尾張 雷文透鐔 鉄地 丸形 地透 角耳小肉 切羽台を中心に、極めて図案化された雷文と雲気と思しき意匠を大胆な地透で表現している。上下に配された幾何学的な雷の文様と、左右対称の構成が、本作に力強い均衡とリズムを与えている。 堅牢な造り、抑制された装飾、そして量感のある耳など、尾張物特有の質実剛健な美意識が遺憾なく発揮された優品である。特に透かしの空間(負の空間)を巧みに活かした構成は、建築的とも言える力強さを感じさせる。 鉄の色艶は黒味を帯びて落ち着き、僅かに不規則な輪郭と力強い耳の仕立てが、実戦的かつ古雅な尾張の気風を際立たせている。裏面も同様の透かし構成であり、肉厚な造り込みと高低差のある立体的な造形を確認できる。 寸法:74.1 mm x 74.0 mm 厚さ:切羽台 6.2 mm / 耳 5.6 mm 重量:86.1 g
取扱店 Nihonto Art
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鐔工 · 尾張
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尾張透鐔は京透鐔と共に透鐔の双璧と称され、室町時代前期から中期頃にその制作が始まり、江戸時代まで長きに亘って制作が続いた。尾張国(現在の愛知県西部)を本拠とするこの鐔工集団は、室町時代末期から桃山時代にかけて最盛期を迎え、格調高い鉄透鐔の優品を数多く世に送り出した。代表的な作者として山吉(山坂吉兵衛)や法安が知られ、銘文には「山坂吉兵へ」「山吉兵へ」等と刻されたものがあり、数代に亘って名跡が継承されたと推される。江戸時代に入る頃から次第に本来の尾張鐔の良さが失われていくが、成熟期の作品には透鐔の王者と賞賛されるに相応しい風格が認められる。 尾張透鐔の作風は、京透鐔の繊細優美に対し、力強さを秘めた風雅を持味とする。鉄の鍛えが勝れ、焼手仕上げによる深く厚い紫錆が実に美しく、耳には粒状・塊状・線状のあらゆる鉄骨が頻りに働いて独特の雅味を醸し出す。肉置は僅かに中窪とし、中低外高の造形に貫禄があり、角耳小肉の耳にあらわれた鉄骨も重要な見どころである。意匠には大別して二系統があり、花弁・松葉・沢瀉茗荷・蕨手など文様透鐔と、鯰図・宇津の山図・蟹図など切羽台を取り入れた大胆な絵風透鐔が制作された。絵風尾張鐔では鯰を下半にどっしりと置き、上半は髭と水藻を軽やかに配するなど、風格と瓢逸味を兼備した構図の妙が絶賛される。 尾張透鐔の優品は堂々とした大振りの造り込みを特徴とし、槌目風の平地に雁金と環、抱茗荷と柊・杏葉、網目文など変化に富んだ透かしを施す。櫃孔は大きく円形に取られ力強く、太目の耳と透しの文様の細い線との釣り合いがよい。鉄味の妙味と共に野趣に富み、枯淡な趣を醸し出す作風は、単に幾何学的な透しにも洗練味が認められ、他の追随を許さない独壇場を築いた。とろけるような焼手を施した堅実な鍛えの鉄味は、時に非況の作と評される大胆な意匠と相俟って、数寄者に広く歓迎される所以となっている。尾張透の洗練された格調高さは、鉄透鐔における最高峰の一角を占める。 詳しく見る →
| 刀工 | 時代 | 指定 |
|---|---|---|
| 信家 | — | 56 |
| 彦右衛門 | — | 0 |
| 克明 | — | 0 |
| 重正 | — | 0 |
| 則亮 (Norisuke/Koreyoshi | — | 0 |
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