この元重は、第十六回重要刀剣に指定された短刀一口によって知られる。銘は「備州長船元重」で、表目釘孔の下に細鏨でやや長く切り、茎の切り詰めにより重の字は半ばで切れる。説明は、この銘振りが「嘉暦、建武、貞治等の年紀のあるものとは銘振りが全く異なり」としつつ、出来は一見元重と鑑せられるものであるとする。
説明は書風から時代を推し、「時代は書風から推して応永に近いであろう」とし、続けて「銘鑑には明記していないが、いわゆる元重二代と鑑すべきものであろう」とする。すなわちこの鑑定は年紀や銘鑑の代数によらず、銘の書風と出来に拠っている。
短刀は平造、三ツ棟、身幅やや広目に内反りとなり、長さ二六・九糎。鍛えは小板目やや肌立ちごころとなり、刃に添って棒映りが立つ。刃文は小湾れに互の目交じり、足・葉入り、匂口冴える。帽子は湾れ込んで先尖り、やや長く返る。彫物は表に三鈷附剣、裏に護摩箸。茎は殆んど生ぶで、先を切り詰めて浅い栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。
説明は「年紀のないことが惜まれるが好資料の一である」と結ぶ。伝来の記録はない。