江戸時代後期 具足一領 日本甲冑武具研究保存会 特別貴重資料認定書(A-53)付 時代: 江戸時代中期(1688年-1800年頃) ※本品は2026年7月26日に日本甲冑武具研究保存会の審査を受け、特別貴重資料に認定されました。認定証の発行は9月から10月頃を予定しております。 ■兜 素材:鉄製 兜は侍の頭部を守る極めて重要な防具です。初期の兜は実用性が重視されていましたが、時代が下るにつれ、武士の威厳や個性、さらには信仰心を表すものへと変化していきました。室町時代後期から江戸時代にかけては、獣毛や貝殻、植物、和紙などを用いた装飾性の高い「変わり兜」も登場しました。 実用的な意匠の中でも、特に高く評価されたのが「筋兜(すじかぶと)」です。鉢の表面に筋(継ぎ目の盛り上がり)を立てることで、刀の打撃を逸らし、衝撃を和らげる構造となっています。この技法は軽量化にも繋がり、14世紀から16世紀にかけての合戦様式の変化に対応しました。室町時代に全盛を迎えた筋兜ですが、本作は「十六間筋兜(じゅうろっけんすじかぶと)」であり、16枚の鉄板を矧ぎ合わせて鉢を形成し、機能美と堅牢さを兼ね備えています。表面は黒漆塗りで仕上げられています。 鉢の裏側(後頭部付近)には、江戸時代後期の文久元年(1861年)十月に、甲冑師「宗直」によって製作されたことを示す銘が刻まれています。 ■錣(しころ): ■吹返(ふきかえし):巴紋 吹返は兜の左右に張り出した部分で、顔側面を刀剣の攻撃から守る役割を果たします。 ■面頬(めんぽう):烈勢面頬 本作は「烈勢面頬(れっせいめんぽう)」と呼ばれる形式で、敵を威圧するために憤怒の表情を象っています。面頬には形状により多くの種類がありますが、その目的は顔面の保護のみならず、自らの表情を隠すことで心理状態を悟らせないという意図もありました。本作には長い髭が蓄えられており、これにより若年の兵であっても、経験豊かな中堅武将のような威厳ある風貌を演出することが可能でした。 ■前立(まえだて):日輪(にちりん) 兜の前面には「日輪」を象った前立が添えられています。武士の間では古来より、インドに起源を持ち大陸経由で伝来した北極星信仰と習合した「妙見(みょうけん)信仰」が広く浸透していました。宇宙の象徴である太陽、月、星は信仰の対象となり、妙見菩薩は五穀豊穣、天下泰平、一族繁栄、病気平癒、長寿、商売繁盛、交通安全、学業成就、良縁など、あらゆる願いを叶える仏として崇められました。そのため、日輪の意匠は武士の間で非常に好まれ、本作の旧蔵者もこの兜を着用することで自らの信仰心を示していたと考えられます。 北陸を統治した戦国大名・上杉謙信(1530-1578)もこの意匠を好んだことで知られています。数々の戦で勝利を収め「軍神」と称えられた謙信の兜には、日輪と三日月を組み合わせた前立が据えられていました。一説には、彼もまた妙見信仰を篤く信じ、特に日月を崇拝していたとされています。本作の前立も、日輪の意匠を通じて、戦場での加護と必勝の決意を表現したものと言えるでしょう。 ■胴:二枚胴(にまいどう) 二枚胴は、戦国時代以降に普及した「当世具足(とうせいぐそく)」の代表的な形式です。二枚のパーツで構成され……




























当世具足 · 二枚胴
具足一連(完備)
16間 · 筋鉢
Munenao
在銘 · 兜鉢
素掛膕 · 白
Tomoe Mon, Chrysanthemum
江戸
出来・保存状態が特に優れ、特別に貴重と認められた甲冑武具で、五段階の第三位にあたります。
甲冑はNBTHKの鑑定対象ではありません。日本甲冑武具研究保存会(1961年設立)が甲冑武具の研究・保存を担う中心的団体で、その審査は作品を「資料」として、保存資料・貴重資料・特別貴重資料・甲種特別貴重資料・最高位の重要文化資料という五段階で格付けします。「資料」という呼称は、刀剣の鑑定とは別に、甲冑を文化的・歴史的な資料として保存するという会の趣旨を表しています。
Returns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.








