M136. 鉄地透鐔 寸法:6.4cm x 7.0cm x 0.3cm 銘:山吉兵(門人・後代作) 山吉兵特有の、いわゆる「焼手(やきで)」と呼ばれる、表面が溶けたような独特の質感がよく表れた一枚です。 透かしの意匠は、片面に松、もう片面には蜻蛉、あるいは耳の長い兎とも見て取れる趣深い図案となっております。 耳および平地には、力強い鉄骨(てっこつ)が随所に現れており、鉄色の冴えも申し分ありません。 保存状態は極めて良好です。 375ドル










山吉派
在銘
鐔工 · 尾張
現在1点販売中
山吉兵の一門は、本姓を山坂吉兵衛と称し、法安と並んで尾張鐔を代表する鐔工の流派である。元来は織田家の甲冑鍛冶であったとも伝えられ、室町末期の尾張・清洲を拠点として活動を開始した。銘文に「山坂吉兵へ」と姓を略さずに切られたものが最も作風的に古く、元亀頃の作と推定される。以後数代にわたり名跡が継承され、「山吉兵へ」「山吉兵」と略銘を用いる二代目は桃山時代に活躍し、さらに尾州の知名と桜の刻印を添える三代目は寛文から元禄の人である。初代山吉兵については旧来から信家の門人説が流布されているが、説示において「師弟説を立証する文献や作品を実見した事が無い」と明記され、信家作品との共通性は希薄であり、むしろ法安作品に類似点が多く関連性が強いとされている。 山吉一門の作風は、鉄地の鍛えと仕上げに根差した堂々たる造り込みを特徴とする。形は堂々として鍛えがよく、焼なましによって隆起した鉄骨が処々にあらわれて雅味があり、力強さをさそう。槌目仕立てと焼手仕上げによる地鉄の景色は自在の変化に富み、鉄錆の色に赤味を帯びた独特の肌合いを呈する。装飾技法の核心は阿弥陀鑢であり、とりわけ二代目の阿弥陀鑢は「新古を通じて阿弥陀鑢では山吉兵に比肩するものは無い」と評される至高の境地に達している。透かしの意匠は素朴な趣を旨とし、代表作として雁鎌透や車透があり、いずれも大胆かつ簡潔な構成をとる。車透図は尾張鐔が得意とする画題であり、法安や信家、金山等にも見られるが、山吉銘にもいくつかの形の車透が伝わる。菊花形や鋤下彫による菊花意匠など、尾張鐔に間々見られる図柄も取り上げている。打返耳は力強く、耳に粒状の鉄骨がしきりにあらわれて野趣を盛り上げ、両櫃孔の鉛埋めは地よりも僅かに低い肉置きで「尾張埋め」と称されて珍重される。説示が繰り返し述べるように、「当時流行した打刀拵にかけると一層引き立ってみえる鐔」であり、実用と鑑賞の両面において完成された造形を示す。 山吉一門は尾張鉄鐔の伝統において中核的な位置を占める。初代すなわち「大初代」は、御多福木瓜形という当時としては斬新な形体を採用し、変り木瓜形の鉄地に頻りと鉄骨を見せた大胆な大透を施して、戦国というきびしい時代に生まれた鐔の気迫を伝えている。二代目は重なり合った阿弥陀鑢に孤高の美しさを秘め、「この手強い中にある質素な美しさこそが武士道に合通じるもの」と評される境地を開いた。説示はまた、山吉の作に「甲冑師鐔や刀匠鐔といった古鐔の美を継承した雅味」を認めており、古来の鉄鐔の伝統を受け継ぎながらも独自の野趣と物深い雅味を確立した一門の芸術的意義を示している。堂々たる姿、鉄骨の力強さ、そして鉄そのものの美を極めた作風は、尾張鐔の精髄として今日も高く評価されている。
販売店の出品ページで鑑定書を確認できませんでした。日本刀および刀装具は通常、NBTHK(または NTHK)の鑑定を受けます。鑑定書がない場合、極めは販売店の見解にとどまり、第三者による確認は行われていません。ご購入前に販売店へ鑑定書の有無をお問い合わせのうえ、慎重にご判断ください。
