古金工とは、室町時代以前に制作された無銘の色金金具のうち、後藤家をはじめとする特定の流派へ極められない作を総称する呼称です。本作は定寸を大きく上回る長さと幅、豊かな肉置、緩やかに立ち上がる耳、長く伸びた首を備え、本体を一段掘り下げた胴へ古様な高彫を施す造りにも、室町末期の古金工笄に通じる風格がよく表れています。 大黒天は七福神の一柱として福徳、五穀豊穣、財運をもたらす神とされ、打出の小槌と大袋を伴う親しみ深い姿は、商家から武家に至るまで広く信仰されてきました。俵や高坏に載せた宝珠などの宝物に加え、大黒天の使いとされる鼠、実りと豊穣を象徴する大根を取り合わせることで吉祥性は一層高まり、福を招き、富を蓄え、暮らしを守る願いが細長い画面へ凝縮されています。 本作は褐色の古色を帯びた山銅地の胴を一段掘り下げて深い黒味を持たせ、その中央に笑みを浮かべる大黒天を高彫で表し、左右には高坏に載せた宝珠、俵、袋などを所狭しと並べ、木瓜形付近には大根と鼠を配しています。別製の地板を嵌め込まず本体から画面を作り出した造りとともに、大黒天の丸い顔、豊かな頬、衣の重なりをふっくらと彫り起こした素朴で力強い表現が、福神らしい親しみと堂々たる存在感を生み出しています。 各像は地金の落ち着いた色を主体としながら、笠の縁、宝珠、俵の縄、大黒天の衣や袋の要所へ金色絵を散らし、黒い背景の中で形が埋もれないよう巧みに輪郭を引き締めています。金色は全面を覆うのではなく、鑑賞者の視線を導く場所へ絞って用いられているため、華やかさと古雅な風合いが両立し、耳掻側から棹側まで宝物を順に辿るほど、画面に込められた祝意の豊かさを実感できます。 裏面は文様を置かず、褐色の地肌と長い年月を経た穏やかな表情を広く見せ、表面へ密集させた吉祥図との鮮やかな対照を作っています。雉子腿部分には、伝来の中で拵へ合わせるため表裏から鑢を当て、厚みを薄く調整した痕跡が認められ、実際に装着されながら受け継がれてきた時代金具ならではの履歴を伝えています。堂々とした大振りの姿と確かな量感も、高彫を受け止める本体の充実を物語り、福徳を象徴する人気画題、黒地と金色絵の重厚な配色、古金工ならではの素朴で力強い造形を一度に味わえる本作は、大黒図を収集される方はもちろん、室町金工の風格と吉祥性を重んじる方にもおすすめしたい、愛蔵する喜びの大きな一品です。
取扱店 刀心
この品の現在有効な鑑定書は確認できませんでした。審査に出されたことがあるか、出せるかを刀剣商にお尋ねください。 — Hoshi





室町
無銘
刀剣商の出品ページで鑑定書を確認できませんでした。日本刀および刀装具は通常、NBTHK(または NTHK)の鑑定を受けます。鑑定書がない場合、極めは刀剣商の見解にとどまり、第三者による確認は行われていません。ご購入前に刀剣商へ鑑定書の有無をお問い合わせのうえ、慎重にご判断ください。
お求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
¥242,000