江戸時代中期 古甲冑 特別貴重資料認定書(A-41)付 時代:江戸時代中期(1688-1800年頃) 日本甲冑武具研究保存会 鑑定 ■兜 【鉢】鉄錆色漆塗十八間筋兜 兜は頭部を守るための防具です。当初は実用性を重視して製作されていましたが、時代と共にその役割は変遷し、武士たちは独自の意匠を凝らした兜を着用することで、己の威厳や個性、あるいは信仰心を表すようになりました。こうした独特な造形の兜は「変わり兜」と呼ばれ、室町時代後期から江戸時代にかけて流行しました。その装飾には獣毛や貝殻、植物、紙など多種多様な素材が用いられました。 ここで兜の歴史について触れますと、変わり兜が登場する以前、南北朝時代に「筋兜」が誕生しました。当時の戦闘様式が、太刀や薙刀を用いた騎馬戦から、打刀による徒戦(かちいくさ)へと移行したことで、兜の軽量化が求められるようになりました。また、刀剣による打撃を受け流すための構造として考案されたのが筋兜です。室町時代に全盛期を迎えたこの形式は、江戸時代にもその伝統が引き継がれました。 本作は江戸時代に製作された「十八間筋兜」で、18枚の鉄板(地板)を矧ぎ合わせて構成されています。表面は鉄錆色の漆で仕上げられており、重厚かつ風格漂う佇まいを見せています。 【しころ】 鉄板黒漆塗紺糸素懸威 【吹返】 吹返は兜の両端に位置し、顔側面を刀刃から守る役割を持ちます。本作の吹返には文字のような意匠が施されており、これは「護符(ごふ)」であると推察されます。 護符とは、厄除けや招福、あるいは守護の力を宿すと信じられている象徴です。日本では古来より、災厄を払い、健康や勝利を祈願するために用いられてきました。精神的な支えとして、また武運長久を願う呪術的な意味を込めて、武具にこうした意匠を取り入れる例が多く見られます。 ■面頬:烈勢面頬 本作は「烈勢面頬(れっせいめんぽう)」と呼ばれる形式で、敵を威圧するために憤怒の表情を象っています。面頬の役割は顔面の保護のみならず、自らの素顔を隠すことで心理状態を悟らせないという目的もありました。また、本作には立派な髭が蓄えられており、これにより若輩の兵であっても、経験豊かな老練の武士のような威厳を醸し出すことが可能でした。 ■前立:頭襟(ときん) 本兜には「頭襟」をモチーフとした前立が添えられています。 頭襟とは、戦国時代から江戸時代にかけて山中で修行を行った山伏(修験者)が頭に戴く小さな黒い帽子のことです。黒漆で固めた布で作られ、中央の突起から放射状に広がる12の筋が特徴です。この意匠は仏教における「十二因縁(じゅうにいんねん)」を象徴しているとされ、迷いや苦しみを取り除くための教えが込められています。 ■胴 【形式】二枚胴 鉄板黒漆塗二枚胴






























当世具足 · 二枚胴
具足一連(完備)
25間 · 筋鉢
無銘
Navy
江戸
出来・保存状態が特に優れ、特別に貴重と認められた甲冑武具で、五段階の第三位にあたります。
甲冑はNBTHKの鑑定対象ではありません。日本甲冑武具研究保存会(1961年設立)が甲冑武具の研究・保存を担う中心的団体で、その審査は作品を「資料」として、保存資料・貴重資料・特別貴重資料・甲種特別貴重資料・最高位の重要文化資料という五段階で格付けします。「資料」という呼称は、刀剣の鑑定とは別に、甲冑を文化的・歴史的な資料として保存するという会の趣旨を表しています。
Returns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.








$15,081
江戸時代中期 古甲冑 特別貴重資料認定書(A-41)付 時代:江戸時代中期(1688-1800年頃) 日本甲冑武具研究保存会 鑑定 ■兜 【鉢】鉄錆色漆塗十八間筋兜 兜は頭部を守るための防具です。当初は実用性を重視して製作されていましたが、時代と共にその役割は変遷し、武士たちは独自の意匠を凝らした兜を着用することで、己の威厳や個性、あるいは信仰心を表すようになりました。こうした独特な造形の兜は「変わり兜」と呼ばれ、室町時代後期から江戸時代にかけて流行しました。その装飾には獣毛や貝殻、植物、紙など多種多様な素材が用いられました。 ここで兜の歴史について触れますと、変わり兜が登場する以前、南北朝時代に「筋兜」が誕生しました。当時の戦闘様式が、太刀や薙刀を用いた騎馬戦から、打刀による徒戦(かちいくさ)へと移行したことで、兜の軽量化が求められるようになりました。また、刀剣による打撃を受け流すための構造として考案されたのが筋兜です。室町時代に全盛期を迎えたこの形式は、江戸時代にもその伝統が引き継がれました。 本作は江戸時代に製作された「十八間筋兜」で、18枚の鉄板(地板)を矧ぎ合わせて構成されています。表面は鉄錆色の漆で仕上げられており、重厚かつ風格漂う佇まいを見せています。 【しころ】 鉄板黒漆塗紺糸素懸威 【吹返】 吹返は兜の両端に位置し、顔側面を刀刃から守る役割を持ちます。本作の吹返には文字のような意匠が施されており、これは「護符(ごふ)」であると推察されます。 護符とは、厄除けや招福、あるいは守護の力を宿すと信じられている象徴です。日本では古来より、災厄を払い、健康や勝利を祈願するために用いられてきました。精神的な支えとして、また武運長久を願う呪術的な意味を込めて、武具にこうした意匠を取り入れる例が多く見られます。 ■面頬:烈勢面頬 本作は「烈勢面頬(れっせいめんぽう)」と呼ばれる形式で、敵を威圧するために憤怒の表情を象っています。面頬の役割は顔面の保護のみならず、自らの素顔を隠すことで心理状態を悟らせないという目的もありました。また、本作には立派な髭が蓄えられており、これにより若輩の兵であっても、経験豊かな老練の武士のような威厳を醸し出すことが可能でした。 ■前立:頭襟(ときん) 本兜には「頭襟」をモチーフとした前立が添えられています。 頭襟とは、戦国時代から江戸時代にかけて山中で修行を行った山伏(修験者)が頭に戴く小さな黒い帽子のことです。黒漆で固めた布で作られ、中央の突起から放射状に広がる12の筋が特徴です。この意匠は仏教における「十二因縁(じゅうにいんねん)」を象徴しているとされ、迷いや苦しみを取り除くための教えが込められています。 ■胴 【形式】二枚胴 鉄板黒漆塗二枚胴






























当世具足 · 二枚胴
具足一連(完備)
25間 · 筋鉢
無銘
Navy
江戸
出来・保存状態が特に優れ、特別に貴重と認められた甲冑武具で、五段階の第三位にあたります。
甲冑はNBTHKの鑑定対象ではありません。日本甲冑武具研究保存会(1961年設立)が甲冑武具の研究・保存を担う中心的団体で、その審査は作品を「資料」として、保存資料・貴重資料・特別貴重資料・甲種特別貴重資料・最高位の重要文化資料という五段階で格付けします。「資料」という呼称は、刀剣の鑑定とは別に、甲冑を文化的・歴史的な資料として保存するという会の趣旨を表しています。
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