大和住吉久 鐔(DM004) 雲、あるいは逆巻く怒濤を力強く彫り描いた鉄地の大振な鐔です。この意匠は龍の存在を想起させるもので、迫力ある構図が見所です。 銘:大和住/吉久作(寛政八年〜天保六年頃) 本作の銘は、鏨で刻むというよりは、筆致をなぞるように彫り込まれた「書記銘」の趣があります。特に「吉」の字の「口」を極めて大きく構える独特の銘振りが特徴的です。 寸法:8.5 cm x 7.8 cm 厚さ:3 mm 状態:保存状態は極めて良好で、新品同様の輝きを保っています。
取扱店 Nihonto US
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平安城象嵌鐔は、山城国の都・京都を中心に展開した技法的地域伝統である。NBTHK説示において本派は一貫して「応仁鐔の流れを汲む流派」[[c:1]]と位置付けられているが、その古いところは時代的にも応仁鐔にほぼ近く、両者はおおむね同時期に栄えたものと理解される。また鎌倉鐔などとの関連性も考えられている。本派は室町時代末期から桃山期にかけて盛行し、江戸初期に至るまで繁栄を見た。この門からは小池与四郎が出て一派をおこした。与四郎は小池氏で和泉守を受領し名を直正といい、出身は京都であるが後に加賀国に移住し、金工加賀象嵌の先駆をなしたと伝えられる。銘を記すものが多く、作者銘の前に「平安城住」「山城国住」と製作地を冠するのが通例で、政重・長吉・吉久・吉家などの銘が多く見られる。 作風はおおむね二様に大別される。一つは据紋象嵌、他は平象嵌であり、いずれも真鍮を多用しているところに顕著な特色がある。意匠については、前者は紋唐草を施して文様風に展開させ、後者には唐草文・桔梗文のように草花をあらわしたものを多く見る。時代が下るにつれて真鍮以外の金・銀・素銅・赤銅・山金などを併用するようになり、意匠も絵風のものが加わり、据文と平象嵌を混用したり鋤出高彫を施した作例もある。小池与四郎の一派はさらに独自の造込みを示し、薄手の鉄板鐔の耳際に家紋を連ねて透し、地に唐草の平象嵌を一面に施して毛彫を加えたものをその典型とする。平象嵌がわずかに地よりも盛り上った感じとなるところ、また耳際にわずかに肉を落とした肉置の処理は与四郎鐔の造込みの特色とされる。 説示を通じて本派の作品は繰り返し京都的な美意識をもって評価されている。「意匠が雅びでいかにも京風」[[c:2]]「構図・彫法共に洗練味があり」[[c:3]]「画面からは京風の雅びやかさが看て取れる」[[c:4]]「文様にも雅致があり」[[c:5]]といった審査語が重ねられ、都の工房文化に根ざした洗練が一貫して認められる。長吉のように鋤出高彫と真鍮・赤銅象嵌を駆使して山水図のごとき絵風鐔の世界を展開し得た作者の存在は、本派が単なる象嵌装飾にとどまらず、絵画的表現にまで到達した技術的幅の広さを物語る。鉄地に真鍮象嵌という素材と技法の組み合わせを基軸としながら、独自の意匠感覚と都風の雅趣をもって鐔の一大系譜を確立した点に、平安城象嵌鐔の伝統としての意義がある。 詳しく見る →
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