説明

日本刀 脇差:伝 加州真景(日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣鑑定書付) 【解説】 本作は、南北朝時代中期から後期(貞治・永和頃:1362-1375年)にかけて活躍した加州真景(かしゅうさねかげ)と極められた一振りです。「加州」とは現在の石川県にあたる加賀国の別称です。真景は、越中の名工・則重(のりしげ)に作刀技術を学んだと伝えられています。 古くから多くの名工を輩出してきた加賀の地において、作刀の起源は必ずしも詳らかではありませんが、真景は同国の名工・藤島友重らと共に、加州鍛冶の礎を築いた開祖の一人と目されています。 真景が活躍した南北朝時代は、朝廷が南北に分かれ、日本全土が動乱の渦中にあった時代です。各地で戦火が絶えず、多くの武士が戦場へと赴きました。真景は、生死を懸けて戦う武士たちのために、実戦に耐えうる強靭かつ格調高い刀剣の製作に心血を注いだことでしょう。 【歴史的背景】 南北朝時代(1336年-1392年)とは、二つの朝廷が並立し、対立を続けた動乱の時代を指します。 後醍醐天皇が吉野(現在の奈良県)に「南朝」を樹立したのに対し、足利幕府の創始者である足利尊氏は京都に「北朝」を擁立しました。 この分裂により、約60年間にわたり政治的不安と武力衝突が続きました。両朝が正統性を主張して争う中、権力は公家から武家へと大きく移り変わっていきました。この争乱は1392年、三代将軍・足利義満による南北朝合一によって終焉を迎えます。 本作は、公益財団法人 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)より「特別保存刀剣」に認定されています。この鑑定書は、保存状態が極めて良好であり、かつ美術的価値の高い真作の日本刀に対してのみ授与されるものです。 ※刀身には僅かな鍛え傷や黒錆が見受けられます。詳細なコンディションについては、お気軽にお問い合わせください。 【刀身】 長さ(Nagasa):34.6 cm 反り(Sori):0.2 cm 刃文(Hamon):焼入れによって刃先に現れる結晶構造。 地鉄(Jihada):折り返し鍛錬によって現れる鋼の表面模様。 切先(Kissaki):刀身の先端部分。 茎(Nakago):柄に収まる持ち手部分。 日本の刀工は、柄内部での赤錆を防ぐためにあえて茎に黒錆を残しました。この茎の錆色は長い年月を経て形成されるもので、専門家が製作年代を推定する際の重要な指標となります。 【外装】 拵(Koshirae):鞘、柄、鍔などから構成される日本刀の外装。 縁頭(Fuchi-Kashira):柄の両端を保護し装飾する一対の金具。 本作の縁頭は「忍冬(にんどう)唐草」を題材としています。スイカズラの蔓や葉をモチーフとしたこの文様は、流れるような連続曲線が特徴です。その起源は古代エジプトやギリシャのパルメット文様に遡り、シルクロードを経て中国、そして飛鳥・奈良時代に日本へと伝わりました。法隆寺の瓦や正倉院の宝物にも見られるこの文様は、延命長寿や子孫繁栄、生命力の象徴として尊ばれてきました。 柄・目貫(Tsuka / Menuki):柄は刀を握る部分であり、目貫は柄の補強と装飾を兼ねた金具です。

Antique Japanese Sword Wakizashi Attributed to Kashu Sanekage NBTHK Tokubetsu Hozon Certificate
Tokuho

Antique Japanese Sword Wakizashi Attributed to Kashu Sanekage NBTHK Tokubetsu Hozon Certificate

