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説明

長さ73.9cm 反り1.4cm弱 目釘穴1個 元幅3.05cm 先幅2.0cm 元重0.7cm 井上真改は初代和泉守国貞の次男として生まれ、通称を八郎兵衛と称した。父没後に家督を継ぎ、当初は二代和泉守国貞と銘したが、万治年間には菊紋を茎に切ることを許され、寛文十二年頃より「井上真改」と改銘した。津田越前守助広と並ぶ大坂新刀の双璧として知られ、その作風は精緻によく詰んだ小板目肌に微塵の地沸が厚くつき、細かな地景を交えた明るく冴えた地鉄を特色とする。刃文は直刃調に浅くのたれを帯びたものや、小のたれに互の目を交えたものを得意とし、いずれも匂深く、小沸豊かにつき、金筋・砂流しなどの働きを見せる。なかでも地刃に澄みわたるような冴えを示す沸出来の美しさは真改の真骨頂であり、その卓越した作域から後世「大坂正宗」と称された。 本作は鎬造、庵棟、身幅広めにして元先の幅差がつき、重ね厚く、踏ん張りごころを備え、反り浅く中鋒詰まりごころとなる。鍛えは小板目が総じて精緻によく詰み、部分的にやや肌立ち、地沸微塵に厚くつき、細かな地景がよく入り、かねは明るく冴える。刃文は中直刃調に浅くのたれを帯び、互の目ごころを交え、匂深く、小沸厚くつき、刃中には金筋・砂流しがかかって、匂口明るく冴えわたる。帽子は直ぐに大丸風となり、先掃き掛けて長く返る。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目は大筋違に化粧を施す。総じてよく練れた清良な鍛えに、深い匂と厚い沸を配し、地刃ともに澄明な冴えを見せる出来口は真改の本領をよく示しており、大丸風に返る帽子とあわせ、彼が理想とした古作、殊に郷義弘への眼差しを窺わせるものがある。 本作は延宝二年二月日の年紀を有し、重要刀剣に指定された優品である。 一般に真改の円熟期は延宝四年以降とされ、実際、この時期には重要文化財をはじめ高位に指定された優作が知られている。しかし一方で、本作と同じ延宝二年二月日には重要美術品に認定された作が現存しており、真改の作域がこの頃すでに極めて高い完成域に達していたことは注目されよう。殊に本作の匂口の冴えは見事で、静かな直刃調の刃縁に微細な沸が密度高く凝縮し、金筋・砂流しを交えながら、地刃ともに澄みわたるような明るさを湛えている。その清澄な景色を眺めていると、後年「大坂正宗」と称された真改の美質が、延宝二年の時点ですでに確かなかたちを成していたことが実感される。 真改が理想とした古作への眼差しと、後の円熟へと連なる卓越した技量とを存分に味わうことのできる、誠に見どころの多い一口である。

図譜解説

井上真改は、初代和泉守国貞の次男で、通称八郎兵衛と称し、父国貞歿後家督を相続し、二代目を継いでいる。 初め父同様和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷 より菊紋を茎にきることを許され、寛文十二年八月以降真改と改めた。天和二年十一月急逝したという。彼の作風は、小板目肌がつみ、地沸がよくつき、地景の入っ た鍛えに、直刃調に浅くのたれた刃文や、小のたれに互の目を交えた刃文などを焼くが、何れも匂が深く、 沸がよくつき、金筋・砂流し等がかかり、匂口の冴えるも ので、沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている。 そして、同国の津田助広(二代)の濤瀾乱れと共に後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。 この刀は、小板目が総じてよくつんだ鍛えに、地沸が微塵につき、地景が細かに入り、刃文は中直刃調に浅くのたれをおび、互の目ごころが交じり、匂深く、 沸厚 くつき、金筋・砂流しがかかる等の出来口で、上記の如く、彼の本領が遺憾無く発揮された作域をあらわしている。殊に、総じて錬れた精良な鍛えを見せており、匂 深で沸が厚くつき、地刃共に明るく冴え、帽子も大丸風に返るなどの様態には、彼が理想とした古作の郷を意識して作刀したであろうことが窺える。 真改の典型的な 一口で、出来がよい。

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刀剣›大坂新刀›真改›井上真改 (菊紋) 延宝二年二月日 最上作 新刀 (1674年) 財)日本美術刀剣保存協会 第五十三回重要刀剣指定品
刀重要
真改

井上真改 (菊紋) 延宝二年二月日 最上作 新刀 (1674年) 財)日本美術刀剣保存協会 第五十三回重要刀剣指定品

在銘 · 延宝 · 長さ 73.9cm · 反り 1.4cm

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真改 · 延宝販売中 15点 · 中央値 ¥5,000,000 →
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法量・詳細
刀工
真改
種別
刀
流派
Osaka Shinto
活動期
1649–1682年頃(Enpo)
銘
在銘(在銘率 100%)
法量
長さ 73.9cm反り 1.4cm元幅 3.05cm先幅 2cm重ね 0.7cm
説明

