応永備前

長船派派の中

1390–1441

画像 — 長船 school
重要文化財巻 1, 番 440010512

概要

概要・位置づけ

応永備前とは、室町時代初期の応永年間を中心に、備前国長船の地に繁栄した刀工群ならびにその作刀を汎称する呼称である。長船派の長い歴史のなかで、南北朝末期の身幅広く鋒の延びた大柄な姿から脱却し、室町中期へと至る一時代区分を形づくる作風期に当たる。この期を代表する刀工としては盛光・康光・家助・経家等が挙げられ、なかでも盛光と康光は「応永備前の双璧」と称される。盛光は一説に師光の子と伝え、その作刀年紀は応永から文明に亘り、初・二代の存在が指摘される。康光もまた応永・正長・永享・嘉吉等の年紀があり、正長以後は二代の作とされる。応永備前の継承は永享期にも及び、則光・祐光は所謂永享備前の双璧として名高く、長船の伝統は室町前期を通じてなお活力を保った。実光・重光等の同派一類に属する工も知られ、これらが応永備前の作域を共有している。

作風

応永備前の刀工達の理想は鎌倉時代の復古にあったとみられ、優美な太刀姿や、南北朝期には廃れていた丁子刃の再現にそれが窺われる。一見、鎌倉期の一文字派や長船物の作域を想わせる格調高い出来があるが、同じ太刀姿でも先反りが加わり、鍛えには板目に杢が目立って交じり、肌立った地鉄に地景風のかねが入る点に一派の個性が表示される。地鉄には乱れ映り、あるいは棒映りが鮮明に立つ。刃文には二様があり、その一は腰の開いた互の目に丁子・小互の目・角がかる刃などを交え、大模様に華やかに乱れて足・葉入り、匂勝ちに小沸つき、匂口明るい乱れ刃である。その二は穏健な直刃調の作で、これも上手とされる。帽子は焼深く乱れ込み、先が小さく尖って返る、いわゆる「ローソクの芯」と称せられる特徴的な態となるところが一派の標識である。彫物では表裏の棒樋を区上で丸止めにする点が見どころとされ、八幡大菩薩・一宮大明神等の神号や梵字の重ね彫を伴う作も少なくない。

評価・伝承

応永備前の諸工は、優美な太刀姿と健全な地刃を兼ね備えた作を多く遺し、その地鉄は潤いある優れた質を有する。盛光の作には乱れの頭がゆったりと丸いところに見処があり、康光の太刀は丁子刃が目立って華やかに乱れ、出来の優れたものがままみられる。生ぶの茎を留め、銘字・鑢目の鮮明な作例は、同工の技倆と作域を知るうえで好資料とされる。所載作には紀州徳川家伝来の太刀や靖國神社所蔵の大太刀があり、伝来の確かな優品も含まれる。腰開きの互の目による華やかな乱れであれ、古雅な直刃であれ、応永備前は鎌倉期への復古を志しつつ独自の個性を確立した一作風期として、備前鍛冶の歴史のなかでも屈指の充実をみた時代と評される。

指定

153 指定 · 15 名工数

指定の位置づけ

重み付け指定指数 0.64(指定 153 点)

長船の4時期中 第3位

長船流派全体(0.89)を下回る

伝来

伝来記録のある作品 22 点

伝来の位置づけ

伝来指数 3.04(伝来 22 点)

長船の4時期中 第3位

長船流派全体(4.69)を下回る

代表工

上位指定の希少度で順位付け

  1. 1.康光1394-142847
    流派内 30.7%
  2. 2.盛光1394-142861
    流派内 39.9%
  3. 3.師光1387-142816
    流派内 10.5%
  4. 4.康光1424-144310
    流派内 6.5%
  5. 5.實光1394-14284
    流派内 2.6%
  6. 6.則光1394-14282
    流派内 1.3%
  7. 7.重光1394-14512
    流派内 1.3%
  8. 8.重綱1394-14282
    流派内 1.3%
  9. 9.經家1394-14282
    流派内 1.3%
  10. 10.康永1429-14412
    流派内 1.3%
  11. 11.秀景1394-14281
    流派内 0.7%
  12. 12.尚光1394-14281
    流派内 0.7%
  13. 13.貞家1394-14281
    流派内 0.7%
  14. 14.重俊1394-14281
    流派内 0.7%
  15. 15.友貞1394-14281
    流派内 0.7%

現在の出品

長船派の他の時期