附属 特別保存刀装具鑑定書、桐箱 兼義は江戸時代中期に近江国彦根で活躍した彦根彫の金工です。彦根彫は井伊家の城下町で発展した刀装具の一派であり、高肉彫や色絵を駆使した華やかで物語性豊かな作風を特色としています。兼義もまた人物や風景を巧みに描き出す優れた技量を有し、彦根彫を代表する工人の一人として知られています。 本作は源平の戦いを題材とした鉄地透鐔です。画面上部には老松を大胆な透かしによって表し、その下には人物群像を高肉彫と色絵によって精緻に描いています。松の下には弁慶と義経を思わせる人物が配され、裏にはその従者である武者が描かれ、表裏を通じて一つの物語が展開される構成となっています。 人物の表情や衣紋、武具の細部に至るまで丁寧に彫り上げられ、金銀色絵を巧みに用いることで画面に華やかさと奥行きを与え、老松の枝振りや水流の表現にも緻密な鏨遣いが見られ、限られた鐔面の中に豊かな情景が巧みにまとめられており、鉄地はよく鍛えられ、時代を経た落ち着いた鉄味を呈し、象嵌の残存状態も良好です。 兼義らしい細密な彫技と彦根彫特有の華やかな色絵が見事に調和した作品であり、人物表現の巧みさと豊かな物語性を存分に堪能することのできる見所豊かな優品です。















保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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