老梅図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 縦87.9ミリ 横81.3ミリ 切羽台厚3.6ミリ 重量139.0グラム 江戸中期 The middle Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 水戸金工は徳川御三家の一つである水戸藩の文化を背景に発展し、江戸後期には藩工と町彫金工が互いに技を競いながら、鉄地や赤銅地へ人物、動植物、故事、風景を絵画のように描き出す華麗な作風を完成させました。深みある地色を生かした高彫、鋤出彫、毛彫に金銀や素銅の色絵を組み合わせ、量感のある主題と繊細な細部を一つの画面へまとめることに長け、水戸物は写実味と品格を兼ね備えた刀装具として今日も高く評価されています。 梅は厳寒の中で他の花に先駆けて咲くことから忍耐、高潔、再生を象徴し、とりわけ風雪を受けて複雑にうねる老幹へ清らかな花を添える老梅図は、長い歳月を生き抜く生命力と春の到来を一つに表す格調高い画題です。若木の端正さとは異なる老梅の節や瘤には悠久の時間が宿り、その枝先に開く花は静かな画面へ凛とした生命の輝きを与えます。 本品は大振りの竪丸形鉄地を広々と用い、表の右側から上方へ伸びる節くれだった老梅の幹を鋤出高彫で力強く起こし、樹皮の深い皺、枝の折れ曲がり、大小の瘤を変化に富む鏨で彫り分けながら、下方の細枝と上方へ連なる花を呼応させ、一本の古木が画面を巡る雄大な構成を作り上げています。左側へ豊かな余白を置くことで老梅の姿がいっそう際立ち、重厚な鉄地の中に春を待つ静かな空気が広がります。 枝先に咲く梅花と蕾には銀を主体とする色絵を施し、花心や細枝へ金色を添えることで、黒褐色の地鉄に清冽な白梅と柔らかな春光を浮かび上がらせています。裏面では表から続く枝を左側へ伸ばし、わずかな花を散らして余韻を残すため、鐔を返しながら一本の老梅の周囲を巡るように鑑賞でき、表の充実した彫りと裏の静けさが互いを引き立てます。 鎚目を生かした地肌、軽く打ち返した耳、肉厚に起こされた老幹、金銀色絵の澄んだ輝きには水戸金工らしい写実性と装飾感覚がよく表れ、遠目には大樹の堂々たる姿、手元では樹皮の一筋、花弁、蕾、細枝まで見どころが尽きず、古鉄の力強さと白梅の気品を一枚で堪能できる、水戸物を代表するにふさわしい風格豊かな作品です。








町彫 · 常陸
現在80点販売中
水戸派は江戸時代後期から幕末にかけて、常陸国水戸藩を中心に発展した刀装金工の一派である。篠崎勝茂を直系とする水戸金工群は、藩の庇護のもとで御用彫物師の地位を確立し、赤銅魚子地に高彫という手法を用いた作品を数多く制作した。横谷派の影響を受けつつも独自の様式を展開し、人物図を得意とする玉川派の系譜を引く工人たちが、牡丹獅子図や七福神図などの吉祥文様を立体的な彫技で表現した。 代表的な工人である生涼軒萩谷勝平は、文化元年に水戸に生まれ、篠崎勝茂の門に学んだ後、天保十五年より藩の御用彫物師となった。通称を弥介といい、門人にこの一字を与えたことでも知られる。勝平の作品は赤銅魚子地に高彫という技法を用い、銀象嵌や金布目象嵌を豊富に施した華麗な作風を特徴とする。獅子の巻毛や牡丹の花弁を実に立体的に彫り上げ、色絵も的確で隙のない工法により、質感に富んだ鮮やかな仕上がりを見せる。竜田川図や流水紅葉散図などの自然文様においても、高い技術による完成度の高い表現を残している。 水戸派は多くの優れた門人を育成し、勝平の門からは滑川貞勝、海野勝珉、鈴木勝容などの名工が輩出している。海野美盛の門人である海野美秋、海野美春も人物表現に巧みで、師の玉川派の流れを汲む丁寧な色絵技法を受け継いだ。額川保誠のような後期の工人たちは、家紋散図など正統的な形式による作品を制作し、幕末の水戸金工群の充実ぶりを示している。水戸派の作品は堅実丁寧な技が光り、幕末金工史における重要な位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥220,000