長さ73.9cm 反り1.4cm弱 目釘穴1個 元幅3.05cm 先幅2.0cm 元重0.7cm 井上真改は初代和泉守国貞の次男として生まれ、通称を八郎兵衛と称した。父没後に家督を継ぎ、当初は二代和泉守国貞と銘したが、万治年間には菊紋を茎に切ることを許され、寛文十二年頃より「井上真改」と改銘した。津田越前守助広と並ぶ大坂新刀の双璧として知られ、その作風は精緻によく詰んだ小板目肌に微塵の地沸が厚くつき、細かな地景を交えた明るく冴えた地鉄を特色とする。刃文は直刃調に浅くのたれを帯びたものや、小のたれに互の目を交えたものを得意とし、いずれも匂深く、小沸豊かにつき、金筋・砂流しなどの働きを見せる。なかでも地刃に澄みわたるような冴えを示す沸出来の美しさは真改の真骨頂であり、その卓越した作域から後世「大坂正宗」と称された。 本作は鎬造、庵棟、身幅広めにして元先の幅差がつき、重ね厚く、踏ん張りごころを備え、反り浅く中鋒詰まりごころとなる。鍛えは小板目が総じて精緻によく詰み、部分的にやや肌立ち、地沸微塵に厚くつき、細かな地景がよく入り、かねは明るく冴える。刃文は中直刃調に浅くのたれを帯び、互の目ごころを交え、匂深く、小沸厚くつき、刃中には金筋・砂流しがかかって、匂口明るく冴えわたる。帽子は直ぐに大丸風となり、先掃き掛けて長く返る。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目は大筋違に化粧を施す。総じてよく練れた清良な鍛えに、深い匂と厚い沸を配し、地刃ともに澄明な冴えを見せる出来口は真改の本領をよく示しており、大丸風に返る帽子とあわせ、彼が理想とした古作、殊に郷義弘への眼差しを窺わせるものがある。 本作は延宝二年二月日の年紀を有し、重要刀剣に指定された優品である。 一般に真改の円熟期は延宝四年以降とされ、実際、この時期には重要文化財をはじめ高位に指定された優作が知られている。しかし一方で、本作と同じ延宝二年二月日には重要美術品に認定された作が現存しており、真改の作域がこの頃すでに極めて高い完成域に達していたことは注目されよう。殊に本作の匂口の冴えは見事で、静かな直刃調の刃縁に微細な沸が密度高く凝縮し、金筋・砂流しを交えながら、地刃ともに澄みわたるような明るさを湛えている。その清澄な景色を眺めていると、後年「大坂正宗」と称された真改の美質が、延宝二年の時点ですでに確かなかたちを成していたことが実感される。 真改が理想とした古作への眼差しと、後の円熟へと連なる卓越した技量とを存分に味わうことのできる、誠に見どころの多い一口である。

NBTHK図譜解説

Juyo #53

井上真改は、初代和泉守国貞の次男で、通称八郎兵衛と称し、父国貞歿後家督を相続し、二代目を継いでいる。 初め父同様和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷 より菊紋を茎にきることを許され、寛文十二年八月以降真改と改めた。天和二年十一月急逝したという。彼の作風は、小板目肌がつみ、地沸がよくつき、地景の入っ た鍛えに、直刃調に浅くのたれた刃文や、小のたれに互の目を交えた刃文などを焼くが、何れも匂が深く、 沸がよくつき、金筋・砂流し等がかかり、匂口の冴えるも ので、沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている。 そして、同国の津田助広(二代)の濤瀾乱れと共に後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。 この刀は、小板目が総じてよくつんだ鍛えに、地沸が微塵につき、地景が細かに入り、刃文は中直刃調に浅くのたれをおび、互の目ごころが交じり、匂深く、 沸厚 くつき、金筋・砂流しがかかる等の出来口で、上記の如く、彼の本領が遺憾無く発揮された作域をあらわしている。殊に、総じて錬れた精良な鍛えを見せており、匂 深で沸が厚くつき、地刃共に明るく冴え、帽子も大丸風に返るなどの様態には、彼が理想とした古作の郷を意識して作刀したであろうことが窺える。 真改の典型的な 一口で、出来がよい。

作者について

真改

Osaka Shinto (Inoue Shinkai) · 摂津 · 1649-1682頃

刀剣大鑑 上位3%

現在15点販売中

›

井上真改は初代和泉守国貞、説明のいう親国貞の次男である。親国貞は堀川の流れを大坂に下して同地に一家を興した工で、子は通称を八郎兵衛といい、父の晩年その代作代銘に任じ、家督を相続して二代目を継ぎ、初め父同様に和泉守国貞と銘した。万治四年頃に朝廷より茎に菊紋をきることを許され、寛文十二年八月以降、真改と改めている。天和二年十一月急逝したという。説明はその鍛刀を父にまさるとし、大坂正宗の称を与える。継いだ初代とは精しく分かたれ、父が藤原姓を切ったのに対し、子は井上を冠して藤原を用いず、改名前の和泉守国貞銘の作を収集家は真改国貞とまとめる。

説明が繰り返し立ち返る手は直刃である。よくつんだ小板目肌の上に、中直刃が浅くのたれごころをおび、処々僅かに互の目を交え、匂は一際深く、小沸が厚くよくつき、刃中に金筋がさかんに入り砂流しがかかる。その結果を、説明は匂口明るく冴え、地刃ともに明るく冴えると記す。鑑者が特に挙げるのは沸の深さと地鉄の明るさで、ある刀を、真改が最も得意としたよくつんだ精美な地鉄、最も優品のある直刃仕立に沸匂が極めて深く金筋を入れた刃文と評する。説明の描くところは、まさにこの抑えた沸深き直刃であって、華やかな乱れ刃ではない。

その判断の礎は地鉄にある。鍛えは小板目がよくつみ、地沸が微塵に厚くつき、処々荒めの地沸をむらに交え、地景が細かにさかんに入り、かね冴える、いわゆる緻密で潤いある大坂地鉄である。刃は直ぐに焼き出してその上に浅いのたれをなし、足・葉入り、匂深く、物打辺に淡く棟焼を交え、帽子は直ぐに小丸となって先を掃きかける。説明はこの作域の意味を明言する。彼の作のうち、かくのごとき沸深く冴えるものこそ、「沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている」[[c:1]]と。彼は説明のいう沸の名手である。

編年は銘そのものから読まれ、銘が時の標識となる。改名前の銘は段階を追う。はじめ和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷より菊紋を賜わってのちは同じ名に井上を冠して井上和泉守国貞と銘するので、改名前の作すでに菊紋と年紀を伴う。説明は「始め和泉守国貞、井上和泉守国貞とも銘し」[[c:2]]と記す。寛文十二年八月以後は名を真改と改め、井上真改の四字を指表棟寄りに大振りに切り、裏に菊紋と草書の年紀を伴う。寛文十年紀の重要刀剣はなお井上和泉守国貞の長銘を切り、真改銘で延宝年間に年紀のある作の大半が本領に属する。その本領のうちに、説明は一つの作域を特記する。郷写し、すなわち最も尊んだ相州の名工郷義弘への意図的な写しである。これらは地刃の沸が常にも増して強く、匂が一段と深く、刃は処々角ばる大のたれに大互の目を交え、帽子は焼深く一枚風となって長く掃きかける。説明はある一口を「彼が最も得意とした郷写し」[[c:3]]と名指し、「大磨上げ無銘の郷の刀の本歌があり、それを真改が写した」[[c:7]]と読む。沸の妙味は彼の独壇場であり、真改の本領が余すところ無く表れる作はここにある。なお改名後は和泉守の受領名を切らないとされ、和泉守真改と銘した刀は長く保留されてきたが、研究は改名直後の貴重な一振と判じた。

