説明

本作は加賀藩前田家の庇護のもと、加賀の地で独自の発展を遂げた加賀後藤派による双龍図小柄です。 深みのある赤銅磨地に、雲中を舞う二匹の龍を精緻な金象嵌で描き出しています。雲は地鉄から自然に湧き上がるような肉高の彫り口で表現され、画面に豊かな奥行きと躍動感を与えています。背景には繊細な魚子地が施され、光り輝く龍との対比が実に優美です。枠は金で仕立てられており、格調高く華やかな趣を一層引き立てています。裏面には加賀後藤の特色である丁寧な鑢目が残されており、技術的な精緻さと芸術的な抑制美を兼ね備えています。保存状態は極めて良好で、凹みや擦れも殆ど見られず、繊細な象嵌の意匠が当時のままに保たれている点は特筆に値します。 作風は後藤本家の古典的な美意識を継承しつつも、細部の表現に独自の差異が見て取れます。耳のタガネ運びなどは本家とは異なるものの、爪や角に見られる三角形のタガネ(後藤家伝統の「後藤無類タガネ」)には本家の技法が色濃く反映されており、製作年代は江戸初期、本家七代から九代の頃と推測されます。龍の描写は本家よりも動的で力強く、加賀の地で育まれた独自の芸術性が伺えます。 構図もまた劇的かつ調和が取れています。右側の龍は小柄の端から中央へと伸び、その爪で宝珠を掴んでいます。尾の先は剣の形を成しており、強靭な力と精神性を象徴しています。一方、左側の龍は背後から優雅に身をくねらせて現れ、相棒の方へと頭を向けており、二龍の間に生き生きとした対話が生まれています。 華やかでありながらも品格を失わない、加賀後藤の円熟した美意識が凝縮された名品です。

Kozuka Kaga Goto Dragon in the clouds

Kozuka Kaga Goto Dragon in the clouds

小柄

¥280,000

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流派

Kaga Goto

時代

Edo

流派について

Kaga-Goto School加賀後藤派

1 重要刀剣
刀剣商

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