貴光(たかみつ)は、室町時代後期、末備前に属する刀工である。備前国長船に居住し、平右衛門尉を受領した。その作刀期間は永正九年(1512年)から大永八年(1528年)頃とされ、永正年間の作が多い。同時代の末備前刀工群にあって、上手の一人とされる。
貴光の作風は、時代を反映した打刀造りであり、鎬造、庵棟で、身幅広く先反りがつく姿を示す。鍛えは板目肌がよく約(つ)み、小板目に小杢目が交じることがあり、地沸つき、地景が細かく入る。映りが淡く立つものもある。刃文は広直刃を基調とし、僅かに小互の目を交え、小足・葉が入り、匂いを敷いて小沸つく。腰開きの互の目乱れに複式互の目、丁子等を交える作もある。帽子は殆ど一枚に深く焼き下げるものや、乱れ込み尖りごころに返るものが見られる。彫物は腰につまった刀身彫や、倶利迦羅を施すものがある。茎は生ぶで、先栗尻、鑢目勝手下り、指表棟寄りに長銘があり、裏に年紀がある。
貴光の刀は、地鉄がよく錬れて地景が細かく入り、刃文は匂い深く小沸がよくつくなど、総じて洗練された出来口を示す。在銘確実な作は比較的少ないながらも、その技術の高さが窺える。特に、永正十六年紀の作には優れたものが多く、「同工の作品は比較的に少ないが、この脇指によってその技術のほどが知られる。同作中の最高作で、地刃ともに健全である」と評されるように、末備前を代表する刀工の一人として評価されている。