説明は彼を、もう一人と並べて一門の頂に据える。大坂新刀の工のうち、「大阪新刀の中の両大関は助広と真改であり、前者は匂、後者は小沸に特に見事なものがある」[[c:8]]と記す。その手本は称とは異なり正宗ならず、郷義弘にとられ、最も彼らしい作は沸深き直刃と郷写しである。盟友との分かれ目は刃文にある。津田助広が波濤の濤瀾刃を創始したのに対し、真改はそれを一切焼かず、説明が両工を並べるときは対比して、真改の明るい直刃と浅いのたれを助広の濤瀾に対置する。その匂深き沸出来の作は、説明のいうとおり助広の濤瀾乱れとともに後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。

当代の工中の最上作で、その名を負う指定は重い。重要文化財一口、特別重要刀剣四口に重要刀剣六十七口、特別重要・重要の級を併せて七十一口、指定を受けた作は七十七口を数える。国宝はない。その記録は終始在銘で、謎ではなく裏付けある手であり、公の指定作七十七口は銘を負う。録された来歴は近代の名だたる蔵家を経る。延宝三年紀の刀は明治・大正の目利の愛刀家として聞えた谷干城将軍の旧蔵であり、ほかに伊藤与三郎・住吉朝太郎・大友常太郎・兵庫の伊藤文一・青山家の手を経た作があり、ある郷写しを説明は「重要文化財に指定されているものに次ぐ」[[c:6]]と評する。私の蒐集家が現実に出会いうるのは特別重要・重要の作で、所在の知られるものが相応に遺るが、市に現れることは稀で、延宝本領の在銘年紀菊紋の真改は、現れれば一頭地を抜く出来事である。

歴史的重要度

真改の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定の実績
指定79口
重要文化財
1
重要美術品
5
特別重要刀剣
4
重要刀剣
69
真改の作 15点が現在販売中→
真改 — 詳細Osaka Shinto (Inoue Shinkai)派

年紀作

在銘年紀作が示す、確実に活動していた年代

活動期間
1649–1682
指定品78点のうち68点に年紀あり
1640
1650
1660
1670
1680
1690

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流派について

大坂新刀

新刀 · 摂津

現在77点販売中

›

大坂新刀は、商都大坂を本拠として江戸前期から中期にかけて興隆した摂津の一門である。その草創は京の堀川一門にあり、堀川国広の門に学んだ和泉守国貞、親国貞こと国貞と河内守国助とが、慶長十九年に師の没した後そろって大坂へ下り、この地に鍛刀の家を興した。国助は伝に伊勢国の出にして石堂の流れを汲み、堀川より受け継いだ枯れた肌合とともに、古備前を慕う石堂の丁子をこの地にもたらした。そこへ大和文殊系の包保・包道に承けた越後守包貞が摂州に居を構え、肥後菊池より出て井上真改の門を叩いた貞則のごとき遊歴の工も加わって、堀川と石堂と文殊の脈が大坂の地で一つの作域に結ばれていった。やがて親国貞の子真改、津田越前守助広、一竿子忠綱らがあらわれ、寛文・延宝・元禄の頃にこの一門は最も華やぐ。 一門の作風は、まず明るく冴える大坂鍛えに標識を持つ。鍛えはよくつんだ無地風の小板目で、地沸が微塵に厚くつき、地景が細かにさかんに入り、鉄色は明るく潤う。その地の上に、刃区を直ぐに焼き出し、その上から己の刃文を起こすのが一門に通じる約束で、収集家のいう大坂焼出しである。匂口は終始深く明るく冴え、刃縁は締まる。この共通の文法の上に、各工はおのおのの差を置く。井上真改は華やかな乱れを焼かず、よくつんだ精美な地に浅いのたれを帯びた沸深き直刃を本領とし、相州の郷義弘への意図的な写しにその沸の妙味を尽くして、大坂正宗と称された。津田助広は波濤のごとくうねる濤瀾刃を創始し、真改の小沸の直刃と並んで両大関と仰がれる。一竿子忠綱は揃った長足の丁子に簾刃の濤瀾を交え、何にもまして真の倶利迦羅や鯉の滝上りを刻んだ一竿子彫をもって分かたれる。河内守国助の家は丁子の旗頭で、二代中河内は握り拳の頭を戴く拳形丁子を創始して新刀一文字と賞され、その弟肥後守国康や四男国輝もこの石堂の丁子と津田風の濤瀾を担った。越後守包貞は助広に倣う濤瀾に片山乱れと文珠の砂流しを通わせ、貞則は師真改の沸深き直刃をよく継いだ。共通するのは明るい匂口と直ぐの焼出し、異なるのは真改の沈める沸、助広の濤瀾、国助一門の丁子という、地の上に置かれた手の差である。 収集家が大坂新刀を求める理由は、鑑定の勘所が明快で、主要工の格が高いことにある。明るく冴える大坂鍛えと、刃を起こす直ぐの焼出しという二つの見どころは、地と刃のいずれにも紛れなく現れて工と作域を定める手懸りとなり、真改の沸深き郷写し、忠綱の一竿子彫、中河内の拳形丁子といった各工独自の標識が、そこに重なって名を分かつ。一門の作はおおむね在銘年紀で、銘そのものが時の標識となるため、由緒の確かさをもって賞翫される。真改や助広や忠綱の最上手は市に現れることが稀で、現れれば一頭地を抜く出来事となるが、包貞・国助・国康・国輝のごとき名手の在銘作は、辛抱をもって相応に相見え、大坂新刀へ分け入る手近な入口を提供する。来歴の知られる作は谷干城や山内家、皇室の蔵を経て近代に伝わり、美術刀剣としての魅力は、真改の沸と助広の濤瀾が後世の刀鍛冶に及ぼした影響とともに、商都大坂が新刀期に成し遂げた一個の到達を今に伝える。 詳しく見る →

