海老図小柄(石州次良小刀付) 無銘 -Mumei- 全長215.3ミリ 小柄部分の全長98.4ミリ 幅13.75ミリ 重さ35.2グラム(小刀含) 江戸中期~後期 The middle to late Edo period 附属 桐箱 海老は長い髭と曲がった腰から、腰が曲がるまで健やかに生きる長寿の象徴とされ、脱皮を重ねて成長する姿には再生や発展の願いも託されました。祝膳や正月飾りにも欠かせない吉祥の生き物であり、武家の刀装具では勇ましい甲殻の姿と親しみある祝意を兼ね備えた画題として好まれています。 本品は黒褐色の鉄地へ一匹の海老を赤銅の高彫で配し、小柄の丸みを帯びた尻と海老の尾扇を同じ輪郭に重ねることで、器物の外形そのものを海老の姿へ巧みに取り込んでいます。尾扇は小柄尻いっぱいに広がり、そこから節を重ねる腹部、脚、頭部、長く伸びる触角へと自然に視線が導かれ、限られた細長い画面を余すことなく生かした洒落た構成となっています。 黒味のある鉄地と赤銅の海老は同系の落ち着いた色調でまとまりながら、甲殻の縁や触角へ添えた明るい色金が斜光の中で細く輝き、近くで眺めるほど彫りの細部が現れます。石州次良銘の小刀を備えた姿にも実用具らしい引き締まった趣があり、鉄の渋さ、海老の愛嬌、長寿の吉祥性を過不足なく楽しめます。形と意匠を巧みに呼応させた、収集の中でも印象に残る一口です。





江戸
無銘
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