家忠は、備前国において鎌倉時代初期に活動した刀工と伝えられる。銘鑑には古備前と福岡一文字に同名が見られるものの、現存する在銘作は極めて少ない。年代は文治(1185-90)もしくは貞応(1222-24)頃と推定されるが、年紀作は確認されておらず、銘振りによる判断も困難であるため、確たる年代設定及び属する流派は今後の研究課題とされる。作風から古備前派、あるいは初期一文字派とする見解がある。
作風は、小丁子もしくは小乱を主体とした古雅なものが多く、板目鍛えの地鉄に地沸がつき、地景が細かく入る。刃文は小丁子風の刃に小乱、小互の目などが交じり、足・葉がよく入り、匂口が沈みごころに小沸がつく。帽子は直ぐに、あるいは乱れ込み掃きかけ先小丸となる。姿は、細身で腰反りがつき、小鋒に結ぶものが多い。重要刀剣指定の作には、「板目肌立ち、地沸つき、刃文は小丁子に小乱れ交り、刃中に働きがある」とあり、特別重要刀剣指定の作には、「身幅がやや細く、磨上ながらも腰反りがつき、小鋒に結んだ優美な太刀姿を示して保存状態が良好で、板目鍛えの地鉄は総じてよく錬れて柔らかみが感じられ、その上、細かな地景を織りなすなど、鍛錬の良さを示している。また刃文は小丁子風の刃を主体としながらも小乱を交え、足・葉が繁く入るなど、総じて巧まざる古雅な風情を醸し出し」と評されている。
家忠の作と伝わる刀は現存数が少なく、資料も乏しいながらも、その作風は古調で古雅な趣があり、鎌倉初期の備前刀として貴重である。「在銘作の僅少な刀工ながら本作一口を以てしても、高い技術を有していたことが証され、家忠に対する評価を高らしめる作品として賞美すべき」と評されるように、現存する作品は、同工の技量を伝える上で重要な資料となっている。