老梅図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 縦87.9ミリ 横81.3ミリ 切羽台厚3.6ミリ 重量139.0グラム 江戸中期 The middle Edo period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 水戸金工は徳川御三家の一つである水戸藩の文化を背景に発展し、江戸後期には藩工と町彫金工が互いに技を競いながら、鉄地や赤銅地へ人物、動植物、故事、風景を絵画のように描き出す華麗な作風を完成させました。深みある地色を生かした高彫、鋤出彫、毛彫に金銀や素銅の色絵を組み合わせ、量感のある主題と繊細な細部を一つの画面へまとめることに長け、水戸物は写実味と品格を兼ね備えた刀装具として今日も高く評価されています。 梅は厳寒の中で他の花に先駆けて咲くことから忍耐、高潔、再生を象徴し、とりわけ風雪を受けて複雑にうねる老幹へ清らかな花を添える老梅図は、長い歳月を生き抜く生命力と春の到来を一つに表す格調高い画題です。若木の端正さとは異なる老梅の節や瘤には悠久の時間が宿り、その枝先に開く花は静かな画面へ凛とした生命の輝きを与えます。 本品は大振りの竪丸形鉄地を広々と用い、表の右側から上方へ伸びる節くれだった老梅の幹を鋤出高彫で力強く起こし、樹皮の深い皺、枝の折れ曲がり、大小の瘤を変化に富む鏨で彫り分けながら、下方の細枝と上方へ連なる花を呼応させ、一本の古木が画面を巡る雄大な構成を作り上げています。左側へ豊かな余白を置くことで老梅の姿がいっそう際立ち、重厚な鉄地の中に春を待つ静かな空気が広がります。 枝先に咲く梅花と蕾には銀を主体とする色絵を施し、花心や細枝へ金色を添えることで、黒褐色の地鉄に清冽な白梅と柔らかな春光を浮かび上がらせています。裏面では表から続く枝を左側へ伸ばし、わずかな花を散らして余韻を残すため、鐔を返しながら一本の老梅の周囲を巡るように鑑賞でき、表の充実した彫りと裏の静けさが互いを引き立てます。 鎚目を生かした地肌、軽く打ち返した耳、肉厚に起こされた老幹、金銀色絵の澄んだ輝きには水戸金工らしい写実性と装飾感覚がよく表れ、遠目には大樹の堂々たる姿、手元では樹皮の一筋、花弁、蕾、細枝まで見どころが尽きず、古鉄の力強さと白梅の気品を一枚で堪能できる、水戸物を代表するにふさわしい風格豊かな作品です。








町彫 · 常陸
現在80点販売中
水戸派は江戸時代後期から幕末にかけて、常陸国水戸藩を中心に発展した刀装金工の一派である。篠崎勝茂を直系とする水戸金工群は、藩の庇護のもとで御用彫物師の地位を確立し、赤銅魚子地に高彫という手法を用いた作品を数多く制作した。横谷派の影響を受けつつも独自の様式を展開し、人物図を得意とする玉川派の系譜を引く工人たちが、牡丹獅子図や七福神図などの吉祥文様を立体的な彫技で表現した。 代表的な工人である生涼軒萩谷勝平は、文化元年に水戸に生まれ、篠崎勝茂の門に学んだ後、天保十五年より藩の御用彫物師となった。通称を弥介といい、門人にこの一字を与えたことでも知られる。勝平の作品は赤銅魚子地に高彫という技法を用い、銀象嵌や金布目象嵌を豊富に施した華麗な作風を特徴とする。獅子の巻毛や牡丹の花弁を実に立体的に彫り上げ、色絵も的確で隙のない工法により、質感に富んだ鮮やかな仕上がりを見せる。竜田川図や流水紅葉散図などの自然文様においても、高い技術による完成度の高い表現を残している。 水戸派は多くの優れた門人を育成し、勝平の門からは滑川貞勝、海野勝珉、鈴木勝容などの名工が輩出している。海野美盛の門人である海野美秋、海野美春も人物表現に巧みで、師の玉川派の流れを汲む丁寧な色絵技法を受け継いだ。額川保誠のような後期の工人たちは、家紋散図など正統的な形式による作品を制作し、幕末の水戸金工群の充実ぶりを示している。水戸派の作品は堅実丁寧な技が光り、幕末金工史における重要な位置を占めている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥220,000