名品 鯉図鍔 銘 安親(二代安親・安成) 銘:安成 縦:8.0cm 横:7.7cm 耳厚:3.5mm 切羽台厚:4.0mm 桐箱・外箱付 鑑定:日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具 【説明】 本作は、極めて保存状態が良く、地鉄には美しく潤いのある鉄錆地が際立っています。 意匠の主役である鯉は四分一(しぶいち)を用いた繊細な高彫で表現され、鉄地との見事なコントラストを描いています。また、表裏両面に施された波と水草は金高彫で華やかに仕上げられ、両小柄・馬針穴(両櫃穴)には精緻な縦筋を施した金埋めがなされています。 実際に手に取り鑑賞すれば、その立体的な鯉の造形バランスと、静謐な調和の中に宿る圧倒的な存在感に心を奪われることでしょう。 作者の安成(やすなり)は、奈良三作の一人と称される名工・土屋安親の門人の中でも、筆頭と目される実力者です。本作における鯉の意匠は、師である安親の代表作に比肩する出来映えであり、安成の並外れた技量と情熱が結実した最高傑作といえます。 安成は元禄頃(1700年代前後)に羽前国庄内(現在の山形県)で活躍しました。本作は安成の作品の中でも最高水準の逸品であり、未審査ながら将来的に「重要刀装具」への昇格の可能性を十分に秘めています。真に優れた刀装具を愛好される愛刀家の皆様へ、自信を持って推奨いたします。 【鯉の意匠と武士道】 日本文化において、鯉は古来より特別な意味を持ってきました。激流を遡り、滝を登りきるその姿は、困難に立ち向かう武士の勇猛さに例えられます。また、鯉はまな板の上に置かれても決して騒がず、潔く死を受け入れると言い伝えられており、その姿は死を恐れぬ武士の覚悟と重なります。 勇気、逆境を乗り越える力、そして高みを目指す志の象徴として、本作はまさに武士の精神を体現した芸術品といえるでしょう。






安成
江戸
出羽
在銘
特別保存 (NBTHK)
町彫 · Musashi (Edo)
現在1点販売中
町彫 · Musashi (Edo)
現在13点販売中
土屋派は奈良金工の流れを汲む一派であり、奈良三作の一人に数えられる土屋安親を祖として江戸(武蔵国)に拠点を置いた。安親の名は六代にわたり嫡流が襲名し、元禄期より幕末に至るまで連綿と工房の系譜を維持した。門弟の安族は『庄内金工名譜』に「鈴木与平と称し初代安親門」と記され、「江戸で安親の協力工として暮し、晩年は庄内に戻り安親より弥五八の名を授かり子孫も弥五八を襲名した」と伝えられる。六代目の土屋昌親は五代国親の長男として下野国下館に生まれ、「青年時代に諸国を遊学して修業し、やがて江戸の芝新橋で開業した」。出羽秋田の佐竹家の藩工として扶持を受け、後年には法眼の位に叙された。石燕子・東遷と号し、万延二年に歿している。別の一門、土屋守親(東燕舎土屋嵩僊守親)も一作金具の制作で知られる。 土屋派の作風は奈良派の彫金技法を基盤とし、鋤出高彫を根幹とする。地金には鉄・赤銅を主とし、石目地や槌目地を多用して、金・銀・四分一・素銅による色絵を豊かに施す。説示が一貫して強調するのは、一作の中に多彩な彫技を駆使する点である。昌親の脇指拵では「高彫色絵・肉合彫・片切彫・毛彫・甲鋤彫と様々の彫技が駆使されており、それぞれに昌親の高い技術が示されている」と評される。意匠面では文学的・暗示的な構図を重んじ、守親の五節句大小拵では「行事そのものの風景ではなく、それを示唆させる景物描写によって各々を表現している」とあり、「意匠は端的に、彫金技術は的確に纏めており、守親の技術の高さが窺える」と記される。安族の猛馬山水図鐔においても「松樹に馬図の構図、鋤出高彫象嵌の彫法などには、奈良派及び安親の晩年作の特色をよくあらわしている」と評され、初代の作風が門弟に深く継承されたことが窺われる。 説示は土屋派を、奈良派の原理を江戸中期から幕末にかけて継承・展開した一派として位置づけている。初代安親の工房における権威は絶大であり、安族は「安親の陰の存在」と推測されるほどであった。六代昌親に至っても、大名家(佐竹家・前橋松井家)の注文に応じた入念作において、金具・漆・柄の各要素を「拵全体が典雅な趣として結実」させる統合力を示し、守親もまた五節句の各場面を大小金具に分配して「すっきりとした黒色の鞘に様々に描かれた金具のひとつひとつが冴える」一作を完成させている。上層武家の需に応じ続けた事実は、土屋派が幕末に至るまで武家社会の上層において高い評価を保ち続けたことを証するものである。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトPurchases are final and items cannot be returned unless otherwise stated.
