戦国の関は一つの産業であった。春日神社を氏神と仰ぐ鍛冶たちが、中部日本の軍勢を武装させた。孫六兼元の三本杉と之定の最上作は、量産の町に第一級の技が息づいていたことの証である。
日本刀 短刀 銘 兼房 日本美術刀剣保存協会(NBTHK) 特別保存刀剣鑑定書付 【解説】 本作は「兼房」の銘が切られた短刀です。兼房の名は室町時代を通じて数代にわたり継承されましたが、本作の作風から、室町時代後期(16世紀初頭〜半ば)頃の兼房によるものと推測されます。 初代兼房は永享年間(1429-1441年:室町中期)に活動し、関の善定派に属する兼重の子として知られています。美濃国関は当時、最も活気に満ちた作刀地であり、初代兼房は「兼房乱れ(けんぼうみだれ)」と呼ばれる独特の刃文を考案したことでその名を馳せました。 美濃の刀工たちは、たゆまぬ研鑽と卓越した技術により「美濃伝」という独自の伝法を確立しました。その特徴は、直刃調に尖り刃が交じるものや、白く霧がかったような「映り」が立つ乱れ刃にあります。美濃伝は鎌倉時代後期の「大和伝」を源流とし、南北朝から室町時代にかけて隆盛を極め、江戸時代に至るまでその伝統を継承しました。その進化と永続性は、美濃刀工たちの高い芸術性と技術力を物語っています。 特に戦国時代、武器としての需要が高まったことで美濃伝は飛躍的な発展を遂げました。美濃国は地理的にも、明智光秀が治めた美濃、織田信長の尾張、徳川家康の駿河といった有力大名の領地に隣接しており、これら戦国大名やその家臣団から多大な需要がありました。さらに、関東と京を結ぶ要所に位置していたため、諸大名にとって注文がしやすかったことも繁栄の要因です。美濃刀は実用性と斬れ味においても定評があり、多くの武将に愛用されました。 本作は、日本美術刀剣保存協会(NBTHK)より「特別保存刀剣」に指定されています。この鑑定書は、保存状態が極めて良く、かつ芸術的価値の高い真作の日本刀にのみ与えられるものです。 ※棟(むね)の一部に黒錆が見られます。詳細なコンディションについては、お気軽にお問い合わせください。 【刀身】 長さ(Nagasa):31.5 cm 反り(Sori):0.3 cm 刃文(Hamon):焼入れによって刃先に現れる結晶構造。 地鉄(Jihada):折り返し鍛錬によって現れる鋼の表面模様。 切先(Kissaki):刀身の先端部分。 茎(Nakago):柄に収まる持ち手部分。 茎に現れる黒錆は、柄の中での赤錆の発生を防ぐ役割があります。この経年による錆色は、専門家が制作年代を推定する際の重要な指標となります。 【拵】 拵(Koshirae):鞘、柄、鍔などを含めた外装。 縁頭(Fuchi-Kashira):柄の両端を保護し装飾する一対の金具。 本作の縁には「雁と笹」、頭には「桐」が施されています。笹の意匠は、金属を切り抜いて文様を表現する「透かし彫り」の技法で描かれており、非常に風雅な趣があります。 日本文化において、竹(笹)は天に向かって真っ直ぐに伸びる姿から、高潔さ、強靭さ、そして不屈の精神を象徴する大変縁起の良い植物とされています。
Certificate reading — 銘 兼房作



























美濃伝 · 美濃
現在154点販売中
美濃国の関は、南北朝より室町、新刀期に至るまで日本刀の一大生産地として栄えた鍛冶の地である。その源流は二つに発し、説明書は金重と志津兼氏とを並べて美濃鍛冶の祖とする。金重は『古今銘尽』に法名道阿、越前敦賀の住人と伝えられ、敦賀より関へ越えて住したといい、相州正宗十哲の一に数えられて、沸の厚い穏やかな手を美濃の地鉄に持ち込んだ。兼氏に発する志津の系は、尖り互の目に走る乱調をもって、いま一つの根をなす。この二流が南北朝の美濃伝を形づくり、金行のごとく金重に続く工、室町に入って善定派の兼吉のように大和手掻の血を関に運んだ工が加わって、流れは広がった。室町後期には兼元・兼定の二名を頂点とする末関の隆盛を迎え、孫六兼元の名と和泉守兼定の受領とが、地方の量産地にとどまらぬ関の格を世に示した。大和と相州の二つの源流に、備前を意識した白け映りの地が結ばれて、美濃伝という一個の伝法が立ったのである。 関物を貫くのは、工と系統の差を越えて繰り返される美濃の共通語法である。地鉄は板目に柾を交えてしばしば肌立ち、刃寄りに柾がかり、鎬地は柾に流れる。その地に立つ映りは備前の明るい乱れ映りではなく、淡く白ける美濃鉄の靄のような白け映りで、説明書はこれを終始、備前と作を分かつ見どころとして掲げる。