高砂図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 縦65.9ミリ 横60.0ミリ 切羽台厚3.9ミリ 重量90.0グラム 江戸後期 The late Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 水戸金工は水戸徳川家の城下に育まれた装剣金工で、江戸中期以降に発展し、特に江戸後期から幕末にかけて全国有数の生産量と高い技術力を誇るまでに隆盛しました。その作風は一様ではなく、鉄、赤銅、四分一などの地金へ精緻な高彫や象嵌色絵を施し、人物故事から花鳥風月まで多彩な画題を絵画的に表すことを得意とし、幕末から明治へ受け継がれた高度な彫金技術は、海野勝珉をはじめとする近代金工の活躍にもつながりました。 高砂は世阿弥の能にも名高い祝言の画題で、高砂の浦と住吉に離れて立ちながら心を通わせる相生の松の精が尉と姥の老夫婦となって現れ、尉は松葉を掻き集める熊手、姥は辺りを清める箒を手にする姿で表され、共に白髪となるまで睦まじく歩む夫婦和合、長寿、家運長久を象徴することから、婚礼や人生の佳節を寿ぐ格別にめでたい意匠として親しまれています。 穏やかな木瓜形の四分一地を細かな石目地に仕立て、表の右下には熊手を肩にした尉と箒を携える姥を寄り添うように鋤出高彫し、その上方へ常緑の松枝、下方へ水際の流れを添えて広い余白の中に老夫婦を際立たせ、尉の顔は素銅で温かな表情を表現し、衣には落ち着いた金色、姥の白髪と上衣には銀色を配しながら、手足、衣文、熊手、箒まで鏨を行き届かせ、松葉の金色と枝の素銅色を深い灰黒色の地へ鮮やかに浮かべ、裏面では人物を置かず松のみを描いて表の物語が画面の外へ続く余韻を生み出しており、四分一石目地の渋い色合い、量感豊かな高彫、金銀素銅が角度ごとに浮沈する色彩表現はいずれも水戸金工の長所を存分に示し、遠目には尉と姥の祝意、手元では表情や衣の重なり、松葉、水際へ込められた仕事が次々に現れる、長く愛蔵するにふさわしい品格と華やぎを備えています。










町彫 · 常陸
現在80点販売中
水戸派は江戸時代後期から幕末にかけて、常陸国水戸藩を中心に発展した刀装金工の一派である。篠崎勝茂を直系とする水戸金工群は、藩の庇護のもとで御用彫物師の地位を確立し、赤銅魚子地に高彫という手法を用いた作品を数多く制作した。横谷派の影響を受けつつも独自の様式を展開し、人物図を得意とする玉川派の系譜を引く工人たちが、牡丹獅子図や七福神図などの吉祥文様を立体的な彫技で表現した。 代表的な工人である生涼軒萩谷勝平は、文化元年に水戸に生まれ、篠崎勝茂の門に学んだ後、天保十五年より藩の御用彫物師となった。通称を弥介といい、門人にこの一字を与えたことでも知られる。勝平の作品は赤銅魚子地に高彫という技法を用い、銀象嵌や金布目象嵌を豊富に施した華麗な作風を特徴とする。獅子の巻毛や牡丹の花弁を実に立体的に彫り上げ、色絵も的確で隙のない工法により、質感に富んだ鮮やかな仕上がりを見せる。竜田川図や流水紅葉散図などの自然文様においても、高い技術による完成度の高い表現を残している。 水戸派は多くの優れた門人を育成し、勝平の門からは滑川貞勝、海野勝珉、鈴木勝容などの名工が輩出している。海野美盛の門人である海野美秋、海野美春も人物表現に巧みで、師の玉川派の流れを汲む丁寧な色絵技法を受け継いだ。額川保誠のような後期の工人たちは、家紋散図など正統的な形式による作品を制作し、幕末の水戸金工群の充実ぶりを示している。水戸派の作品は堅実丁寧な技が光り、幕末金工史における重要な位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥253,000
