江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
備前守藤原氏房 平戸國重金具一作拵 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)特別保存刀剣 流派:尾張 時代:江戸時代初期(寛永頃:1624-1644年) 鑑定・格付け:NBTHK 特別保存刀剣 銘:「備前守藤原氏房」 刀工大鑑評価:350万円 藤代鑑定:中上作 種別:脇差 長さ:39.2 cm(一尺二寸九分) 姿:平造り 反り:先反り 反り量:0.9 cm 棟:庵棟 重ね:7 mm 元幅:3.4 cm 茎状態:生茎 茎形状:標準、栗尻 目釘穴:二個 鑢目:筋違 刃文:小沸出来の直刃で、明るく冴えた匂口が均一に広がる。僅かにのたれを交え、鼠足が入る。 帽子:尖りごころに長く返る。返りには沸の働きが見て取れる。 鍛え:板目肌に地沸つく。やや肌立ち、棟寄りに地景が混じる。 作品解説: 尾張の名工、備前守氏房による身幅広く力強い名品です。氏房は山田浅右衛門の「懐宝剣尺」において和裁物(わざもの)に列せられ、藤代鑑定では中上作、刀工大鑑では350万円の評価を受けるなど、古来より高く評価されてきた工です。 備前守氏房は飛騨守氏房の嫡男として文禄4年(1595年)に清須で生まれました。幼名を伊勢千代、後に長次郎と称します。元和7年(1621年)、27歳の時に備前守を受領し「備前守藤原氏房」と銘じ始めました。尾張藩主・徳川義直の御用鍛冶として仕え、寛永8年(1631年)37歳で家督を継承。寛永11年(1634年)春、40歳で隠居して「備前守氏房入道」と号しました。寛文6年(1666年)10月25日、72歳で没しています。本作は受領から隠居までの1621年から1634年の間に制作された脂の乗った時期の逸品です。 附帯する拵は、平戸派の意匠が光る見事な一作拵です。鐔、小柄、縁には「平戸住國重」の銘があり、それぞれの銘振りや鏨運びの違いから、若山作『刀装具銘字大鑑』に良工(四つ星)として列せられる平戸國重の二代にわたる共演を愉しむことができる興味深い資料でもあります。 金具の画題は龍で統一され、平戸彫り特有の真鍮地で仕立てられています。目貫は赤銅地の「飯椀に箸」という珍しい意匠で、椀の部分には独特の赤橙色の色絵が施され、金の色絵が華を添えています。小柄の穂先には「加賀次郎藤原盛道」の銘があります。 鞘は黒石目地で状態も良く、漆に僅かな当たりがある程度で、平戸細工の美しさを現代に伝える貴重な作例です。 刀身は研ぎ上がりで欠点はなく、健全そのものです。特別保存刀剣の格を持ち、江戸時代の時代拵がこれほど良い状態で揃っている例は稀であり、自信を持ってお勧めできる一振りです。 備前守氏房の在銘脇差に、平戸國重の一作拵が附いた珠玉の逸品。金着一重箔入元ハバキ、つなぎ、白鞘、刀袋付。NBTHK特別保存刀剣鑑定書付属。 販売中の日本刀一覧へ戻る
























美濃伝 · 美濃
現在154点販売中
美濃国の関は、南北朝より室町、新刀期に至るまで日本刀の一大生産地として栄えた鍛冶の地である。その源流は二つに発し、説明書は金重と志津兼氏とを並べて美濃鍛冶の祖とする。金重は『古今銘尽』に法名道阿、越前敦賀の住人と伝えられ、敦賀より関へ越えて住したといい、相州正宗十哲の一に数えられて、沸の厚い穏やかな手を美濃の地鉄に持ち込んだ。兼氏に発する志津の系は、尖り互の目に走る乱調をもって、いま一つの根をなす。この二流が南北朝の美濃伝を形づくり、金行のごとく金重に続く工、室町に入って善定派の兼吉のように大和手掻の血を関に運んだ工が加わって、流れは広がった。室町後期には兼元・兼定の二名を頂点とする末関の隆盛を迎え、孫六兼元の名と和泉守兼定の受領とが、地方の量産地にとどまらぬ関の格を世に示した。大和と相州の二つの源流に、備前を意識した白け映りの地が結ばれて、美濃伝という一個の伝法が立ったのである。 関物を貫くのは、工と系統の差を越えて繰り返される美濃の共通語法である。地鉄は板目に柾を交えてしばしば肌立ち、刃寄りに柾がかり、鎬地は柾に流れる。その地に立つ映りは備前の明るい乱れ映りではなく、淡く白ける美濃鉄の靄のような白け映りで、説明書はこれを終始、備前と作を分かつ見どころとして掲げる。刃文は互の目を主調に尖り刃を交え、兼元にあっては整然と並ぶ尖り刃の三本杉となり、兼定や兼之にあっては頭の丸い互の目とのたれを交えて変化に富む。