表/長さ:3.86 cm 幅:1.50 cm 高さ:0.60 cm裏/長さ:3.82 cm 幅:1.55 cm 高さ:0.60 cmこの目貫、当店では室町末期から桃山期の作と見ています。裏の根が陰陽根になっている点、そして体配が豊かに丸味を帯び、裾が窄まっている姿から、江戸の時代とは異なり、まだまだ実用的な道具として作られていることが挙げられます。裏行もよく打込んであり、表の彫もシンプルながら大胆で力強さがあります。面白いのは陰陽根が丸ではなく角になっていることで、大変珍しい所作と言えます。それともうひとつ・・・笛は余興の道具で品位の高い画題ですが、普通なら金で彩るところをあえて避けている点も見所です。ちなみに、極が古後藤となっていることを借りれば、将軍家あたりからの下賜品だったかもしれません(これは発展し過ぎの想像ですが)。でもなぜか、品位を感じる目貫に思えるのです。特に紐の所作は上手で色といいモチーフといい丁寧な上手作といっても良いでしょう。
無銘 · 後藤 · 桃山
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後藤派
桃山
無銘
家彫 · 山城
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後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」[[c:1]]を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」[[c:2]]「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」[[c:3]]と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」[[c:4]]と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。 詳しく見る →
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