刃文は互の目を主調に尖り刃を交え、兼元にあっては整然と並ぶ尖り刃の三本杉となり、兼定や兼之にあっては頭の丸い互の目とのたれを交えて変化に富む。沸は乾いて締まり、匂口は冴え、足入り、砂流し・細かな金筋が刃中を走る。帽子は乱れ込んで先尖りごころとなり、あるいは丸く地蔵風に返る。これらは関の背骨をなす型であって、工により濃淡を異にする。金重・金行の手は穏やかで地が肌立ち、善定兼吉は大和の血を負って締った直刃と柾がかる板目を見せ、末関の氏房は大らかなのたれに尖り刃を折り込み、兼房は頭の丸い互の目の兼房乱れを得意とする。同じ語法のうちに、それぞれの工の手が読み分けられる。 収集家が関物を求めるのは、その鑑定が手応えを伴う一個の眼の修練だからである。映りが白く沸が乾いて締まる美濃の地刃は、備前の華やかな映りとも、山城の長く澄んだ直刃とも異なり、これを見分けることが関を識る勘所となる。主要工の格は説明書の評にそのまま現れる。孫六兼元は三本杉の創始者として名を成し、和泉守兼定すなわちノサダは、白ける板目に焼いた賑やかな美濃の刃と来国俊風の細直刃の双方を能くして、古刀期に珍しい受領を許され、刀剣書が「すぐれたる上手」と評する当代第一の手とされる。兼之は末関中最もよく練れた鍛えを見せて作域広く、永正・大永のノサダとして賞玩が厚い。これらの名は将軍家・大名家の伝来を負い、ノサダの太刀には武田信虎のために打たれた一口があり、菊花紋を切った刀は皇室との関わりを示し、徳川将軍家への献上を経た金重の短刀も伝わる。末関の氏房一門は清須・名古屋へ移って尾張新刀三祖の一を生み、古い美濃の手が新たな伝統へ移る蝶番に立った。切れ味をもって武用に応えた量産の地でありながら、孫六兼元らの最上手の作は美術的価値においても高く評され、その白け映りと乾いた沸の手を識ることが、美濃伝いかに始まり継がれたかを語る証となる。 詳しく見る →
戦国の関は一つの産業であった。春日神社を氏神と仰ぐ鍛冶たちが、中部日本の軍勢を武装させた。孫六兼元の三本杉と之定の最上作は、量産の町に第一級の技が息づいていたことの証である。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトReturns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.
日本刀 短刀 銘 兼房 日本美術刀剣保存協会(NBTHK) 特別保存刀剣鑑定書付 【解説】 本作は「兼房」の銘が切られた短刀です。兼房の名は室町時代を通じて数代にわたり継承されましたが、本作の作風から、室町時代後期(16世紀初頭〜半ば)頃の兼房によるものと推測されます。 初代兼房は永享年間(1429-1441年:室町中期)に活動し、関の善定派に属する兼重の子として知られています。美濃国関は当時、最も活気に満ちた作刀地であり、初代兼房は「兼房乱れ(けんぼうみだれ)」と呼ばれる独特の刃文を考案したことでその名を馳せました。 美濃の刀工たちは、たゆまぬ研鑽と卓越した技術により「美濃伝」という独自の伝法を確立しました。その特徴は、直刃調に尖り刃が交じるものや、白く霧がかったような「映り」が立つ乱れ刃にあります。美濃伝は鎌倉時代後期の「大和伝」を源流とし、南北朝から室町時代にかけて隆盛を極め、江戸時代に至るまでその伝統を継承しました。その進化と永続性は、美濃刀工たちの高い芸術性と技術力を物語っています。 特に戦国時代、武器としての需要が高まったことで美濃伝は飛躍的な発展を遂げました。美濃国は地理的にも、明智光秀が治めた美濃、織田信長の尾張、徳川家康の駿河といった有力大名の領地に隣接しており、これら戦国大名やその家臣団から多大な需要がありました。さらに、関東と京を結ぶ要所に位置していたため、諸大名にとって注文がしやすかったことも繁栄の要因です。美濃刀は実用性と斬れ味においても定評があり、多くの武将に愛用されました。 本作は、日本美術刀剣保存協会(NBTHK)より「特別保存刀剣」に指定されています。この鑑定書は、保存状態が極めて良く、かつ芸術的価値の高い真作の日本刀にのみ与えられるものです。 ※棟(むね)の一部に黒錆が見られます。詳細なコンディションについては、お気軽にお問い合わせください。 【刀身】 長さ(Nagasa):31.5 cm 反り(Sori):0.3 cm 刃文(Hamon):焼入れによって刃先に現れる結晶構造。 地鉄(Jihada):折り返し鍛錬によって現れる鋼の表面模様。 切先(Kissaki):刀身の先端部分。 