17名の刀工指定255口
主要刀工
刀工時代指定
真改1649-168279
忠綱1673-171753
包貞1673-168278
國助1658-166310
包貞1648-165210
大坂新刀流派を見る →

歴史的背景

大坂 町人の都の刀

›

大坂は町人の都であり、刀も金の流れに従った。脇差一腰しか許されぬ町人のための贅沢な作、助広の濤瀾乱れ、大坂正宗と呼ばれた真改。率直に言えば、見られるために作られた刀である。

大坂 町人の都の刀 →

NBTHK鑑定書
Jūyō Tōken重要刀剣
Important Sword
›

特別保存刀剣の中から、特に出来が優れ、国認定の重要美術品に準ずると判断された名品です。年に一度の重要刀剣審査で選ばれます。

極めて選別的で、日本に登録された約250万口の刀剣のうち、重要刀剣に達したものは12,307口(約203口に1口)にすぎません。

NBTHKについて›

日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。

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Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 刀 井上真改(菊紋)延宝六年八月日Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 刀 井上真改(菊紋)延宝六年八月日

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Katana - Tokubetsu Kichō - by Osaka Shinkai - 甲種特別貴重刀剣 脇差銘 井上和泉守国貞 (菊紋)寛文七年三月日Katana - Tokubetsu Kichō - by Osaka Shinkai - 甲種特別貴重刀剣 脇差銘 井上和泉守国貞 (菊紋)寛文七年三月日

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作真改
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真改の売約済み

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明倫産業
特別保存
Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上和泉守国貞 菊紋 寛文十一年八月日(井上真改) Inoue Izuminokami Kunisada(Inoue Shinkai)Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上和泉守国貞 菊紋 寛文十一年八月日(井上真改) Inoue Izuminokami Kunisada(Inoue Shinkai)
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40.8cm·江戸
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作真改
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Katana - by Osaka Shinkai - 銘 (菊紋) 井上真改 延宝四年八月日Katana - by Osaka Shinkai - 銘 (菊紋) 井上真改 延宝四年八月日
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葵美術
特別保存
Katana - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 刀:肥後守国康(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)Katana - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 刀:肥後守国康(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)

刀

作國康
69.7cm·Kanbun (1661-1673)
¥700,000
刀剣杉田
特別保存
Katana - Tokuho - by Shinto Kanesada - 越後守包貞(初代) (摂津)(五畿)Katana - Tokuho - by Shinto Kanesada - 越後守包貞(初代) (摂津)(五畿)

刀

作包貞
71.4cm·江戸
¥2,650,000
刀剣杉田
重要
Katana - Jūyō - by Horikawa Kunisuke - 河内守藤原国助 (第38回重要刀剣)Katana - Jūyō - by Horikawa Kunisuke - 河内守藤原国助 (第38回重要刀剣)

刀

作國助
76.65cm·Genna-Shoho (1615-1647)
¥9,500,000
刀剣小町
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Shinto Tadatsuna - 脇差 白鞘入りWakizashi - Tokuho - by Shinto Tadatsuna - 脇差 白鞘入り

脇差

作忠綱
51.66cm·Kanei (1624-1644)
¥550,000
サムライミュージアム
保存
Katana - Hozon - by Shinto Kunisuke - 日本刀 刀 銘 河内守国助 日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書付Katana - Hozon - by Shinto Kunisuke - 日本刀 刀 銘 河内守国助 日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書付

刀

作國助
75.8cm·Manji (1658-1661)
¥8,664
刀心
特別貴重
Katana - Tokubetsu Kichō - by Shinto Kanesada - 坂倉言之進照包 延寶九年二月日- Sakakura gonnoshin Terukane - 2-1369Katana - Tokubetsu Kichō - by Shinto Kanesada - 坂倉言之進照包 延寶九年二月日- Sakakura gonnoshin Terukane - 2-1369

刀

作包貞
70.2cm·Enpo (1673-1681)
¥2,970,000
刀剣杉田
重要
Katana - Jūyō - by Shinto Kuniteru - 小林伊勢守国輝 延宝六年二月日 (第49回重要刀剣)Katana - Jūyō - by Shinto Kuniteru - 小林伊勢守国輝 延宝六年二月日 (第49回重要刀剣)

刀

作國輝
72.15cm·Kanbun (1661-1673)
¥5,800,000
刀心
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 肥後守国康 3-469Wakizashi - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 肥後守国康 3-469