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M136. 鉄地透鐔 寸法:6.4cm x 7.0cm x 0.3cm 銘:山吉兵(門人・後代作) 山吉兵特有の、いわゆる「焼手(やきで)」と呼ばれる、表面が溶けたような独特の質感がよく表れた一枚です。 透かしの意匠は、片面に松、もう片面には蜻蛉、あるいは耳の長い兎とも見て取れる趣深い図案となっております。 耳および平地には、力強い鉄骨(てっこつ)が随所に現れており、鉄色の冴えも申し分ありません。 保存状態は極めて良好です。 375ドル










山吉派
在銘
鐔工 · 尾張
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山吉兵の一門は、本姓を山坂吉兵衛と称し、法安と並んで尾張鐔を代表する鐔工の流派である。元来は織田家の甲冑鍛冶であったとも伝えられ、室町末期の尾張・清洲を拠点として活動を開始した。銘文に「山坂吉兵へ」と姓を略さずに切られたものが最も作風的に古く、元亀頃の作と推定される。以後数代にわたり名跡が継承され、「山吉兵へ」「山吉兵」と略銘を用いる二代目は桃山時代に活躍し、さらに尾州の知名と桜の刻印を添える三代目は寛文から元禄の人である。初代山吉兵については旧来から信家の門人説が流布されているが、説示において「師弟説を立証する文献や作品を実見した事が無い」と明記され、信家作品との共通性は希薄であり、むしろ法安作品に類似点が多く関連性が強いとされている。 山吉一門の作風は、鉄地の鍛えと仕上げに根差した堂々たる造り込みを特徴とする。形は堂々として鍛えがよく、焼なましによって隆起した鉄骨が処々にあらわれて雅味があり、力強さをさそう。槌目仕立てと焼手仕上げによる地鉄の景色は自在の変化に富み、鉄錆の色に赤味を帯びた独特の肌合いを呈する。装飾技法の核心は阿弥陀鑢であり、とりわけ二代目の阿弥陀鑢は「新古を通じて阿弥陀鑢では山吉兵に比肩するものは無い」と評される至高の境地に達している。透かしの意匠は素朴な趣を旨とし、代表作として雁鎌透や車透があり、いずれも大胆かつ簡潔な構成をとる。車透図は尾張鐔が得意とする画題であり、法安や信家、金山等にも見られるが、山吉銘にもいくつかの形の車透が伝わる。菊花形や鋤下彫による菊花意匠など、尾張鐔に間々見られる図柄も取り上げている。打返耳は力強く、耳に粒状の鉄骨がしきりにあらわれて野趣を盛り上げ、両櫃孔の鉛埋めは地よりも僅かに低い肉置きで「尾張埋め」と称されて珍重される。説示が繰り返し述べるように、「当時流行した打刀拵にかけると一層引き立ってみえる鐔」であり、実用と鑑賞の両面において完成された造形を示す。 山吉一門は尾張鉄鐔の伝統において中核的な位置を占める。初代すなわち「大初代」は、御多福木瓜形という当時としては斬新な形体を採用し、変り木瓜形の鉄地に頻りと鉄骨を見せた大胆な大透を施して、戦国というきびしい時代に生まれた鐔の気迫を伝えている。二代目は重なり合った阿弥陀鑢に孤高の美しさを秘め、「この手強い中にある質素な美しさこそが武士道に合通じるもの」と評される境地を開いた。説示はまた、山吉の作に「甲冑師鐔や刀匠鐔といった古鐔の美を継承した雅味」を認めており、古来の鉄鐔の伝統を受け継ぎながらも独自の野趣と物深い雅味を確立した一門の芸術的意義を示している。堂々たる姿、鉄骨の力強さ、そして鉄そのものの美を極めた作風は、尾張鐔の精髄として今日も高く評価されている。
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