のがっしりとした構図を持つ。金性が良好で、山は高く谷は低く彫り分けられた立体的な表現は、見事な躍動感を生み出している。目貫や小柄などの小道具類において、松竹梅に鶴亀といった吉祥図柄や藤花などの植物文様を扱う際にも、高彫据文に金象嵌やウツトリ色絵を施すなど、豪華な装飾性を追求した。赤銅魚子地を下地とする作例も多く、唐草文様を毛彫で表現するなど、技巧的な仕上げを特徴とする。 美濃派の作品は、桃山時代から江戸初期という限られた時代の産物であるが、その独創的な様式は後世の刀装金工にも影響を与えた。特に美濃龍の表現様式は、後藤家の伝統的な龍図とは別系統の様式として確立され、江戸期においても美濃様式を踏襲した作品が制作された。現存する作例は、二所物として後に取り合わせられたものも含め、当時の武家文化における刀装具の役割を示す貴重な資料となっている。 詳しく見る →
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