沸は乾いて締まり、匂口は冴え、足入り、砂流し・細かな金筋が刃中を走る。帽子は乱れ込んで先尖りごころとなり、あるいは丸く地蔵風に返る。これらは関の背骨をなす型であって、工により濃淡を異にする。金重・金行の手は穏やかで地が肌立ち、善定兼吉は大和の血を負って締った直刃と柾がかる板目を見せ、末関の氏房は大らかなのたれに尖り刃を折り込み、兼房は頭の丸い互の目の兼房乱れを得意とする。同じ語法のうちに、それぞれの工の手が読み分けられる。 収集家が関物を求めるのは、その鑑定が手応えを伴う一個の眼の修練だからである。映りが白く沸が乾いて締まる美濃の地刃は、備前の華やかな映りとも、山城の長く澄んだ直刃とも異なり、これを見分けることが関を識る勘所となる。主要工の格は説明書の評にそのまま現れる。孫六兼元は三本杉の創始者として名を成し、和泉守兼定すなわちノサダは、白ける板目に焼いた賑やかな美濃の刃と来国俊風の細直刃の双方を能くして、古刀期に珍しい受領を許され、刀剣書が「すぐれたる上手」と評する当代第一の手とされる。兼之は末関中最もよく練れた鍛えを見せて作域広く、永正・大永のノサダとして賞玩が厚い。これらの名は将軍家・大名家の伝来を負い、ノサダの太刀には武田信虎のために打たれた一口があり、菊花紋を切った刀は皇室との関わりを示し、徳川将軍家への献上を経た金重の短刀も伝わる。末関の氏房一門は清須・名古屋へ移って尾張新刀三祖の一を生み、古い美濃の手が新たな伝統へ移る蝶番に立った。切れ味をもって武用に応えた量産の地でありながら、孫六兼元らの最上手の作は美術的価値においても高く評され、その白け映りと乾いた沸の手を識ることが、美濃伝いかに始まり継がれたかを語る証となる。 詳しく見る →
江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト3 day inspection period on all sales. Items can be returned for any reason for a full refund, less return shipping cost. Returned items must be in the same condition as when purchased.
備前守藤原氏房 平戸國重金具一作拵 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)特別保存刀剣 流派:尾張 時代:江戸時代初期(寛永頃:1624-1644年) 鑑定・格付け:NBTHK 特別保存刀剣 銘:「備前守藤原氏房」 刀工大鑑評価:350万円 藤代鑑定:中上作 種別:脇差 長さ:39.2 cm(一尺二寸九分) 姿:平造り 反り:先反り 反り量:0.9 cm 棟:庵棟 重ね:7 mm 元幅:3.4 cm 茎状態:生茎 茎形状:標準、栗尻 目釘穴:二個 鑢目:筋違 刃文:小沸出来の直刃で、明るく冴えた匂口が均一に広がる。僅かにのたれを交え、鼠足が入る。 帽子:尖りごころに長く返る。返りには沸の働きが見て取れる。 鍛え:板目肌に地沸つく。やや肌立ち、棟寄りに地景が混じる。 作品解説: 尾張の名工、備前守氏房による身幅広く力強い名品です。氏房は山田浅右衛門の「懐宝剣尺」において和裁物(わざもの)に列せられ、藤代鑑定では中上作、刀工大鑑では350万円の評価を受けるなど、古来より高く評価されてきた工です。 備前守氏房は飛騨守氏房の嫡男として文禄4年(1595年)に清須で生まれました。幼名を伊勢千代、後に長次郎と称します。元和7年(1621年)、27歳の時に備前守を受領し「備前守藤原氏房」と銘じ始めました。尾張藩主・徳川義直の御用鍛冶として仕え、寛永8年(1631年)37歳で家督を継承。寛永11年(1634年)春、40歳で隠居して「備前守氏房入道」と号しました。寛文6年(1666年)10月25日、72歳で没しています。本作は受領から隠居までの1621年から1634年の間に制作された脂の乗った時期の逸品です。 附帯する拵は、平戸派の意匠が光る見事な一作拵です。鐔、小柄、縁には「平戸住國重」の銘があり、それぞれの銘振りや鏨運びの違いから、若山作『刀装具銘字大鑑』に良工(四つ星)として列せられる平戸國重の二代にわたる共演を愉しむことができる興味深い資料でもあります。 金具の画題は龍で統一され、平戸彫り特有の真鍮地で仕立てられています。