茎(Nakago):柄に収まる持ち手部分。 茎に現れる黒錆は、柄の中での赤錆の発生を防ぐ役割があります。この経年による錆色は、専門家が制作年代を推定する際の重要な指標となります。 【拵】 拵(Koshirae):鞘、柄、鍔などを含めた外装。 縁頭(Fuchi-Kashira):柄の両端を保護し装飾する一対の金具。 本作の縁には「雁と笹」、頭には「桐」が施されています。笹の意匠は、金属を切り抜いて文様を表現する「透かし彫り」の技法で描かれており、非常に風雅な趣があります。 日本文化において、竹(笹)は天に向かって真っ直ぐに伸びる姿から、高潔さ、強靭さ、そして不屈の精神を象徴する大変縁起の良い植物とされています。
Certificate reading — 銘 兼房作



























美濃伝 · 美濃
現在154点販売中
美濃国の関は、南北朝より室町、新刀期に至るまで日本刀の一大生産地として栄えた鍛冶の地である。その源流は二つに発し、説明書は金重と志津兼氏とを並べて美濃鍛冶の祖とする。金重は『古今銘尽』に法名道阿、越前敦賀の住人と伝えられ、敦賀より関へ越えて住したといい、相州正宗十哲の一に数えられて、沸の厚い穏やかな手を美濃の地鉄に持ち込んだ。兼氏に発する志津の系は、尖り互の目に走る乱調をもって、いま一つの根をなす。この二流が南北朝の美濃伝を形づくり、金行のごとく金重に続く工、室町に入って善定派の兼吉のように大和手掻の血を関に運んだ工が加わって、流れは広がった。室町後期には兼元・兼定の二名を頂点とする末関の隆盛を迎え、孫六兼元の名と和泉守兼定の受領とが、地方の量産地にとどまらぬ関の格を世に示した。大和と相州の二つの源流に、備前を意識した白け映りの地が結ばれて、美濃伝という一個の伝法が立ったのである。 関物を貫くのは、工と系統の差を越えて繰り返される美濃の共通語法である。地鉄は板目に柾を交えてしばしば肌立ち、刃寄りに柾がかり、鎬地は柾に流れる。その地に立つ映りは備前の明るい乱れ映りではなく、淡く白ける美濃鉄の靄のような白け映りで、説明書はこれを終始、備前と作を分かつ見どころとして掲げる。刃文は互の目を主調に尖り刃を交え、兼元にあっては整然と並ぶ尖り刃の三本杉となり、兼定や兼之にあっては頭の丸い互の目とのたれを交えて変化に富む。沸は乾いて締まり、匂口は冴え、足入り、砂流し・細かな金筋が刃中を走る。帽子は乱れ込んで先尖りごころとなり、あるいは丸く地蔵風に返る。これらは関の背骨をなす型であって、工により濃淡を異にする。金重・金行の手は穏やかで地が肌立ち、善定兼吉は大和の血を負って締った直刃と柾がかる板目を見せ、末関の氏房は大らかなのたれに尖り刃を折り込み、兼房は頭の丸い互の目の兼房乱れを得意とする。同じ語法のうちに、それぞれの工の手が読み分けられる。 収集家が関物を求めるのは、その鑑定が手応えを伴う一個の眼の修練だからである。映りが白く沸が乾いて締まる美濃の地刃は、備前の華やかな映りとも、山城の長く澄んだ直刃とも異なり、これを見分けることが関を識る勘所となる。主要工の格は説明書の評にそのまま現れる。孫六兼元は三本杉の創始者として名を成し、和泉守兼定すなわちノサダは、白ける板目に焼いた賑やかな美濃の刃と来国俊風の細直刃の双方を能くして、古刀期に珍しい受領を許され、刀剣書が「すぐれたる上手」と評する当代第一の手とされる。兼之は末関中最もよく練れた鍛えを見せて作域広く、永正・大永のノサダとして賞玩が厚い。これらの名は将軍家・大名家の伝来を負い、ノサダの太刀には武田信虎のために打たれた一口があり、菊花紋を切った刀は皇室との関わりを示し、徳川将軍家への献上を経た金重の短刀も伝わる。末関の氏房一門は清須・名古屋へ移って尾張新刀三祖の一を生み、古い美濃の手が新たな伝統へ移る蝶番に立った。切れ味をもって武用に応えた量産の地でありながら、孫六兼元らの最上手の作は美術的価値においても高く評され、その白け映りと乾いた沸の手を識ることが、美濃伝いかに始まり継がれたかを語る証となる。 詳しく見る →
戦国の関は一つの産業であった。春日神社を氏神と仰ぐ鍛冶たちが、中部日本の軍勢を武装させた。孫六兼元の三本杉と之定の最上作は、量産の町に第一級の技が息づいていたことの証である。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトReturns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.