本作は富嶽透かし図の鐔でまさに富士山といった構図の作品です。分かりやすい題材ですが、特徴的なには富士山頂の丸い存在です。おそらくこれは朝日ないし夕日か、もしくは月なのかもしれません。見る方によって自由な発想できる親しみやすさもある図柄です。 また本作の作者は金山と極められており、ここで簡単に金山一派について説明させていただきます。参考文献として知られる内容では、天保十年刊行の「金工鐔寄綴」に「金山透鐔 金山は山城国地名なるか姓なるか不知と言ども 世に唱えて珍重す」とございます。次に諸説ございます金山の場所については、名古屋市の熱田に金山彦命を祀る金山神社があり、その付近が金山という地名で、鍛冶屋として盛んなところであったことからここで作られたという説が有力とされております。
取扱店 兵左衛門百観音堂
写真に鑑定書が写っていますが、当サイトの記録にはまだありません。鑑定書は日刀保、日本刀剣保存会、そのほかの団体など、さまざまな団体から発行されます。私たちが第三者による確認として頼りにしているのは、現在有効な日刀保・日本刀剣保存会の審査の鑑定書だけですので、どの団体の鑑定書かを刀剣商にお尋ねください。 — Hoshi



鐔工 · 尾張
金山派は、室町時代後期から桃山時代にかけて尾張国(現在の愛知県)熱田神宮近郊の金山地域で繁栄した鐔工集団である。金山の地名は金山彦神を祀った地に由来し、この地で独特の打刀鐔が製作された。尾張鐔と並んで室町期を代表する鉄透鐔の系統として知られるが、彫法や文様には両者相通じるところがありながらも、金山鐔はかな色にやや黒味があり、鉄骨も粒状や塊状のものがいかにも手強く野趣に富む点で区別される。一般に小形の作が多いが、大振りで出来の優れた作例も稀に見られる。 金山鐔の作風は簡素かつ明快で、真丸形や丸形を基本として、円・角・直線・曲線などで構成された幾何学文様を大胆に地透しにする。茶壺、釣鐘、市女笠、餌畚、桝、輪、糸巻など日用の道具や抽象的な図案を題材とし、装飾性よりも明解さや強靭な精神性を重んじる。鉄地には槌目を程よく打ち、厚手に仕立てた耳から切羽台にかけて僅かな中窪とし、平地には塊状鉄骨が生動する。紫錆にやや黒味がかった深みのある鉄色、冴えた鉄骨、精良な地鉄が醸し出す独特の質感は、金山鐔の優品のみが持つ手強い古格を示す。透しの切口は鋭く締まり、厚い耳には粒状や塊状の鉄骨が頻りに露出して見事な景色を呈する。 金山鐔の意匠には一種の禅味が秘められており、原始的な明快さの中に練達の士にある成熟した精神性と対峙できるような奥深い趣がある。荒ぶる心を伝える鉄骨の躍動、たくまない中にも深い味わいを持つ大胆な図取り、曲線と直線があやなす対照和合の妙は、禅家の悟りや豪放無比な武士の意気込みを直に感じさせる。巧まざる風雅が粛々と伝わり、鉄透鐔の醍醐味を十分に味わうことができる作域として、室町末期から桃山時代にかけての鐔工芸の頂点の一つを形成している。 詳しく見る →
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