高砂図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 縦65.9ミリ 横60.0ミリ 切羽台厚3.9ミリ 重量90.0グラム 江戸後期 The late Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 水戸金工は水戸徳川家の城下に育まれた装剣金工で、江戸中期以降に発展し、特に江戸後期から幕末にかけて全国有数の生産量と高い技術力を誇るまでに隆盛しました。その作風は一様ではなく、鉄、赤銅、四分一などの地金へ精緻な高彫や象嵌色絵を施し、人物故事から花鳥風月まで多彩な画題を絵画的に表すことを得意とし、幕末から明治へ受け継がれた高度な彫金技術は、海野勝珉をはじめとする近代金工の活躍にもつながりました。 高砂は世阿弥の能にも名高い祝言の画題で、高砂の浦と住吉に離れて立ちながら心を通わせる相生の松の精が尉と姥の老夫婦となって現れ、尉は松葉を掻き集める熊手、姥は辺りを清める箒を手にする姿で表され、共に白髪となるまで睦まじく歩む夫婦和合、長寿、家運長久を象徴することから、婚礼や人生の佳節を寿ぐ格別にめでたい意匠として親しまれています。 穏やかな木瓜形の四分一地を細かな石目地に仕立て、表の右下には熊手を肩にした尉と箒を携える姥を寄り添うように鋤出高彫し、その上方へ常緑の松枝、下方へ水際の流れを添えて広い余白の中に老夫婦を際立たせ、尉の顔は素銅で温かな表情を表現し、衣には落ち着いた金色、姥の白髪と上衣には銀色を配しながら、手足、衣文、熊手、箒まで鏨を行き届かせ、松葉の金色と枝の素銅色を深い灰黒色の地へ鮮やかに浮かべ、裏面では人物を置かず松のみを描いて表の物語が画面の外へ続く余韻を生み出しており、四分一石目地の渋い色合い、量感豊かな高彫、金銀素銅が角度ごとに浮沈する色彩表現はいずれも水戸金工の長所を存分に示し、遠目には尉と姥の祝意、手元では表情や衣の重なり、松葉、水際へ込められた仕事が次々に現れる、長く愛蔵するにふさわしい品格と華やぎを備えています。










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水戸派は江戸時代後期から幕末にかけて、常陸国水戸藩を中心に発展した刀装金工の一派である。篠崎勝茂を直系とする水戸金工群は、藩の庇護のもとで御用彫物師の地位を確立し、赤銅魚子地に高彫という手法を用いた作品を数多く制作した。横谷派の影響を受けつつも独自の様式を展開し、人物図を得意とする玉川派の系譜を引く工人たちが、牡丹獅子図や七福神図などの吉祥文様を立体的な彫技で表現した。 代表的な工人である生涼軒萩谷勝平は、文化元年に水戸に生まれ、篠崎勝茂の門に学んだ後、天保十五年より藩の御用彫物師となった。通称を弥介といい、門人にこの一字を与えたことでも知られる。勝平の作品は赤銅魚子地に高彫という技法を用い、銀象嵌や金布目象嵌を豊富に施した華麗な作風を特徴とする。獅子の巻毛や牡丹の花弁を実に立体的に彫り上げ、色絵も的確で隙のない工法により、質感に富んだ鮮やかな仕上がりを見せる。竜田川図や流水紅葉散図などの自然文様においても、高い技術による完成度の高い表現を残している。 水戸派は多くの優れた門人を育成し、勝平の門からは滑川貞勝、海野勝珉、鈴木勝容などの名工が輩出している。海野美盛の門人である海野美秋、海野美春も人物表現に巧みで、師の玉川派の流れを汲む丁寧な色絵技法を受け継いだ。額川保誠のような後期の工人たちは、家紋散図など正統的な形式による作品を制作し、幕末の水戸金工群の充実ぶりを示している。水戸派の作品は堅実丁寧な技が光り、幕末金工史における重要な位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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