実用の時代に重宝され、伝え遺されてきた古笄。漆黒の赤銅地を魚子地に仕立て、その中央に樋定規のみを高彫に表現した、古風で貫禄のある作。魚子地は手擦れで減り、櫃や洲浜の角部、蕨手などもなだらかになっている。その古調な状態こそ実用武具の魅力であり、江戸時代後期の切り立つような彫口の作には求め得ない四百数十年の時間の積み重なりに他ならない。天正拵などに装着し、時代観を鮮明にして楽しみたい。



室町
無銘
保存 (NBTHK)
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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