脇差

作國康
58.55cm·Kanbun (1661-1673)
¥880,000

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説明

長さ73.9cm 反り1.4cm弱 目釘穴1個 元幅3.05cm 先幅2.0cm 元重0.7cm 井上真改は初代和泉守国貞の次男として生まれ、通称を八郎兵衛と称した。父没後に家督を継ぎ、当初は二代和泉守国貞と銘したが、万治年間には菊紋を茎に切ることを許され、寛文十二年頃より「井上真改」と改銘した。津田越前守助広と並ぶ大坂新刀の双璧として知られ、その作風は精緻によく詰んだ小板目肌に微塵の地沸が厚くつき、細かな地景を交えた明るく冴えた地鉄を特色とする。刃文は直刃調に浅くのたれを帯びたものや、小のたれに互の目を交えたものを得意とし、いずれも匂深く、小沸豊かにつき、金筋・砂流しなどの働きを見せる。なかでも地刃に澄みわたるような冴えを示す沸出来の美しさは真改の真骨頂であり、その卓越した作域から後世「大坂正宗」と称された。 本作は鎬造、庵棟、身幅広めにして元先の幅差がつき、重ね厚く、踏ん張りごころを備え、反り浅く中鋒詰まりごころとなる。鍛えは小板目が総じて精緻によく詰み、部分的にやや肌立ち、地沸微塵に厚くつき、細かな地景がよく入り、かねは明るく冴える。刃文は中直刃調に浅くのたれを帯び、互の目ごころを交え、匂深く、小沸厚くつき、刃中には金筋・砂流しがかかって、匂口明るく冴えわたる。帽子は直ぐに大丸風となり、先掃き掛けて長く返る。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目は大筋違に化粧を施す。総じてよく練れた清良な鍛えに、深い匂と厚い沸を配し、地刃ともに澄明な冴えを見せる出来口は真改の本領をよく示しており、大丸風に返る帽子とあわせ、彼が理想とした古作、殊に郷義弘への眼差しを窺わせるものがある。 本作は延宝二年二月日の年紀を有し、重要刀剣に指定された優品である。 一般に真改の円熟期は延宝四年以降とされ、実際、この時期には重要文化財をはじめ高位に指定された優作が知られている。しかし一方で、本作と同じ延宝二年二月日には重要美術品に認定された作が現存しており、真改の作域がこの頃すでに極めて高い完成域に達していたことは注目されよう。殊に本作の匂口の冴えは見事で、静かな直刃調の刃縁に微細な沸が密度高く凝縮し、金筋・砂流しを交えながら、地刃ともに澄みわたるような明るさを湛えている。その清澄な景色を眺めていると、後年「大坂正宗」と称された真改の美質が、延宝二年の時点ですでに確かなかたちを成していたことが実感される。 真改が理想とした古作への眼差しと、後の円熟へと連なる卓越した技量とを存分に味わうことのできる、誠に見どころの多い一口である。

図譜解説

井上真改は、初代和泉守国貞の次男で、通称八郎兵衛と称し、父国貞歿後家督を相続し、二代目を継いでいる。 初め父同様和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷 より菊紋を茎にきることを許され、寛文十二年八月以降真改と改めた。天和二年十一月急逝したという。彼の作風は、小板目肌がつみ、地沸がよくつき、地景の入っ た鍛えに、直刃調に浅くのたれた刃文や、小のたれに互の目を交えた刃文などを焼くが、何れも匂が深く、 沸がよくつき、金筋・砂流し等がかかり、匂口の冴えるも ので、沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている。 そして、同国の津田助広(二代)の濤瀾乱れと共に後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。 この刀は、小板目が総じてよくつんだ鍛えに、地沸が微塵につき、地景が細かに入り、刃文は中直刃調に浅くのたれをおび、互の目ごころが交じり、匂深く、 沸厚 くつき、金筋・砂流しがかかる等の出来口で、上記の如く、彼の本領が遺憾無く発揮された作域をあらわしている。殊に、総じて錬れた精良な鍛えを見せており、匂 深で沸が厚くつき、地刃共に明るく冴え、帽子も大丸風に返るなどの様態には、彼が理想とした古作の郷を意識して作刀したであろうことが窺える。 真改の典型的な 一口で、出来がよい。

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刀剣›大坂新刀›真改›井上真改 (菊紋) 延宝二年二月日 最上作 新刀 (1674年) 財)日本美術刀剣保存協会 第五十三回重要刀剣指定品
刀重要
真改

井上真改 (菊紋) 延宝二年二月日 最上作 新刀 (1674年) 財)日本美術刀剣保存協会 第五十三回重要刀剣指定品

在銘 · 延宝 · 長さ 73.9cm · 反り 1.4cm

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真改 · 延宝販売中 15点 · 中央値 ¥5,000,000 →
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法量・詳細
刀工
真改
種別
刀
流派
Osaka Shinto
活動期
1649–1682年頃(Enpo)
銘
在銘(在銘率 100%)
法量
長さ 73.9cm反り 1.4cm元幅 3.05cm先幅 2cm重ね 0.7cm
説明

長さ73.9cm 反り1.4cm弱 目釘穴1個 元幅3.05cm 先幅2.0cm 元重0.7cm 井上真改は初代和泉守国貞の次男として生まれ、通称を八郎兵衛と称した。父没後に家督を継ぎ、当初は二代和泉守国貞と銘したが、万治年間には菊紋を茎に切ることを許され、寛文十二年頃より「井上真改」と改銘した。津田越前守助広と並ぶ大坂新刀の双璧として知られ、その作風は精緻によく詰んだ小板目肌に微塵の地沸が厚くつき、細かな地景を交えた明るく冴えた地鉄を特色とする。刃文は直刃調に浅くのたれを帯びたものや、小のたれに互の目を交えたものを得意とし、いずれも匂深く、小沸豊かにつき、金筋・砂流しなどの働きを見せる。なかでも地刃に澄みわたるような冴えを示す沸出来の美しさは真改の真骨頂であり、その卓越した作域から後世「大坂正宗」と称された。 本作は鎬造、庵棟、身幅広めにして元先の幅差がつき、重ね厚く、踏ん張りごころを備え、反り浅く中鋒詰まりごころとなる。鍛えは小板目が総じて精緻によく詰み、部分的にやや肌立ち、地沸微塵に厚くつき、細かな地景がよく入り、かねは明るく冴える。刃文は中直刃調に浅くのたれを帯び、互の目ごころを交え、匂深く、小沸厚くつき、刃中には金筋・砂流しがかかって、匂口明るく冴えわたる。帽子は直ぐに大丸風となり、先掃き掛けて長く返る。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目は大筋違に化粧を施す。総じてよく練れた清良な鍛えに、深い匂と厚い沸を配し、地刃ともに澄明な冴えを見せる出来口は真改の本領をよく示しており、大丸風に返る帽子とあわせ、彼が理想とした古作、殊に郷義弘への眼差しを窺わせるものがある。 本作は延宝二年二月日の年紀を有し、重要刀剣に指定された優品である。 一般に真改の円熟期は延宝四年以降とされ、実際、この時期には重要文化財をはじめ高位に指定された優作が知られている。しかし一方で、本作と同じ延宝二年二月日には重要美術品に認定された作が現存しており、真改の作域がこの頃すでに極めて高い完成域に達していたことは注目されよう。殊に本作の匂口の冴えは見事で、静かな直刃調の刃縁に微細な沸が密度高く凝縮し、金筋・砂流しを交えながら、地刃ともに澄みわたるような明るさを湛えている。その清澄な景色を眺めていると、後年「大坂正宗」と称された真改の美質が、延宝二年の時点ですでに確かなかたちを成していたことが実感される。 真改が理想とした古作への眼差しと、後の円熟へと連なる卓越した技量とを存分に味わうことのできる、誠に見どころの多い一口である。

