横谷宗珉は江戸時代を代表する名工で、後藤家に対して町彫りと言われる一派の祖となる人物である。横谷派から柳川派、石黒派、大森派と多くの分派を生み出し、江戸金工を形成した。 宗珉は寛文十年に生まれる、通称長次郎といい、のちに次兵衛と改める。初銘を宗知としたが、父の没後の元禄七年ごろに宗珉と名乗る。宗珉は絵画で有名な狩野派の画風を勉強し、それを彫金技術に取り入れた。これまでの高彫りという作風に加え、片切彫りという新しい境地を確立させた。この横谷派の彫技は世の中の賞賛を受け以後の彫金界に大きな影響を与えた。 本作は片切彫りの逸品となる。それは一幅の軸を見ているような感覚になる。宗珉得意の竹虎図であるが、虎の表情など愛嬌があり上手である、これはすべて鏨で描いている、まさに名人である。
















横谷派
江戸
在銘
特別保存 (NBTHK)
町彫 · Edo
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横谷派は、江戸時代中期に横谷宗珉によって創始された装剣金工の一派である。宗珉は従来の後藤家の伝統的技法に加え、片切彫という新たな彫刻技法を確立し、四分一磨地に繊細な線刻表現を施す独自の様式を生み出した。その後、養子である二代宗興が享保十八年(一七三三)、三十四歳で家督を継承し、横谷派の技術的頂点を築いた。宗興は元禄十三年(一七〇〇)江戸生まれで、師父宗珉より優れた片切彫の技術を継承しつつ、赤銅魚子地に高彫象嵌色絵を施す作風も展開した。 宗興の作域は四分一磨地に片切彫を施す作柄が多数を占めるが、赤銅魚子地に高彫象嵌色絵を用いた作品も僅少ながら現存しており、いずれも横谷宗珉の後継者としての高い力量と品格を備えた見事な出来映えを示している。片切彫の作では、師父宗珉譲りの卓抜した技術を遺憾なく発揮し、細部にまで行き届いた精緻な彫刻表現において他の追随を許さない。高彫象嵌色絵の作では、人物の表情や手の仕草、衣の襞に至るまで丁寧かつ写実的に表現され、空間を巧みに利用した構図の計算性も高く評価される。福禄寿図や大森彦七図などの作品に見られる肉感的な描写と躍動感は、宗興の卓越した写実力と彫技の冴えを示す真骨頂といえる。 横谷派の技術は、宗興の門人である三宅英光(自立軒)や桂永寿らによって継承され、江戸時代後期まで高い水準を保った。英光は肥前長崎の出身とされ、横谷四代目宗与の門人となり江戸京橋に住して、赤銅魚子地に高彫金色絵の豪華な作風を展開した。桂永寿は久留米有馬藩の抱工として、目結や家紋を配した格調高い金具を制作し、大名家の儀式用拵に用いられた。横谷派の作品は、片切彫という独自の技法と、写実的かつ精緻な表現力によって、装剣金工史において重要な位置を占めている。 詳しく見る →
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
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