四分一研磨地竪丸形 片切彫 金・素銅平象嵌 角耳小肉 両櫃孔 篠山篤興の「竹石図」を意匠とした、とても上品な鍔です。 篤興は、文化十年(1862)、俳諧師夜半亭呉崖の長男として生まれ、十五歳で川原林秀興の門に入り修業、天光堂秀国とは兄弟弟子となります。秀国に優るとも劣らぬ篤興は、見込まれて師秀興の次女を娶り独立開業します。 その後、徳川将軍家から佩刀の金具彫刻、孝明天皇の短刀金具彫刻などを拝命、一行斎の斉号を受領し、明治維新後は、仏具、花瓶、額や置物などの細工を行い、優れた篤興の彫刻の作品は残されています。 この鍔は、何人からかの需に応じて製作された、四分一研磨地に片切彫を施した温厚で静かな作、流石篤興、彫鏨の一鏨一鏨が適格で理に敵い、無駄がなく実に垢抜けた作に仕上がっています。 水墨画などの意匠として数多く描かれてきた「竹石図」 篤興が鍔の小さな空間に籠めた「竹石図」の挑戦、見事です。 専用桐箱入り






町彫 · 山城
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大月派は江戸時代後期京都を中心に活躍した装剣金工の一派である。開祖大月光興は元禄期に京都に出て、横谷宗珉の高彫色絵の技法を学び、独自の作風を確立した。門人には川原林秀興、篠山篤興、天光堂秀国らがおり、特に秀興は師の技法を継承しながら大月派を隆盛に導いた。文化文政期には秀興の門下から松尾月山嘉六(金剛斎)が輩出され、大月派の伝統を幕末まで維持した。同派は赤銅・真鍮・鉄・四分一など多様な地金を用い、高彫色絵を駆使した華麗な作風で知られる。 大月派の技法的特徴は、精緻な魚子地に高肉彫と据紋を併用し、金や素銅による色絵を施す点にある。高肉彫には立体感豊かな鏨使いが見られ、特に動物の羽毛や龍の鱗など細部の表現に優れる。構図は大胆であり、広い鉄地空間と高彫部分の分量が絶妙な均衡を保つ。片切彫も併用し、人物・動植物・故事など幅広い画題を手掛ける。鐔の造形は竪丸形・葵形・撫角形など多様であり、打返耳に仕立てられるものが多い。地金の微妙な起伏により動静を表現し、彫刻と空間の対比によって主題を際立たせる手法は同派の真骨頂である。 大月派の作品は幕末京都の装剣金工を代表するものとして高く評価される。月山の「孔雀図鐔・縁頭」は魚子を微細に蒔き、据紋を一際高く据え、鏨使いの巧緻さと重厚な面持ちで孔雀の華麗さを極めている。「潜り龍図鐔」は蕩々と飛翔する金龍を生命力豊かに表し、鉄地の起伏と高肉彫の均衡が絶妙である。「衣川館図鐔」は前九年・後三年合戦の一場面を画題とし、両武者の微妙な状態の描写と館の細密な彫技が見事である。これら重要刀装指定作に見る通り、大月派は師流を忠実に継承しながら独自の境地を開き、京都金工の伝統を後世に伝えた。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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