NBTHK図譜解説

Juyo #53

井上真改は、初代和泉守国貞の次男で、通称八郎兵衛と称し、父国貞歿後家督を相続し、二代目を継いでいる。 初め父同様和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷 より菊紋を茎にきることを許され、寛文十二年八月以降真改と改めた。天和二年十一月急逝したという。彼の作風は、小板目肌がつみ、地沸がよくつき、地景の入っ た鍛えに、直刃調に浅くのたれた刃文や、小のたれに互の目を交えた刃文などを焼くが、何れも匂が深く、 沸がよくつき、金筋・砂流し等がかかり、匂口の冴えるも ので、沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている。 そして、同国の津田助広(二代)の濤瀾乱れと共に後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。 この刀は、小板目が総じてよくつんだ鍛えに、地沸が微塵につき、地景が細かに入り、刃文は中直刃調に浅くのたれをおび、互の目ごころが交じり、匂深く、 沸厚 くつき、金筋・砂流しがかかる等の出来口で、上記の如く、彼の本領が遺憾無く発揮された作域をあらわしている。殊に、総じて錬れた精良な鍛えを見せており、匂 深で沸が厚くつき、地刃共に明るく冴え、帽子も大丸風に返るなどの様態には、彼が理想とした古作の郷を意識して作刀したであろうことが窺える。 真改の典型的な 一口で、出来がよい。

作者について

真改

Osaka Shinto (Inoue Shinkai) · 摂津 · 1649-1682頃

刀剣大鑑 上位3%

現在15点販売中

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井上真改は初代和泉守国貞、説明のいう親国貞の次男である。親国貞は堀川の流れを大坂に下して同地に一家を興した工で、子は通称を八郎兵衛といい、父の晩年その代作代銘に任じ、家督を相続して二代目を継ぎ、初め父同様に和泉守国貞と銘した。万治四年頃に朝廷より茎に菊紋をきることを許され、寛文十二年八月以降、真改と改めている。天和二年十一月急逝したという。説明はその鍛刀を父にまさるとし、大坂正宗の称を与える。継いだ初代とは精しく分かたれ、父が藤原姓を切ったのに対し、子は井上を冠して藤原を用いず、改名前の和泉守国貞銘の作を収集家は真改国貞とまとめる。

説明が繰り返し立ち返る手は直刃である。よくつんだ小板目肌の上に、中直刃が浅くのたれごころをおび、処々僅かに互の目を交え、匂は一際深く、小沸が厚くよくつき、刃中に金筋がさかんに入り砂流しがかかる。その結果を、説明は匂口明るく冴え、地刃ともに明るく冴えると記す。鑑者が特に挙げるのは沸の深さと地鉄の明るさで、ある刀を、真改が最も得意としたよくつんだ精美な地鉄、最も優品のある直刃仕立に沸匂が極めて深く金筋を入れた刃文と評する。説明の描くところは、まさにこの抑えた沸深き直刃であって、華やかな乱れ刃ではない。

その判断の礎は地鉄にある。鍛えは小板目がよくつみ、地沸が微塵に厚くつき、処々荒めの地沸をむらに交え、地景が細かにさかんに入り、かね冴える、いわゆる緻密で潤いある大坂地鉄である。刃は直ぐに焼き出してその上に浅いのたれをなし、足・葉入り、匂深く、物打辺に淡く棟焼を交え、帽子は直ぐに小丸となって先を掃きかける。説明はこの作域の意味を明言する。彼の作のうち、かくのごとき沸深く冴えるものこそ、「沸出来の作品の美しさを最もよくあらわしている」[[c:1]]と。彼は説明のいう沸の名手である。

編年は銘そのものから読まれ、銘が時の標識となる。改名前の銘は段階を追う。はじめ和泉守国貞と銘し、万治四年頃に朝廷より菊紋を賜わってのちは同じ名に井上を冠して井上和泉守国貞と銘するので、改名前の作すでに菊紋と年紀を伴う。説明は「始め和泉守国貞、井上和泉守国貞とも銘し」[[c:2]]と記す。寛文十二年八月以後は名を真改と改め、井上真改の四字を指表棟寄りに大振りに切り、裏に菊紋と草書の年紀を伴う。寛文十年紀の重要刀剣はなお井上和泉守国貞の長銘を切り、真改銘で延宝年間に年紀のある作の大半が本領に属する。その本領のうちに、説明は一つの作域を特記する。郷写し、すなわち最も尊んだ相州の名工郷義弘への意図的な写しである。これらは地刃の沸が常にも増して強く、匂が一段と深く、刃は処々角ばる大のたれに大互の目を交え、帽子は焼深く一枚風となって長く掃きかける。説明はある一口を「彼が最も得意とした郷写し」[[c:3]]と名指し、「大磨上げ無銘の郷の刀の本歌があり、それを真改が写した」[[c:7]]と読む。沸の妙味は彼の独壇場であり、真改の本領が余すところ無く表れる作はここにある。なお改名後は和泉守の受領名を切らないとされ、和泉守真改と銘した刀は長く保留されてきたが、研究は改名直後の貴重な一振と判じた。

