南蛮鐔は、桃山から江戸時代にかけて流入した海外文化や舶来意匠の影響を受け、異国的な唐草、龍、鳥獣、文字などを密な透かしで表した鐔の総称です。長崎をはじめ各地で製作され、地板を埋め尽くす装飾、表裏に及ぶ彫り、金の布目象嵌、左右対称を基調としながら複雑に絡み合う文様などが大きな魅力です。本作は無銘ながら南蛮の極めを持ち、向かい合う鷺と唐草を組み合わせた珍しい構図によって、典型的な異国趣味の中に日本的な水鳥の優美さを取り込んでいます。 本作は、大振りな鉄地を、巻き込む唐草と二羽の鷺でほぼ余すところなく彫り透かした作品で、常に見る異国的な印象が強い南蛮鐔とは異なって、非常に写実的な彫りがなされています。 細い蔓は上下左右表裏へと交差しながら耳と切羽台を結び、その間に鷺の姿が浮かび上がり、表裏に施された金の布目象嵌が見事で、深い黒褐色の鉄地に古雅な輝きを添えており、厚さ5.3ミリ、重量133グラムのしっかりした造りで、細密な透かしにもかかわらず骨格には力があり、耳にまで施された金布目象嵌の唐草文様が豊かな陰影を生みます。 一見すると密集した唐草文が目を引きますが、眺めるほどに鷺の頭、翼、脚、蔓の流れが次々と見つかり、見る者の視線を長く留めます。金の残り方や鉄の古色には年月を経た品ならではの風情があり、均一な新品にはない深い味わいがあります。大振りで装飾密度も高いため、単独展示でも強い存在感を発揮し、南蛮鐔の異国性と日本的な鳥文様の双方を楽しめます。複雑な透かし、古い金象嵌、物語性のある意匠を好む方に、収集の核としておすすめできる南蛮鐔屈指の名作です。
取扱店 刀心
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無銘
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