縦84.7ミリ 横84.9ミリ 切羽台厚4.9ミリ 耳厚8.6ミリ 重さ214.4グラム 貞命は紀州を代表する鐔工の一人で、法安の門人とも伝えられ、尾張鐔に通じる剛健な鉄地の造形を基礎としながら、透かしや象嵌を取り入れた個性豊かな作品を遺しており、「紀州住貞命」の銘を切る本作も、重厚な地鉄と大胆な耳の仕立てにその特色がよく表れています。 縦84.7ミリ、横84.9ミリの大振りな丸形鉄地を槌目に仕立て、耳を8.6ミリの厚さを持つ縄目土手耳として力強く巡らせた構成で、太く捩じり上げられた縄目が黒褐色の地鉄を引き締めるとともに、214.4グラムという量感と相まって、紀州鐔らしい剛健で堂々とした風格を生み出しています。 鐔面には赤銅の鶴丸紋を据え、翼を大きく広げながら首を巡らせる鶴の姿を一枚ずつ丁寧に彫り分けた羽根とともに立体的に表しており、黒褐色の鉄地から浮かび上がる赤銅の深い黒紫色が、武骨な造りの中に端正な華やかさと格調を添えています。鶴は長寿や繁栄を象徴する瑞鳥であり、翼と頸を円形に収めた鶴丸紋には、円満と永続への願いも重ねられています。 地には小透かしと両櫃孔を設け、その一方を埋めるとともに、下方に穿った二つの手貫緒孔へ真鍮の覆輪を巡らせ、表裏で位置を替える丸い金色の据文と合わせて、静かな鉄地の中に明快な色彩と均衡を与えており、茎孔には素銅の責金を備えることで、実際の刀装へ用いられた鐔としての確かな仕立ても伝えています。 縄目土手耳の力強い起伏、槌目地の穏やかな表情、赤銅の鶴丸紋と真鍮の温かな色合いが簡潔な構図の中で響き合い、大振りの寸法と豊かな量感を備えながらも意匠には品格が保たれており、日本美術刀剣保存協会和歌山県支部発行『紀州の刀装具』53頁に所載され、さらに日本美術刀剣保存協会の保存刀装具鑑定書を有する、紀州鐔と貞命の作域を伝える資料性にも優れた一枚です。 ※掲載の『紀州の刀装具』は参考資料です。本品に附属致しません。















紀伊
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銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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