説明

銘:無銘(海部) 刀工:海部派(阿波国) 流派:海部刀 時代・国:古刀/阿波国(現在の徳島県) 鑑定書(刀剣):日本美術刀剣保存協会(NBTHK)保存刀剣 鑑定書(鍔):日本美術刀剣保存協会(NBTHK)保存刀剣(第447407号)明珍 拵:時代拵(明珍作 鉄地軍配透鍔、龍図金着縁、高彫合戦図頭、金茶糸巻柄) 長さ(Nagasa):68.2 cm(二尺二寸五分) 反り(Sori):2.2 cm 目釘穴:1個 造り:鎬造、庵棟 状態:経年に相応しい古色を帯びた状態、肌に一部疲れ(傷)あり 多くの日本刀が侍のために打たれた一方で、本作は「水軍」のために打たれた一振りです。戦国時代の阿波国において、海部川流域を守護した川水軍や沿岸警備の兵たちの実戦刀として鍛えられました。これは単なる伝承ではありません。日本美術刀剣保存協会(NBTHK)による「海部」への保存極め、および海部川水軍の用いた刀であるという当時の背景は、本作を日本の軍事史における極めて特殊かつ希少なカテゴリー、すなわち「宮廷の装飾品ではなく、地方水軍の武骨な実戦兵器」として位置づけています。 刃長は68.2cmと定寸の打刀であり、手元から先まで淀みなく流れる深い反りが特徴です。造り込みは鎬造、庵棟。その姿は実用本位で、一切の虚飾を排しています。海部刀は決して観賞用として作られたものではありません。その評価は、古くから「名物岩切海部(いわきりかいふ)」と謳われた圧倒的な切味に集約されています。本流派の刀剣は、銘の有無に関わらず、その鉄質の強靭さのみでNBTHKの審査を通り得る実力を備えています。海部刀において無銘であることは、実戦刀としての本質を示す極めて一般的な特徴と言えるでしょう。

Antique Japanese Katana Sword by Kaifu with Double Hozon and Myōchin Gunbai Tsuba
売切れ
Hozon売切れ

Antique Japanese Katana Sword by Kaifu with Double Hozon and Myōchin Gunbai Tsuba

売却済

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仕様

長さ

68.2 cm

反り

2.2 cm

流派について

Kaifu School海部派

海部派は阿波国、すなわち現在の徳島を中心とする四国の地に興った刀工の一群である。説示は『古今銘尽』『古刀銘尽』を引いて、この派に二つの系統があったことを伝える。その一は康暦頃の海部太郎氏吉を祖とする系であり、いま一つは応安頃の波平の弟子と伝え、「藤」と一字を銘する者を祖とする系である。もっとも祖と仰がれる氏吉の作は現存せず、現存する作品にも南北朝時代まで時代の遡るものはなく、世に海部物と呼ばれる作の多くは室町時代のものとされる。活躍が目立つのは室町時代の後半からであり、説示に名を挙げる工としては、氏吉、藤原氏吉、阿州開府氏吉と銘する一群のほか、明応頃と天文頃の二工が知られる氏重、大永年紀を残す泰吉、同じく大永頃の海部鍛冶である泰長がある。氏重については、後に播州姫路に移り大和大掾を受領した初代、通称三木新五郎の名が伝えられ、その末裔に手柄山正繁が出たことも記される。 作風について説示はおおむね二様を記す。一つは、光の弱い地景が目立ち、大のたれ・小のたれを焼いて、匂口が望洋としてしまらず、地景と同調する金筋がかかるものである。いま一つは、板目に柾気が交じって鍛えがやや軟らかく、少しく白け、働きのあまり見られない直刃を焼く、波平風と評されるものである。短刀には、平造、三ッ棟で身幅広く寸延び、重ね薄めに僅かに内反りのついた大柄な姿が見られ、板目に杢を交え、刃寄りが流れて柾がかり、地沸が微塵につき、白け映りが立つなかに細直刃を焼いて枯淡の趣を醸す作がある。彫物には棟寄りの梵字に素剣・護摩箸を掻き流したものや棒樋があり、刀身によく調和する。脇指には海部の山刀と呼ばれる切刃造のものが知られ、地刃の出来に見劣りするものが多いと説示は述べる。海部を見分ける手がかりは、光の弱い地景、白け映りと柾がかった鍛え、しまりに乏しい匂口、そして直刃に波平風の趣を帯びる点にある。 鑑定にあたっては、これら地景・白け・匂口の性格に加え、銘字を太鏨で大振りに刻む茎の様子が拠りどころとなる。海部物は実用に即した性格が強く、その切れ味の鋭さを語る作が伝わる。氏吉作の名物岩切海部は享保名物帳に所載され、名はその切れ味の鋭利さに由来すると伝え、もとは阿波の豪族三好家にあって長慶がこの刀で武功をたて、後に福岡の黒田家に伝わったという。また泰吉や泰長の作には、海部の作が江に化したと語られるごとく、地刃や帽子に物語を生む要素を含むものがある。氏吉作の短刀には『光山押形』に所載され伊東巳代治の旧蔵にかかる一口もある。有銘の作は総じて少なく、それゆえ氏重・氏吉・泰吉・泰長らの遺例は、各工のみならず海部派全般を研究するうえで貴重な資料であり、阿波の地に根ざした実用刀の一系として位置づけられる。

刀剣商

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