江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
Kan'ei era (A.D.1624-1643, early Edo period) Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.22cm 井原住拾助國重、呰部住左兵衛國重など戦国時代の備中大月鍛冶は、匂口の締まった備前伝の互の目丁子乱刃を専らとしていた。その作風を転換させたのは慶長頃の三郎兵衛尉であったとみられるが、さらにその子与五郎の代において、沸を強く意識した南北朝時代の相州物に迫る作風に到っている。大月与五郎と草書に銘を切ることから大与五と呼び慣わされているこの工によって大月派が一段と栄えたことにより、多くの工が新天地を求めて江戸に進出、活躍している。 この身幅広く重ねの厚いがっしりとした平造の脇差がその典型。茎が刃長に比較して長めに仕立てられる特徴も窺いとれ、反り深くしかも先反りが付いて三日月を想わせる覇気に溢れた姿格好。小杢を交えた小板目鍛えの地鉄は固く叩き締められて地沸が付き、繊細な地景が地底から浮かび上り、多彩な働きを生み出している。刃文は地に深く突き入って左右に激しく動いているような印象のある互の目で、物打辺りから皆焼調となり、棟焼も断続的に施している。小沸主調としながらも巧みに匂を複合させた焼刃は一段と冴えて明るい光を放っており、刃中に小足と島刃が入り組んで複雑な景観を呈し、荒沸が目立つ物打から鋒辺りはこの派の特色が顕著。地に広がる沸は鍛え肌に感応して炎の渦巻くような沸の流れを生み出して迫力がある。








新刀 · 備中 · 1624-1644頃
藤代 上々作 · 刀剣大鑑 上位26%
現在6点販売中
國重の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
新刀 · 備中
現在14点販売中
水田派は、室町時代末期の備中国に現れ、国重の名を代々受け継いだ一派である。松山、呰部、井原、荏原、新見など備中各地に拠を構えて作刀し、その勢いは古刀期から新刀期にまで及んだ。説示によれば、新見の国重は銘鑑により備後から備中新見荘に入り、後に松山城主三村家の刀工となったとされ、ほかに備後福山や河波でも作刀した工が知られる。新見住三郎左衛門尉国重、井原住の国重、英賀郡呰部住の大月左兵衛尉国重、水田住の大月与五右衛門国重など、地名と俗名を冠して長銘を切る工が代を重ねて連なり、国重と名乗る刀工が一門に圧倒的に多いことが、この派の大きな特徴をなしている。 作風は古刀期と新刀期とで趣を異にする。古水田と称される作には、腰の開いた互の目乱れを主調として小丁子や小乱れを交え、匂口が締まって小沸がつく、ややこせこせとした趣のものが見られ、茎先が大きく刃上りとなる点が見どころとされる。地鉄は小板目肌つみ、地沸がついて映りが立つ。新刀期の作になると、板目が流れて柾を交じえる鍛えに、小のたれや互の目を焼き、沸が深く、殊に荒沸が激しくつき、相州伝を強く意識した出来となる。地沸厚く地景太く入って湯走りがかかり、砂流し・金筋を頻りに見せ、棟焼がしきりにかかって皆焼風を呈する一群があり、帽子は掃き掛けて火焰風となり、あるいは焼深く一枚風となって長く返る。物打辺に矢筈風の刃を交えること、また小板目に小杢目を交え地沸微塵に厚くついて淡く映り立つ地鉄も、この派を見分ける拠りどころとなる。彫物を巧みにこなす工もあり、棒樋に倶利迦羅や梵字を施した大小の作が残る。 鑑定にあたっては、互の目や角ばる刃を交えた焼高い刃取り、矢筈風の刃、一枚風あるいは火焰風の帽子、棟焼の頻発といった水田特有の見どころが、相州・美濃に寄った実用本位の造込みと相俟って手掛かりとなる。沸の崩れや荒沸の激しさは、よく斬れる実戦の刀としての性格を物語る。在銘の確かな作は数が限られ、なかでも大月与五右衛門国重のごとく一門の他工にも稀なほど出来の優れたものが存する。新見の国重の一作は『光山押形』に所載し、附帯する古鞘に六代将軍徳川家宣すなわち文昭院の御陣刀であった旨が記される伝来の確かなものであって、備中の地に長く栄えた水田派の位置づけを今に伝えている。 詳しく見る →
江戸時代
江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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