$10,714
江戸時代後期 具足一領 日本甲冑武具研究保存会 特別貴重資料認定書(A-53)付 時代: 江戸時代中期(1688年-1800年頃) ※本品は2026年7月26日に日本甲冑武具研究保存会の審査を受け、特別貴重資料に認定されました。認定証の発行は9月から10月頃を予定しております。 ■兜 素材:鉄製 兜は侍の頭部を守る極めて重要な防具です。初期の兜は実用性が重視されていましたが、時代が下るにつれ、武士の威厳や個性、さらには信仰心を表すものへと変化していきました。室町時代後期から江戸時代にかけては、獣毛や貝殻、植物、和紙などを用いた装飾性の高い「変わり兜」も登場しました。 実用的な意匠の中でも、特に高く評価されたのが「筋兜(すじかぶと)」です。鉢の表面に筋(継ぎ目の盛り上がり)を立てることで、刀の打撃を逸らし、衝撃を和らげる構造となっています。この技法は軽量化にも繋がり、14世紀から16世紀にかけての合戦様式の変化に対応しました。室町時代に全盛を迎えた筋兜ですが、本作は「十六間筋兜(じゅうろっけんすじかぶと)」であり、16枚の鉄板を矧ぎ合わせて鉢を形成し、機能美と堅牢さを兼ね備えています。表面は黒漆塗りで仕上げられています。 鉢の裏側(後頭部付近)には、江戸時代後期の文久元年(1861年)十月に、甲冑師「宗直」によって製作されたことを示す銘が刻まれています。 ■錣(しころ): ■吹返(ふきかえし):巴紋 吹返は兜の左右に張り出した部分で、顔側面を刀剣の攻撃から守る役割を果たします。 ■面頬(めんぽう):烈勢面頬 本作は「烈勢面頬(れっせいめんぽう)」と呼ばれる形式で、敵を威圧するために憤怒の表情を象っています。面頬には形状により多くの種類がありますが、その目的は顔面の保護のみならず、自らの表情を隠すことで心理状態を悟らせないという意図もありました。本作には長い髭が蓄えられており、これにより若年の兵であっても、経験豊かな中堅武将のような威厳ある風貌を演出することが可能でした。 ■前立(まえだて):日輪(にちりん) 兜の前面には「日輪」を象った前立が添えられています。武士の間では古来より、インドに起源を持ち大陸経由で伝来した北極星信仰と習合した「妙見(みょうけん)信仰」が広く浸透していました。宇宙の象徴である太陽、月、星は信仰の対象となり、妙見菩薩は五穀豊穣、天下泰平、一族繁栄、病気平癒、長寿、商売繁盛、交通安全、学業成就、良縁など、あらゆる願いを叶える仏として崇められました。そのため、日輪の意匠は武士の間で非常に好まれ、本作の旧蔵者もこの兜を着用することで自らの信仰心を示していたと考えられます。 北陸を統治した戦国大名・上杉謙信(1530-1578)もこの意匠を好んだことで知られています。数々の戦で勝利を収め「軍神」と称えられた謙信の兜には、日輪と三日月を組み合わせた前立が据えられていました。一説には、彼もまた妙見信仰を篤く信じ、特に日月を崇拝していたとされています。本作の前立も、日輪の意匠を通じて、戦場での加護と必勝の決意を表現したものと言えるでしょう。 ■胴:二枚胴(にまいどう) 二枚胴は、戦国時代以降に普及した「当世具足(とうせいぐそく)」の代表的な形式です。二枚のパーツで構成され……




























当世具足 · 二枚胴
具足一連(完備)
16間 · 筋鉢
Munenao
在銘 · 兜鉢
素掛膕 · 白
Tomoe Mon, Chrysanthemum
江戸
出来・保存状態が特に優れ、特別に貴重と認められた甲冑武具で、五段階の第三位にあたります。
甲冑はNBTHKの鑑定対象ではありません。日本甲冑武具研究保存会(1961年設立)が甲冑武具の研究・保存を担う中心的団体で、その審査は作品を「資料」として、保存資料・貴重資料・特別貴重資料・甲種特別貴重資料・最高位の重要文化資料という五段階で格付けします。「資料」という呼称は、刀剣の鑑定とは別に、甲冑を文化的・歴史的な資料として保存するという会の趣旨を表しています。
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