脇差

$4,960

世界81社の刀剣商を横断追跡 · 価格履歴 · 売却アーカイブ

仕様

長さ

34.6 cm

反り

0.2 cm

作者について

Kaga Sanekage真景

1 重要文化財1 重要美術品46 重要刀剣

真景の銘で年紀のあるものはただ一口、それが本工について知られることのほとんどを定める。平造の短刀で、指表に藤原真景、指裏に貞治六年二月日、すなわち一三六七年と切り、重要文化財に指定されて、その在国と年代の双方を確かにする一作である。真景は南北朝期の加賀に働き、説明書は本工を越中則重の流れに数える。則重は相模より一、二代前に相州伝を北国へ運んだ工である。説明書は真景を則重の門人で後に加賀へ移ったと伝えるが、年代によって但し書きを付す。則重自身の年紀作は鎌倉末の正和・元応に収まるのに対し、真景は二代下る貞治を切る。その隔たりは直門とするには広すぎ、判者はこの繋がりを師弟の絆ではなく受け継がれた作風と読む。一、二代を隔てて則重の手を取り、それを一国の代表的な相伝の様とした工である。 その手は肌立つ板目に拠った沸出来である。板目に杢・大板目を交えた鍛えは、平らに伏すよりも肌が立ち、その上に地沸が厚く集まり、地景がよく入る。則重の流れを告げる鉄の暗線である。その地に、のたれに互の目を交えた刃を焼き、沸は強く深く、刃中には砂流しが長く、しばしば幾重にもかかり、金筋が破って入り、刃縁にほつれ、打のけ・湯走りを散らす。帽子は乱れ込んで頻りに掃きかけ、小丸に返るか焼詰めに延びる。説明書が繰り返し本工の見どころとするのはこの働きであり、ある大磨上の刀を「則重に直結する出来を示している」と評する。 地鉄こそ本工の国を語る。地鉄は黒ずみ、肌目が白っぽく底色が黒ずんで、判者が幾度も北国の趣と名指す色を帯びる。それが本工をその手本から分かつ半歩である。その板目は則重ほど肌立たず、相州本国の作に対しては冴えを欠くとされ、ある刀について「相州本国の作に比してはどこか野趣が感じられる」と記す。その野趣は彼らの語りにあって瑕ではなく指紋である。本工の作域を「いわゆる則重風を見せている」とする同じ説明が、それを、大いなる伝統を受け継ぎ、その覇気を保ちながら冴えを失った田舎の手の作と置く。 記録には二つの様が通う。その大半は大磨上無銘の刀で、より長い南北朝の太刀を磨り上げた鎬造の刀、反り浅く、鋒は中鋒あるいは大鋒となり、地刃のみから本工に極められる。これに対して稀な在銘作が立つ。いずれも短刀と一口の脇指で、平造のやや寸延び、四字・五字の長銘を細鏨で切り、数口は宗教的な彫物を、茎元に梵字に素剣あるいは護摩箸を彫る。在銘の短刀の幾口かは、純然たる細直刃に小足の入る、より華やかな沸の作と並ぶ穏やかな様に焼かれる。判者は銘そのものから代を別つ。細鏨に貞治を年紀する初代と、太鏨で切られ初代につぐ上手とされる二代藤原真景とで、一つの名はおそらく一代を越えて亘る。 真景を分かつのは、まさに説明書が彼と則重との間に測る距離である。肌立つ地、厚い地沸、地景、沸の深いのたれによって越中の本工に結ばれ、より黒い地鉄と北国の色、本国の作にはない野趣によってそこから離される。本工の重要文化財の短刀の説明はその均衡を明らかに引き、そこに「則重伝を継承した加州真景の特色」、すなわち則重伝を継ぐ加州真景の特色を名指す。彼はその伝統の本源ではなくその地方における継承であり、則重の相伝が加賀の沸出来の様となった、その手である。 収集の観点では、真景は稀で輪郭の明らかな北国の名である。藤代の極めは上々作。国宝はなく、その記録は重要文化財一口、すなわち貞治六年の短刀と、特別重要刀剣・重要刀剣の級を通る。後者には四十七口が多くの回次に亘って列なり、大磨上の刀一口が特別重要刀剣に及ぶ。判者は、在銘作の現存が少ないゆえに、この年紀の短刀の資料的価値を頗る高いものとし、その作域を「野趣に富み、覇気に溢れる作域」と評する。その作は、本工自身の国たる加賀の領主前田家に伝来し、年紀の短刀は前田利為の蔵に記録され、また中川家にも伝わる。在銘の真景は相伝を蒐める者が出会いを願うもののうちでも稀少な部類であり、無銘の刀は折にふれて世に現れ、年紀ある銘は極めて稀にしか現れない。則重の伝統が北国にいかに生き続けたかを語る証である。

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