信家

NobuieNobuie (shodai)

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特重巻 2, 番 31 · 鍔

概要

尾張の鐔工信家は、京伏見の金家と共に鉄鐔の双璧と称される名工であり、指定を受けた五十六枚の鐔はほぼすべて鍛えた鉄の作である。説明はその製作を戦国時代を中心に、室町時代末期から桃山時代に置く。通説では甲冑師明珍家十七代で、武田信玄から信の一字を貰って信家と改めたといい、また信玄に招かれて甲州に移住したとも伝えるが、説明はいずれも伝承にとどめ、移住は明らかでないとする。さらに説明は「信家は一人でなく」、室町末期に同名数工があり、江戸時代にも同名があって、尾張をはじめ各地に居住したと記す。天文などの年紀のある甲冑師信家の兜が現存するが、その銘字や花押は鐔のそれと一致せず、江戸時代以来の偽物も研究の障害となっている。左傾銘の一枚は「尾張鐔工初代信家の作」とされる。

説明は六十通中四十五通で、ほぼ同文をもって「鉄の鍛えが無類に良く、地文の景色が豊富で雅趣に富み、打刀拵に最も良く映る鐔である」と記す。「絵風鐔を創始した金家の薄手に対して信家鐔は厚手で量感があり」、多くは槌目地で、耳や平地に鉄骨をあらわし、錆色は重厚で、時に紫にやや赤味を帯びる。説明は「信家鐔の生命ともいうべき美しい鉄錆」といい、水玉透鐔については「鉄がこれほど強く美しいものだと知らされる鐔は数少ない」と評する。故秋山久作翁の最も愛蔵した一枚については「無技巧の巧」を表現するという。

形は木瓜形や丸形が多く、稀に蹴鞠形や下辺が張り出した障泥形があり、「透しよりは板地が圧倒的に多い」。肉置は中低外高で、耳は叩き締めて打ち返し、小縁を立てる。説明はこれを「信家の真骨頂と言われる躍動する打返耳」とし、また「耳から茎孔にかけての曲線は信家独特」とする。平地には得意の毛彫で瓢箪、朝顔、沢瀉、亀甲・破れ亀甲、松葉、海松、桐唐草、蔦唐草、梅、楓、樹上の木菟などをあらわし、放れ銘の作にはしばしば菊花の打込みを散らす。鋤出彫や小透は少なく、真鍮据紋象嵌を用いた桜花水車図鐔は「信家鐔中、極めて珍しい工法」とされる。

「八幡大菩薩」の神号、「南無妙法蓮華経」の題目、剣の極意や時代の思想を表した道歌を毛彫にした鐔も、説明は「これも信家鐔の大きな見どころとされている」とする。題目と五輪文字の鐔、「人間萬事塞翁馬」の文字鐔、髑髏を鋤き出した野晒に題目文字鐔などがあり、弓矢八幡の特別重要刀装具については「戦国の世に生きた武士の達観の境地が粛粛と伝わってくる」と記す。銘は殆どが二字銘で、大別して放れ銘と太字銘に分けられ、秋山久作翁は銘字により七種に区別し、江戸末期には中村覚太夫が「信家鐔集」を著した。花押を添えるのは「同作中唯一、花押が刻された太字つまり銘信家」の一枚のみである。

車透は信家に限らず尾張の「法安、山吉、金山」らにも見られる。十四本の足を地透にした特別重要刀装具の車透鐔は「同作中屈指の出来映え」とされる。説明はまた、信家鐔がどの趣向の拵にもかかる調和性と堅牢性によって武士に愛用されたと記し、「室町時代末期から桃山時代に於ける鉄鐔の魅力を最大限に味わえる作品」と繰り返し評する。

信家の指定作は重要刀装具五十六枚で、うち四枚が特別重要刀装具に進む。国宝・重要文化財はない。伝来の記録は少なく、題目五輪文字鐔は「伊達公爵家伝来」、阿弥陀鑢亀甲文鐔は秋山久作翁の旧蔵、十四本車透鐔は大阪の濱田元七から綱屋が求め、のち古河家に納められた。現在の所蔵者は記録されていない。鐔工としては指定作が比較的多く、時に世に現れることもある。

歴史的重要度

信家の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定

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