説明は彼を、もう一人と並べて一門の頂に据える。大坂新刀の工のうち、「大阪新刀の中の両大関は助広と真改であり、前者は匂、後者は小沸に特に見事なものがある」[[c:8]]と記す。その手本は称とは異なり正宗ならず、郷義弘にとられ、最も彼らしい作は沸深き直刃と郷写しである。盟友との分かれ目は刃文にある。津田助広が波濤の濤瀾刃を創始したのに対し、真改はそれを一切焼かず、説明が両工を並べるときは対比して、真改の明るい直刃と浅いのたれを助広の濤瀾に対置する。その匂深き沸出来の作は、説明のいうとおり助広の濤瀾乱れとともに後世の刀鍛冶に大きな影響を及ぼしている。

当代の工中の最上作で、その名を負う指定は重い。重要文化財一口、特別重要刀剣四口に重要刀剣六十七口、特別重要・重要の級を併せて七十一口、指定を受けた作は七十七口を数える。国宝はない。その記録は終始在銘で、謎ではなく裏付けある手であり、公の指定作七十七口は銘を負う。録された来歴は近代の名だたる蔵家を経る。延宝三年紀の刀は明治・大正の目利の愛刀家として聞えた谷干城将軍の旧蔵であり、ほかに伊藤与三郎・住吉朝太郎・大友常太郎・兵庫の伊藤文一・青山家の手を経た作があり、ある郷写しを説明は「重要文化財に指定されているものに次ぐ」[[c:6]]と評する。私の蒐集家が現実に出会いうるのは特別重要・重要の作で、所在の知られるものが相応に遺るが、市に現れることは稀で、延宝本領の在銘年紀菊紋の真改は、現れれば一頭地を抜く出来事である。

歴史的重要度

真改の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
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指定の実績
指定79口
重要文化財
1
重要美術品
5
特別重要刀剣
4
重要刀剣
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真改 — 詳細Osaka Shinto (Inoue Shinkai)派

年紀作

在銘年紀作が示す、確実に活動していた年代

活動期間
1649–1682
指定品78点のうち68点に年紀あり
1640
1650
1660
1670
1680
1690

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流派について

大坂新刀

新刀 · 摂津

現在77点販売中

›

大坂新刀は、商都大坂を本拠として江戸前期から中期にかけて興隆した摂津の一門である。その草創は京の堀川一門にあり、堀川国広の門に学んだ和泉守国貞、親国貞こと国貞と河内守国助とが、慶長十九年に師の没した後そろって大坂へ下り、この地に鍛刀の家を興した。国助は伝に伊勢国の出にして石堂の流れを汲み、堀川より受け継いだ枯れた肌合とともに、古備前を慕う石堂の丁子をこの地にもたらした。そこへ大和文殊系の包保・包道に承けた越後守包貞が摂州に居を構え、肥後菊池より出て井上真改の門を叩いた貞則のごとき遊歴の工も加わって、堀川と石堂と文殊の脈が大坂の地で一つの作域に結ばれていった。やがて親国貞の子真改、津田越前守助広、一竿子忠綱らがあらわれ、寛文・延宝・元禄の頃にこの一門は最も華やぐ。 一門の作風は、まず明るく冴える大坂鍛えに標識を持つ。鍛えはよくつんだ無地風の小板目で、地沸が微塵に厚くつき、地景が細かにさかんに入り、鉄色は明るく潤う。その地の上に、刃区を直ぐに焼き出し、その上から己の刃文を起こすのが一門に通じる約束で、収集家のいう大坂焼出しである。匂口は終始深く明るく冴え、刃縁は締まる。この共通の文法の上に、各工はおのおのの差を置く。井上真改は華やかな乱れを焼かず、よくつんだ精美な地に浅いのたれを帯びた沸深き直刃を本領とし、相州の郷義弘への意図的な写しにその沸の妙味を尽くして、大坂正宗と称された。津田助広は波濤のごとくうねる濤瀾刃を創始し、真改の小沸の直刃と並んで両大関と仰がれる。一竿子忠綱は揃った長足の丁子に簾刃の濤瀾を交え、何にもまして真の倶利迦羅や鯉の滝上りを刻んだ一竿子彫をもって分かたれる。河内守国助の家は丁子の旗頭で、二代中河内は握り拳の頭を戴く拳形丁子を創始して新刀一文字と賞され、その弟肥後守国康や四男国輝もこの石堂の丁子と津田風の濤瀾を担った。越後守包貞は助広に倣う濤瀾に片山乱れと文珠の砂流しを通わせ、貞則は師真改の沸深き直刃をよく継いだ。共通するのは明るい匂口と直ぐの焼出し、異なるのは真改の沈める沸、助広の濤瀾、国助一門の丁子という、地の上に置かれた手の差である。 収集家が大坂新刀を求める理由は、鑑定の勘所が明快で、主要工の格が高いことにある。明るく冴える大坂鍛えと、刃を起こす直ぐの焼出しという二つの見どころは、地と刃のいずれにも紛れなく現れて工と作域を定める手懸りとなり、真改の沸深き郷写し、忠綱の一竿子彫、中河内の拳形丁子といった各工独自の標識が、そこに重なって名を分かつ。一門の作はおおむね在銘年紀で、銘そのものが時の標識となるため、由緒の確かさをもって賞翫される。真改や助広や忠綱の最上手は市に現れることが稀で、現れれば一頭地を抜く出来事となるが、包貞・国助・国康・国輝のごとき名手の在銘作は、辛抱をもって相応に相見え、大坂新刀へ分け入る手近な入口を提供する。来歴の知られる作は谷干城や山内家、皇室の蔵を経て近代に伝わり、美術刀剣としての魅力は、真改の沸と助広の濤瀾が後世の刀鍛冶に及ぼした影響とともに、商都大坂が新刀期に成し遂げた一個の到達を今に伝える。 詳しく見る →

17名の刀工指定255口
主要刀工
刀工時代指定
真改1649-168279
忠綱1673-171753
包貞1673-168278
國助1658-166310
包貞1648-165210
大坂新刀流派を見る →

歴史的背景

大坂 町人の都の刀

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大坂は町人の都であり、刀も金の流れに従った。脇差一腰しか許されぬ町人のための贅沢な作、助広の濤瀾乱れ、大坂正宗と呼ばれた真改。率直に言えば、見られるために作られた刀である。

