応仁の乱が足利の体制を砕いた後、戦国の一世紀はほとんどすべての国を武装させた。この時代は選ぶ目に報いる。並の作は多いが、その傍らには第一級の注文打ちが立っている。
Tensho era(A.D.1573-1591, Momoyama period) Moto-haba(Width at ha-machi) approx. 3.51cm Saki-haba(Width at Kissaki) approx. 2.6cm 武蔵国多摩郡横河郷(注1)の住人照(てる)重(しげ)は、北条氏康の二男滝山城主陸奥守氏照より照の一字を賜り、永禄二年頃(注2)より初銘の周重を照重に切り改めている。 「唐澤作之佐打之」の所持銘のあるこの刀は、氏照による天正十三年の八王子城築城以前、天正年間前期(注3)の作刀と鑑せられ、身幅が極めて広く反り深く、中鋒の延びた堂々の造り込み。板目に杢目を多く配した地鉄は、如輪杢(じょりんもく)となって刃中にも円形の杢肌が現れ、地沸が厚く付いて鍛着は緻密。下半湾れに小丁子が交じり、上半は大きく深く乱れた互の目となって矢(や)筈(はず)刃が入り乱れ、刃中には足が長く入って砂流(すなが)しが絡み、刃縁明るく沸付いて地刃躍動し、同工同派中の冠刀として過言なき傑作(注4)。注文主の唐澤(からさわ)作之佐(さくのすけ)の唐澤は、上州吾妻郡(注5)の地衆に多く、吾妻郡東村の唐澤縫殿介幸周は天正三年北条氏直から加勢依頼の書状を受けており、またその北方の高山村の中山城は、天正年間には北条氏の配下となり、唐澤半右衛門が中山十八人衆の一人として北条方で活躍している。作之佐もこの地方の出身であり、北条氏の要請を受けて滝山城下に馳せ参じた武将の一人であったと思われ、この刀を手にしての、往時の奮迅の戦い振りが想起される。












新刀 · 武蔵 · 1558-1570頃
藤代 上作 · 刀剣大鑑 上位49%
現在1点販売中
照重の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
新刀 · 武蔵
現在7点販売中
下原派は武蔵国八王子の地に拠った刀工の一群で、室町末期に興り、以後江戸末期に至るまで作刀を続けた。古刀期の武蔵国を代表する鍛冶とされ、説示では周重・康重・照重・広重の四工を著名な工として挙げる。なかでも照重は康重・広重と並んで一派を代表する存在で、山本源二郎照重、山本与五郎康重のように山本姓を称した工も知られる。照重については銘鑑が初代を享禄、二代を永禄、三代を天正に充てており、永禄から天正の頃の作がもっとも時代の上がるものと鑑せられている。甲州の注文に応じて鍛えた薙刀も伝わり、地方を越えて求められた様子がうかがえる。 作風は末相州および村正一派の風に末関風を加味したものと説かれる。鍛えは板目に杢がしきりに交じって肌立ち、刃寄りが流れて綾杉風となり、渦を巻いたような肌があらわれる点に地がねの特色がある。刃文は湾れを基調に互の目が二つ三つ連れて尖り刃を交え、やや規則的に乱れて小沸がつき、砂流しのかかるものもある。帽子は乱れ込んで丸く返るものや先の尖って返るものがみられる。細かに肌立った杢目の地がねと、規則的に連れる互の目乱れにのたれを交えた刃文の組み合わせが、この一派を見分ける手がかりとなる。 鑑定にあたっては、肌立った地がねに綾杉風の流れと渦巻く肌があらわれること、互の目が規則的に連れて乱れる刃文の調子を要点とする。彫物では表に棒樋を掻き、倶利迦羅竜や不動、梵字を添えるものが多く、倶利迦羅竜の尾の巻き方に一派らしさが出るとされる。茎は栗尻に切鑢を施し、棟寄りに長銘を切るものが多い。室町末期の打刀や薙刀を代表する優品が重要刀剣に列せられており、照重の薙刀は両刃造という珍しい形状を伝える。武蔵国の在地鍛冶として実用に応えつつ、相州と関の風を併せ呑んだ独自の地刃を築いた点に、下原一派の位置づけがある。 詳しく見る →
室町時代
応仁の乱が足利の体制を砕いた後、戦国の一世紀はほとんどすべての国を武装させた。この時代は選ぶ目に報いる。並の作は多いが、その傍らには第一級の注文打ちが立っている。
特別保存刀剣の中から、特に出来が優れ、国認定の重要美術品に準ずると判断された名品です。年に一度の重要刀剣審査で選ばれます。
極めて選別的で、日本に登録された約250万口の刀剣のうち、重要刀剣に達したものは12,348口(約202口に1口)にすぎません。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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