名品 鯉図鍔 銘 安親(二代安親・安成) 銘:安成 縦:8.0cm 横:7.7cm 耳厚:3.5mm 切羽台厚:4.0mm 桐箱・外箱付 鑑定:日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具 【説明】 本作は、極めて保存状態が良く、地鉄には美しく潤いのある鉄錆地が際立っています。 意匠の主役である鯉は四分一(しぶいち)を用いた繊細な高彫で表現され、鉄地との見事なコントラストを描いています。また、表裏両面に施された波と水草は金高彫で華やかに仕上げられ、両小柄・馬針穴(両櫃穴)には精緻な縦筋を施した金埋めがなされています。 実際に手に取り鑑賞すれば、その立体的な鯉の造形バランスと、静謐な調和の中に宿る圧倒的な存在感に心を奪われることでしょう。 作者の安成(やすなり)は、奈良三作の一人と称される名工・土屋安親の門人の中でも、筆頭と目される実力者です。本作における鯉の意匠は、師である安親の代表作に比肩する出来映えであり、安成の並外れた技量と情熱が結実した最高傑作といえます。 安成は元禄頃(1700年代前後)に羽前国庄内(現在の山形県)で活躍しました。本作は安成の作品の中でも最高水準の逸品であり、未審査ながら将来的に「重要刀装具」への昇格の可能性を十分に秘めています。真に優れた刀装具を愛好される愛刀家の皆様へ、自信を持って推奨いたします。 【鯉の意匠と武士道】 日本文化において、鯉は古来より特別な意味を持ってきました。激流を遡り、滝を登りきるその姿は、困難に立ち向かう武士の勇猛さに例えられます。また、鯉はまな板の上に置かれても決して騒がず、潔く死を受け入れると言い伝えられており、その姿は死を恐れぬ武士の覚悟と重なります。 勇気、逆境を乗り越える力、そして高みを目指す志の象徴として、本作はまさに武士の精神を体現した芸術品といえるでしょう。






安成
江戸
出羽
在銘
特別保存 (NBTHK)
町彫 · Musashi (Edo)
現在1点販売中
町彫 · Musashi (Edo)
現在13点販売中
土屋派は奈良金工の流れを汲む一派であり、奈良三作の一人に数えられる土屋安親を祖として江戸(武蔵国)に拠点を置いた。安親の名は六代にわたり嫡流が襲名し、元禄期より幕末に至るまで連綿と工房の系譜を維持した。門弟の安族は『庄内金工名譜』に「鈴木与平と称し初代安親門」と記され、「江戸で安親の協力工として暮し、晩年は庄内に戻り安親より弥五八の名を授かり子孫も弥五八を襲名した」と伝えられる。六代目の土屋昌親は五代国親の長男として下野国下館に生まれ、「青年時代に諸国を遊学して修業し、やがて江戸の芝新橋で開業した」。出羽秋田の佐竹家の藩工として扶持を受け、後年には法眼の位に叙された。石燕子・東遷と号し、万延二年に歿している。別の一門、土屋守親(東燕舎土屋嵩僊守親)も一作金具の制作で知られる。 土屋派の作風は奈良派の彫金技法を基盤とし、鋤出高彫を根幹とする。地金には鉄・赤銅を主とし、石目地や槌目地を多用して、金・銀・四分一・素銅による色絵を豊かに施す。説示が一貫して強調するのは、一作の中に多彩な彫技を駆使する点である。昌親の脇指拵では「高彫色絵・肉合彫・片切彫・毛彫・甲鋤彫と様々の彫技が駆使されており、それぞれに昌親の高い技術が示されている」と評される。意匠面では文学的・暗示的な構図を重んじ、守親の五節句大小拵では「行事そのものの風景ではなく、それを示唆させる景物描写によって各々を表現している」とあり、「意匠は端的に、彫金技術は的確に纏めており、守親の技術の高さが窺える」と記される。安族の猛馬山水図鐔においても「松樹に馬図の構図、鋤出高彫象嵌の彫法などには、奈良派及び安親の晩年作の特色をよくあらわしている」と評され、初代の作風が門弟に深く継承されたことが窺われる。 説示は土屋派を、奈良派の原理を江戸中期から幕末にかけて継承・展開した一派として位置づけている。初代安親の工房における権威は絶大であり、安族は「安親の陰の存在」と推測されるほどであった。六代昌親に至っても、大名家(佐竹家・前橋松井家)の注文に応じた入念作において、金具・漆・柄の各要素を「拵全体が典雅な趣として結実」させる統合力を示し、守親もまた五節句の各場面を大小金具に分配して「すっきりとした黒色の鞘に様々に描かれた金具のひとつひとつが冴える」一作を完成させている。上層武家の需に応じ続けた事実は、土屋派が幕末に至るまで武家社会の上層において高い評価を保ち続けたことを証するものである。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトPurchases are final and items cannot be returned unless otherwise stated.