円や楕円を上下左右、四方に重ねて作った文様を七宝繋文という。元は四方繋と呼ばれたものが仏教の七宝にかけて七宝繋文になったという説がある。四方に限りなく広がっていくことから繁栄を意味し、吉祥文として喜ばれ装束や器物に用いられた。その七宝文の一部を小透とした本作。全てを克明に表すのではなく、一部のみを見せて鑑賞者の想像力を求める心憎い手法である。俗な言い方をすれば「チラリズムの美学」であろうか。叩き締められ陰影深く表情豊かな地鉄は色合い黒々として鍛え良く、耳に向かってやや肉を落とす。視覚と触覚で実用の時代の厳しさと装飾への芽生えを感じたい。室町時代に使用されたそのままの無櫃の作で、まさに一刀一鐔を物語るものであろう。



甲冑師
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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