大坂 町人の都の刀 →

NBTHK鑑定書
Jūyō Tōken重要刀剣
Important Sword
›

特別保存刀剣の中から、特に出来が優れ、国認定の重要美術品に準ずると判断された名品です。年に一度の重要刀剣審査で選ばれます。

極めて選別的で、日本に登録された約250万口の刀剣のうち、重要刀剣に達したものは12,307口(約203口に1口)にすぎません。

NBTHKについて›

日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。

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飯田高遠堂
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山城屋
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69.5cm·Enpo (1673-1681)
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71.4cm·Enpo (1673-1681)
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Giuseppe Piva
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)

脇差

作真改
54.3cm·Enpo (1673-1681)
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飯田高遠堂
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上真改(菊紋)延宝八年八月日Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上真改(菊紋)延宝八年八月日

脇差

作真改
53.3cm·Enpo (1673-1681)
¥8,800,000
江州屋刀剣店
特別貴重
Katana - Tokubetsu Kichō - by Osaka Shinkai - 甲種特別貴重刀剣 脇差銘 井上和泉守国貞 (菊紋)寛文七年三月日Katana - Tokubetsu Kichō - by Osaka Shinkai - 甲種特別貴重刀剣 脇差銘 井上和泉守国貞 (菊紋)寛文七年三月日

刀

作真改
51.8cm·Genna-Keian (1615-1652)
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真改の売約済み

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明倫産業
特別保存
Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上和泉守国貞 菊紋 寛文十一年八月日(井上真改) Inoue Izuminokami Kunisada(Inoue Shinkai)Katana - Tokuho - by Osaka Shinkai - 井上和泉守国貞 菊紋 寛文十一年八月日(井上真改) Inoue Izuminokami Kunisada(Inoue Shinkai)
売切れ

刀

作真改
40.8cm·江戸
売却済
和敬堂
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改 寛文十三年八月日(新刀最上作)Wakizashi - Tokuho - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改 寛文十三年八月日(新刀最上作)
売切れ

脇差

作真改
47cm·Enpo (1673-1681)
売却済
銀座長州屋
Katana - by Osaka Shinkai - 銘 井上和泉守国貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日Katana - by Osaka Shinkai - 銘 井上和泉守国貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日
売切れ

刀

作真改
Keian-Tenna (1652-1682)
売却済
和敬堂
Wakizashi - by Osaka Shinkai - 無題Wakizashi - by Osaka Shinkai - 無題
売切れ

脇差

作真改
71.4cm·Enpo (1673-1681)
売却済
銀座長州屋
Katana - by Osaka Shinkai - 銘 (菊紋) 井上真改 延宝四年八月日Katana - by Osaka Shinkai - 銘 (菊紋) 井上真改 延宝四年八月日
売切れ

刀

作真改
Enpo (1673-1681)
売却済
和敬堂
Wakizashi - by Osaka Shinkai - 無題Wakizashi - by Osaka Shinkai - 無題
売切れ

脇差

作真改
Enpo (1673-1681)
売却済
和敬堂
Wakizashi - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改 寛文十三年八月日Wakizashi - by Osaka Shinkai - 脇差 井上真改 寛文十三年八月日
売切れ

脇差

作真改
Enpo (1673-1681)
売却済
刀剣小町
Wakizashi - by Osaka Shinkai - 脇差 白鞘入り 拵付きWakizashi - by Osaka Shinkai - 脇差 白鞘入り 拵付き
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脇差

作真改
57.6cm·Enpo (1673-1681)
売却済

大坂新刀派の作

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葵美術
特別保存
Katana - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 刀:肥後守国康(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)Katana - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 刀:肥後守国康(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣)

刀

作國康
69.7cm·Kanbun (1661-1673)
¥700,000
刀剣杉田
特別保存
Katana - Tokuho - by Shinto Kanesada - 越後守包貞(初代) (摂津)(五畿)Katana - Tokuho - by Shinto Kanesada - 越後守包貞(初代) (摂津)(五畿)

刀

作包貞
71.4cm·江戸
¥2,650,000
刀剣杉田
重要
Katana - Jūyō - by Horikawa Kunisuke - 河内守藤原国助 (第38回重要刀剣)Katana - Jūyō - by Horikawa Kunisuke - 河内守藤原国助 (第38回重要刀剣)

刀

作國助
76.65cm·Genna-Shoho (1615-1647)
¥9,500,000
刀剣小町
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Shinto Tadatsuna - 脇差 白鞘入りWakizashi - Tokuho - by Shinto Tadatsuna - 脇差 白鞘入り

脇差

作忠綱
51.66cm·Kanei (1624-1644)
¥550,000
サムライミュージアム
保存
Katana - Hozon - by Shinto Kunisuke - 日本刀 刀 銘 河内守国助 日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書付Katana - Hozon - by Shinto Kunisuke - 日本刀 刀 銘 河内守国助 日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書付

刀

作國助
75.8cm·Manji (1658-1661)
¥8,664
刀心
特別貴重
Katana - Tokubetsu Kichō - by Shinto Kanesada - 坂倉言之進照包 延寶九年二月日- Sakakura gonnoshin Terukane - 2-1369Katana - Tokubetsu Kichō - by Shinto Kanesada - 坂倉言之進照包 延寶九年二月日- Sakakura gonnoshin Terukane - 2-1369

刀

作包貞
70.2cm·Enpo (1673-1681)
¥2,970,000
刀剣杉田
重要
Katana - Jūyō - by Shinto Kuniteru - 小林伊勢守国輝 延宝六年二月日 (第49回重要刀剣)Katana - Jūyō - by Shinto Kuniteru - 小林伊勢守国輝 延宝六年二月日 (第49回重要刀剣)

刀

作國輝
72.15cm·Kanbun (1661-1673)
¥5,800,000
刀心
特別保存
Wakizashi - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 肥後守国康 3-469Wakizashi - Tokuho - by Shinto Kuniyasu - 肥後守国康 3-469

脇差

作國康
58.55cm·Kanbun (1661-1673)
¥880,000

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