南蛮鐔は桃山時代末から江戸時代にかけて成立した刀装具様式で、中国・東南アジア・ヨーロッパなど海外由来の意匠を取り入れた作品群を指します。 初期には舶載品も含まれますが、江戸時代には国内工人による制作が盛んとなり、一つの様式として広く定着しました。本作もその流れを受けた作であり、異国趣味豊かな意匠と優れた透彫によって南蛮鐔の魅力をよく示しています。 本作は、鉄地を地板とし、細密な唐草透の中を二頭の龍が円環を描くように巡る華麗な構図となっています。 総体には金布目象嵌が施され、耳の連珠状装飾にも本来は金象嵌が巡らされていたことがうかがえ、現在も各所にその名残を留めています。異形の切羽台にも金布目象嵌が施されるなど細部まで装飾性への配慮が見られ、左右および上部には十字形にも見える小透が配されることで異国趣味を一層引き立てています。 ただし、このような十字形の意匠は南蛮鐔にしばしば見られる装飾要素の一つであるため、本作を隠れキリシタンに関わる作品と断定することはできませんが、透彫は極めて細密で、龍の躍動感ある姿と唐草が一体となった構成は完成度が高く、保存状態も良好で、南蛮鐔の中でも見応えのある優品といえるでしょう。
取扱店 刀心
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無銘
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