相伝備前

長船派派の中

時期13301394Bizen

1330–1394

国宝3
重要文化財37
重要美術品
御物13
特別重要刀剣138
重要刀剣860
1,101指定品総数
29名工数
39%在銘 39%
100%名工帰属 100%
33現在の出品

概要

相伝備前

相伝備前とは、南北朝時代の備前国長船派にあって、相州伝の作風を加味した一群の刀工およびその作風期を指す呼称である。景光に続く長船派の嫡流たる兼光をはじめ、兼光と並んで傑れた技術を示すとされる長義、その門と伝える兼長、兼光門下の一人にして一説に兼光の弟とも伝える倫光、さらに兼光や長義とは別系統で青江気質を窺わせる元重、長船傍系と目される義景など、多くの備前鍛冶がこの時期に活躍した。兼光の現存する年紀作は鎌倉時代末期の元亨元年から南北朝期の貞治に及ぶ約四十五年に亘り、その南北朝時代初期の康永頃までの作は姿が尋常で父景光風を踏襲した感があるが、貞和・観応頃から姿が大柄となり、それまでになかったのたれ主調の刃文が出現する。長義は「備前刀の中で最も備前ばなれした刀工は長義也」と古来称され、相州伝を強く加味した作風で知られる。長船における正系の技量を継承しつつ、隣国相模の作風を取り込んだ点に、この作風期の独自性が存する。

作風は、まず体配において南北朝期の時代色を色濃く反映する。身幅が広く元先の幅差が目立たず、重ね頃合、大鋒に結ぶ堂々たる姿で、延文・貞治頃を最盛期とする雄渾なる体配を示す。鍛えは板目に杢を交え、総じてよく錬れて地沸つき、地景入り、乱れ映りが立つのを常とする。この乱れ映りは、相州伝の色彩を帯びながらも備前気質を表出する標識であり、相伝備前と鑑する重要な拠所となる。刃文は兼光・倫光においてはおおどかなのたれを主調に互の目・小互の目・角ばる刃・尖りごころの刃などを交え、匂勝ちに小沸つき、単調とならず変化を見せる。一方、長義・兼長においては、のたれ基調に丁子風の刃や腰開きの刃を交えて大模様に華やかに乱れ、よく沸づき、金筋・砂流し頻りにかかり、湯走り・飛焼を見せるなど、地刃の沸が一段と強い出来口を示す。元重は鍛えに流れ柾や地斑を交え、刃文に角ばる互の目が目立ち、逆がかり、逆足・葉を交えて帽子が尖るなど、青江気質を窺わせる点に同工一派の見どころがある。

評価としては、相州伝の影響が単に備前の伝統を駆逐したのではなく、長船の作域を著しく拡大せしめた点に、この作風期の歴史的意義が認められる。精錬の良さは際立ち、肌模様に緩みや荒れが看取されず、長船派棟梁としての鍛錬の妙味が遺憾なく発揮されている。匂口は明るく冴え、保存状態の健全な作が多く、備前の華やかさと強さを存分に堪能できる。兼光が先駆けたおおどかな乱れ、長義の放胆にして個性的な大乱れは、いずれも南北朝期長船を代表する達成として賞される。在銘の年紀作に乏しく無銘の極め物が多いものの、年紀を有する生ぶ茎の遺存例は資料的価値が頗る高く、後世には『集古十種』所載の名品や本阿弥折紙を伴う伝来品も知られる。相伝備前は、備前と相州という二大伝法が融合した到達点として、日本刀の歴史に重きをなすものである。

指定

1,101 指定 · 29 名工数

指定の位置づけ

重み付け指定指数 0.73(指定 1,018 点)

長船の4時期中 第2位

長船流派全体(0.90)を下回る

伝来

伝来記録のある作品 181 点

伝来の位置づけ

伝来指数 4.92(伝来 181 点)

長船の4時期中で最有力

長船流派全体(5.11)を下回る

主要工

上位指定の希少度で順位付け

  1. 1.長義1356-1379109
    流派内 9.9%
  2. 2.兼光1323-1370237
    流派内 21.5%
  3. 3.元重1316-1363158
    流派内 14.4%
  4. 4.近景1322-134786
    流派内 7.8%
  5. 5.倫光1345-137064
    流派内 5.8%
  6. 6.兼長1362-138894
    流派内 8.5%
  7. 7.義景1334-136367
    流派内 6.1%
  8. 8.長重1334-134216
    流派内 1.5%
  9. 9.政光1356-139984
    流派内 7.6%
  10. 10.基光1342-137241
    流派内 3.7%
  11. 11.義光1334-134935
    流派内 3.2%
  12. 12.重眞1327-135845
    流派内 4.1%
  13. 13.長守1346-137041
    流派内 3.7%
  14. 14.長吉1362-13763
    流派内 0.3%
  15. 15.光重1334-13632
    流派内 0.2%
  16. 16.守末1362-13682
    流派内 0.2%
  17. 17.元重1288-13332
    流派内 0.2%
  18. 18.重光1362-13682
    流派内 0.2%
  19. 19.忠光1342-13642
    流派内 0.2%
  20. 20.在光1361-13751
    流派内 0.1%

現在の出品

長船派の他の時期