
短刀 無銘(平安城長吉)(村正の師)
¥550,000
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仕様
18.9 cm
2 cm
作者について
Heianjo Nagayoshi長吉
平安城長吉は、説明書がしばしば一息に三条吉則と並べて室町時代の京物を代表する工とする、京の刀工である。鎌倉末期の平安城光長の流れをくむといわれ、剣書はその名を南北朝まで溯らせるが、現存する記録はそこまで届かない。それ程古く見える作はなく、室町を溯る年紀もなく、作の本体は文明から天文の間に落ちて、最も早い年紀は文明・明応の頃に集まる。在銘の一刀は明応の年紀を負い、説明書はこれを名跡そのものの資料として貴ぶ。この名は数代数工の負うものと解されており、平安城長吉とは一人の工というより、末室町へと受け継がれた京の工房の手である。 その手を見分けさせるのは単一の刃文ではなく一つの作風であり、その最も明らかな印は刃文にある。説明書は表裏の刃文がよく揃う点、すなわち一方の面の焼きが他方に応じる点を殊に挙げ、何よりこの点で本工の作を伊勢の村正に結ぶ。ある短刀の評は、作風も茎仕立ても村正に似るとして「すべて勢州の村正によく似ている」と記し、両者の深い関係を推す。別の一口では、表裏の揃いをこの工の特色とし「表裏の刃文が揃うところに特色」があるとして、村正千子一派と通じるものとする。精緻な京の地鉄の上に、小のたれに互の目を交えた刃を焼き、足入り、匂口締まりごころに小沸つき、帽子は小丸となる。短刀は寸の割に身幅広くずんぐりとして反りの目立たぬものが多く、この工によく見受ける態とされる。 変わる刃文の下で地鉄は終始変わらぬところである。つんで流れ柾を交えた小板目あるいは板目に、地沸つき、時に細かな地景が入り、その上に淡い白け心がのって、鎌倉の大京流の中ではなくその後に本工を置く末山城の地をなす。最上手の刀では鍛えがつんだ京の小板目に締まり、区下より水影が立ってそれが白け映りとなる。明るいというより静かで清らかな、説明書が本工に期待する京物の地鉄であり、より装飾的な刃文はこの末山城の地を背に読まれる。 その地の上での作域は一人の手としては異例に広く、説明書もそのように記す。刀・槍では多く広直刃あるいは中直刃を焼き、下半を湾れ調として元に小互の目が連れて腰刃風をなし、小足入り、匂口締まって明るい。ある重要刀剣の刀はその典型の構成を示し、元を小湾れに尖り刃を交え、その上を広直刃とする。一方の極には最も華やかな作風が立つ。角ばり尖りごころの互の目乱れに矢筈風を交えた皆焼で、飛焼・湯走り・棟焼が入って総体に皆焼となり、帽子の返りを長く焼いて棟焼に続き、砂流し・金筋がかかる。説明書はこの刃を本工には比較的少ないものとし、南北朝の京の先達長谷部に私淑したと読んで「京の先達長谷部の皆焼に私淑」した出来とし、古い相州の皆焼と違って匂口が締まること、重ねの薄い姿と長い返りが長谷部の手本を指すことを述べる。 長吉をその並び立つ者から分かつのは、まさに極めの言うところである。三条吉則や末山城一般の工とは、表裏の揃いと手の広さによって分かたれ、村正近似の湾れから静かな直刃、長谷部の皆焼までを同じ手が往来する。古い相州の皆焼とは、締まった匂口によって分けられる。何よりこの工は彫りの人として知られる。説明書は本工を彫物の名手として「彫物の名手としてもその名が高い」とし、草の倶利迦羅はその作の大半を貫いて、龍の尾が剣と交わる部を剣が盛り上がったように彫り、まず本工以外の手とは紛れないものとする。彫物は鑑定の上に添えられた飾りではなく、鑑定そのものの一部である。 収集の観点では、本工は末室町の京の名で、藤代の極めは上々作である。その指定の記録はすべて重要刀剣の級を通じ、十五口が記録に上るが、その中に国宝も重要文化財もない。名跡の価値はむしろ在銘でしばしば年紀のある作と、刀・短刀・脇指・槍に彫物を加えた作域の多彩さに立つ。説明書はその一刀を「同工屈指の優品」と称え、短刀の数口を典型の優品とする。来歴の記録は乏しく、確かに言えるのは、在銘の平安城長吉が著名な旧家に集まるよりは私蔵に静かに伝わるということである。市場に出得る級はわずかで、在銘の作が世に出ることは時折のことであり、健全で在銘の、彫物のある一口は収集家にとって心満たされるもの、古刀期の終わりに京の鍛冶がなお働いた様を語る証である。



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