作品名: 守袋獅子図小柄 解説: 本作は、金と銅の合金であり、深く艶やかな黒色を呈する「赤銅(しゃくどう)」を地鉄に用いた小柄です。地には微細な粒を均一に打ち出す「魚々子地(ななこじ)」が施され、背景に深い奥行きと気品を与えています。意匠は精緻な「高彫(たかぼり)」に「色絵(いろえ)」を交えて表現されており、華やかで格調高い装飾美を放っています。 画題は「守袋獅子図(もりふくろししず)」で、二頭の獅子が守袋と戯れる様子が描かれています。 獅子は古来より魔を祓い、聖域を守護する霊獣として尊ばれてきました。阿吽(あうん)の対で表される獅子は、万物の始まりと終わりを象徴し、邪気を退け福を留めるとされています。また、吉祥文様である「守袋」は、富貴や長寿、招福を意味します。獅子と守袋を組み合わせたこの図案は、遊び心の中にも「心身の宝を守護する」という深い願いが込められています。 こうした洗練された美意識と象徴性を併せ持つ画題は、江戸時代の武士や愛好家の間で特に好まれました。 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)の鑑定書によれば、本作は「後藤家」の作と極められています。 後藤家は室町時代の足利将軍家に始まり、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康といった歴代の権力者に仕えた名門中の名門です。その格式高い作風は「御家彫(おいえぼり)」と称され、江戸時代には将軍家や大名家が公式の場で用いる刀装具の規範となりました。後藤家は十七代にわたる宗家を筆頭に多くの脇後藤(分家)を輩出し、長きにわたり日本の金工界の頂点に君臨しました。本作は鑑定により、安土桃山時代の後藤家工による作と認められています。 ※本作はアンティーク品のため、状態については写真にて詳細をご確認ください。 【小柄(こづか)とは】 小柄は、刀の鞘の裏側に設けられた「小柄櫃(こづかびつ)」に収納される小刀の柄の部分です。多くの鍔には小柄や笄(こうがい)を通すための穴があり、侍は刀を抜くことなくこれらを取り出すことができました。当初は木を削るなどの軽作業や、緊急時の武器として用いられましたが、次第に実用性よりも工芸品としての装飾性が重視されるようになりました。特に泰平の世となった江戸時代には、金工師たちの技術の粋を集めた華麗な小柄が数多く制作されました。 【刀装具の意義】 鍔、目貫、縁頭といった刀装具は、武器としての機能を補うだけでなく、持ち主である武士のアイデンティティや信念を象徴するものでもありました。現代で例えるならば、スマートフォンの装飾のように、個性を表現する重要な役割を担っていたといえます。細部にまで宿る職人の技を、ぜひ拡大画像にてご鑑賞ください。






後藤派
江戸
無銘
特別保存 (NBTHK)
家彫 · 山城
現在280点販売中
後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」[[c:1]]を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」[[c:2]]「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」[[c:3]]と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」[[c:4]]と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトReturns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.
作品名: 守袋獅子図小柄 解説: 本作は、金と銅の合金であり、深く艶やかな黒色を呈する「赤銅(しゃくどう)」を地鉄に用いた小柄です。地には微細な粒を均一に打ち出す「魚々子地(ななこじ)」が施され、背景に深い奥行きと気品を与えています。意匠は精緻な「高彫(たかぼり)」に「色絵(いろえ)」を交えて表現されており、華やかで格調高い装飾美を放っています。 画題は「守袋獅子図(もりふくろししず)」で、二頭の獅子が守袋と戯れる様子が描かれています。 獅子は古来より魔を祓い、聖域を守護する霊獣として尊ばれてきました。阿吽(あうん)の対で表される獅子は、万物の始まりと終わりを象徴し、邪気を退け福を留めるとされています。また、吉祥文様である「守袋」は、富貴や長寿、招福を意味します。獅子と守袋を組み合わせたこの図案は、遊び心の中にも「心身の宝を守護する」という深い願いが込められています。 こうした洗練された美意識と象徴性を併せ持つ画題は、江戸時代の武士や愛好家の間で特に好まれました。 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)の鑑定書によれば、本作は「後藤家」の作と極められています。 後藤家は室町時代の足利将軍家に始まり、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康といった歴代の権力者に仕えた名門中の名門です。その格式高い作風は「御家彫(おいえぼり)」と称され、江戸時代には将軍家や大名家が公式の場で用いる刀装具の規範となりました。後藤家は十七代にわたる宗家を筆頭に多くの脇後藤(分家)を輩出し、長きにわたり日本の金工界の頂点に君臨しました。本作は鑑定により、安土桃山時代の後藤家工による作と認められています。 ※本作はアンティーク品のため、状態については写真にて詳細をご確認ください。 【小柄(こづか)とは】 小柄は、刀の鞘の裏側に設けられた「小柄櫃(こづかびつ)」に収納される小刀の柄の部分です。多くの鍔には小柄や笄(こうがい)を通すための穴があり、侍は刀を抜くことなくこれらを取り出すことができました。当初は木を削るなどの軽作業や、緊急時の武器として用いられましたが、次第に実用性よりも工芸品としての装飾性が重視されるようになりました。特に泰平の世となった江戸時代には、金工師たちの技術の粋を集めた華麗な小柄が数多く制作されました。 【刀装具の意義】 鍔、目貫、縁頭といった刀装具は、武器としての機能を補うだけでなく、持ち主である武士のアイデンティティや信念を象徴するものでもありました。現代で例えるならば、スマートフォンの装飾のように、個性を表現する重要な役割を担っていたといえます。細部にまで宿る職人の技を、ぜひ拡大画像にてご鑑賞ください。






後藤派
江戸
無銘
特別保存 (NBTHK)
家彫 · 山城
現在280点販売中
後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」[[c:1]]を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」[[c:2]]「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」[[c:3]]と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」[[c:4]]と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトReturns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.