目貫は赤銅地の「飯椀に箸」という珍しい意匠で、椀の部分には独特の赤橙色の色絵が施され、金の色絵が華を添えています。小柄の穂先には「加賀次郎藤原盛道」の銘があります。 鞘は黒石目地で状態も良く、漆に僅かな当たりがある程度で、平戸細工の美しさを現代に伝える貴重な作例です。 刀身は研ぎ上がりで欠点はなく、健全そのものです。特別保存刀剣の格を持ち、江戸時代の時代拵がこれほど良い状態で揃っている例は稀であり、自信を持ってお勧めできる一振りです。 備前守氏房の在銘脇差に、平戸國重の一作拵が附いた珠玉の逸品。金着一重箔入元ハバキ、つなぎ、白鞘、刀袋付。NBTHK特別保存刀剣鑑定書付属。 販売中の日本刀一覧へ戻る
























美濃伝 · 美濃
現在154点販売中
美濃国の関は、南北朝より室町、新刀期に至るまで日本刀の一大生産地として栄えた鍛冶の地である。その源流は二つに発し、説明書は金重と志津兼氏とを並べて美濃鍛冶の祖とする。金重は『古今銘尽』に法名道阿、越前敦賀の住人と伝えられ、敦賀より関へ越えて住したといい、相州正宗十哲の一に数えられて、沸の厚い穏やかな手を美濃の地鉄に持ち込んだ。兼氏に発する志津の系は、尖り互の目に走る乱調をもって、いま一つの根をなす。この二流が南北朝の美濃伝を形づくり、金行のごとく金重に続く工、室町に入って善定派の兼吉のように大和手掻の血を関に運んだ工が加わって、流れは広がった。室町後期には兼元・兼定の二名を頂点とする末関の隆盛を迎え、孫六兼元の名と和泉守兼定の受領とが、地方の量産地にとどまらぬ関の格を世に示した。大和と相州の二つの源流に、備前を意識した白け映りの地が結ばれて、美濃伝という一個の伝法が立ったのである。 関物を貫くのは、工と系統の差を越えて繰り返される美濃の共通語法である。地鉄は板目に柾を交えてしばしば肌立ち、刃寄りに柾がかり、鎬地は柾に流れる。その地に立つ映りは備前の明るい乱れ映りではなく、淡く白ける美濃鉄の靄のような白け映りで、説明書はこれを終始、備前と作を分かつ見どころとして掲げる。刃文は互の目を主調に尖り刃を交え、兼元にあっては整然と並ぶ尖り刃の三本杉となり、兼定や兼之にあっては頭の丸い互の目とのたれを交えて変化に富む。沸は乾いて締まり、匂口は冴え、足入り、砂流し・細かな金筋が刃中を走る。帽子は乱れ込んで先尖りごころとなり、あるいは丸く地蔵風に返る。これらは関の背骨をなす型であって、工により濃淡を異にする。金重・金行の手は穏やかで地が肌立ち、善定兼吉は大和の血を負って締った直刃と柾がかる板目を見せ、末関の氏房は大らかなのたれに尖り刃を折り込み、兼房は頭の丸い互の目の兼房乱れを得意とする。同じ語法のうちに、それぞれの工の手が読み分けられる。 収集家が関物を求めるのは、その鑑定が手応えを伴う一個の眼の修練だからである。映りが白く沸が乾いて締まる美濃の地刃は、備前の華やかな映りとも、山城の長く澄んだ直刃とも異なり、これを見分けることが関を識る勘所となる。主要工の格は説明書の評にそのまま現れる。孫六兼元は三本杉の創始者として名を成し、和泉守兼定すなわちノサダは、白ける板目に焼いた賑やかな美濃の刃と来国俊風の細直刃の双方を能くして、古刀期に珍しい受領を許され、刀剣書が「すぐれたる上手」と評する当代第一の手とされる。兼之は末関中最もよく練れた鍛えを見せて作域広く、永正・大永のノサダとして賞玩が厚い。これらの名は将軍家・大名家の伝来を負い、ノサダの太刀には武田信虎のために打たれた一口があり、菊花紋を切った刀は皇室との関わりを示し、徳川将軍家への献上を経た金重の短刀も伝わる。末関の氏房一門は清須・名古屋へ移って尾張新刀三祖の一を生み、古い美濃の手が新たな伝統へ移る蝶番に立った。切れ味をもって武用に応えた量産の地でありながら、孫六兼元らの最上手の作は美術的価値においても高く評され、その白け映りと乾いた沸の手を識ることが、美濃伝いかに始まり継がれたかを語る証となる。 詳しく見る →
江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト3 day inspection period on all sales. Items can be returned for any reason for a full refund, less return shipping cost. Returned items must be in the same condition as when purchased.