古金工とは、室町時代から安土桃山時代(1603年)以前に作られた、系統が不明な金工作品の総称です。 この小柄笄二所物は、赤銅地に細やかに魚子を打ち込み、這龍を高彫で力強く表した一作です。赤銅の深みある色調と繊細な魚子地の対比が美しく、龍の鱗や爪の彫りにも古雅な迫力が宿ります。手擦れによる摩耗も極めて少なく、時代作としては驚くほど良好な保存状態を保っています。 古作の名品拵をお持ちで、小柄笄が欠けている方には、まさに相応しい逸品。拵に組み合わせれば、全体の品格を一段と高めることでしょう。古金工の美意識と武家の威厳が共存した、価値ある二所物です。
Certificate reading — 無銘(古金工)






古金工派
室町
無銘
特別保存 (NBTHK)
金工
古金工派は、日本刀装具史における最も古い時代からの流れを汲む金工作品群の総称である。鎌倉時代から室町時代を経て桃山時代に至るまで、各時代の作風を反映しながら展開した。その作域は後藤家や古美濃とは範疇を異にする独自の表現領域を確立しており、技巧に偏ることなく素朴さと雅味を基調とした作風が特徴である。使用される地金は山銅や赤銅、四分一が主体で、魚子地に高彫や鋤出彫を施し、金銀の袋着色絵や鍍金によって装飾を加える。特に鎌倉時代から南北朝時代にかけての作品には、逆耳仕立の笄や卍紋透鐔など古式な形式を示すものが多く、時代を経るごとに緑青が吹いた山銅地や漆黒の赤銅地が深い古淡の風趣を醸し出している。 古金工派の作風は、時代によって明確な変遷を示す。南北朝時代から室町時代初期にかけては、波地や網目文といった地文に三巴紋や歳寒二雅図を配した簡素な意匠が主流であり、肉置きは概ね平らかで撫肩の造形に古式の趣が色濃く表れている。室町時代中期から後期になると、秋草図や草花唐草文など自然を題材とした意匠が増え、彫口は鋭く切り立ち、銀露象嵌や金袋着色絵の技法が洗練されてゆく。桃山時代に至ると、富士山風景図や枝垂桜図といった絵画的な構図が現れ、表裏で図取りを替えた大胆な展開や、古美濃の影響を受けた深い高彫が特徴となる。また牡丹獅子図や竹虎図など吉祥文様を雄渾に彫り上げた作品には、桃山という時代の絢爛たる気風が反映されており、後藤家の規格化された表現とは異なる伸びやかな躍動感が認められる。 古金工派の作品は、無銘のものが大半を占めるにもかかわらず、その時代性と品格は明瞭である。魚子地のつぶが大小不揃いであることや、金鍍金が処々摺り剥がし状になっていることが、かえって経年の雅趣を深めている。また鐔の土手耳や笄の蕨手金象嵌、目貫の陰陽根など、各時代の形式を忠実に伝える造形は、後世の金工に多大な影響を与えた。特に室町時代中期の作品には古美濃や古後藤に通じる彫法が見られるものの、一段と濃麗な彫や露象嵌金色絵の多用など、独自の美意識が貫かれている。藻貝海幸散図や貝尽図など海中の生物を情景豊かに彫り上げた作品や、草花尽図のように多様な草花や木の実を緻密に散らした作品には、汲めども尽きぬ雅趣が満ちており、保存状態の良好なものは未使用に近い状態で伝世している。古金工派の作品は、技巧を誇示するのではなく、物静かに古談の風趣を伝える点において、日本刀装具史上極めて重要な位置を占めている。 詳しく見る →
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイトお求めになられた商品とは異なる商品をお届けしてしまった場合や、表記内容と現物とに大きな隔たりなどがあった場合を除き、基本的に返品はお受けいたしません。返品をご要望の場合は、商品到着後3日以内に御連絡の上ご返送下さい。
古金工とは、室町時代から安土桃山時代(1603年)以前に作られた、系統が不明な金工作品の総称です。 この小柄笄二所物は、赤銅地に細やかに魚子を打ち込み、這龍を高彫で力強く表した一作です。赤銅の深みある色調と繊細な魚子地の対比が美しく、龍の鱗や爪の彫りにも古雅な迫力が宿ります。手擦れによる摩耗も極めて少なく、時代作としては驚くほど良好な保存状態を保っています。 古作の名品拵をお持ちで、小柄笄が欠けている方には、まさに相応しい逸品。拵に組み合わせれば、全体の品格を一段と高めることでしょう。古金工の美意識と武家の威厳が共存した、価値ある二所物です。
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古金工派
室町
無銘
特別保存 (NBTHK)
金工
古金工派は、日本刀装具史における最も古い時代からの流れを汲む金工作品群の総称である。鎌倉時代から室町時代を経て桃山時代に至るまで、各時代の作風を反映しながら展開した。その作域は後藤家や古美濃とは範疇を異にする独自の表現領域を確立しており、技巧に偏ることなく素朴さと雅味を基調とした作風が特徴である。使用される地金は山銅や赤銅、四分一が主体で、魚子地に高彫や鋤出彫を施し、金銀の袋着色絵や鍍金によって装飾を加える。特に鎌倉時代から南北朝時代にかけての作品には、逆耳仕立の笄や卍紋透鐔など古式な形式を示すものが多く、時代を経るごとに緑青が吹いた山銅地や漆黒の赤銅地が深い古淡の風趣を醸し出している。 古金工派の作風は、時代によって明確な変遷を示す。南北朝時代から室町時代初期にかけては、波地や網目文といった地文に三巴紋や歳寒二雅図を配した簡素な意匠が主流であり、肉置きは概ね平らかで撫肩の造形に古式の趣が色濃く表れている。室町時代中期から後期になると、秋草図や草花唐草文など自然を題材とした意匠が増え、彫口は鋭く切り立ち、銀露象嵌や金袋着色絵の技法が洗練されてゆく。桃山時代に至ると、富士山風景図や枝垂桜図といった絵画的な構図が現れ、表裏で図取りを替えた大胆な展開や、古美濃の影響を受けた深い高彫が特徴となる。また牡丹獅子図や竹虎図など吉祥文様を雄渾に彫り上げた作品には、桃山という時代の絢爛たる気風が反映されており、後藤家の規格化された表現とは異なる伸びやかな躍動感が認められる。 古金工派の作品は、無銘のものが大半を占めるにもかかわらず、その時代性と品格は明瞭である。魚子地のつぶが大小不揃いであることや、金鍍金が処々摺り剥がし状になっていることが、かえって経年の雅趣を深めている。また鐔の土手耳や笄の蕨手金象嵌、目貫の陰陽根など、各時代の形式を忠実に伝える造形は、後世の金工に多大な影響を与えた。特に室町時代中期の作品には古美濃や古後藤に通じる彫法が見られるものの、一段と濃麗な彫や露象嵌金色絵の多用など、独自の美意識が貫かれている。藻貝海幸散図や貝尽図など海中の生物を情景豊かに彫り上げた作品や、草花尽図のように多様な草花や木の実を緻密に散らした作品には、汲めども尽きぬ雅趣が満ちており、保存状態の良好なものは未使用に近い状態で伝世している。古金工派の作品は、技巧を誇示するのではなく、物静かに古談の風趣を伝える点において、日本刀装具史上極めて重要な位置を占めている。 詳しく見る →
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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