徳川の泰平のもと、大小は法度の定める身分の制服となり、需要は城下町、とりわけ江戸に集まった。工芸は二つに分かれる。目利きのための華やかな鑑賞の作と、截断の結果を金象嵌に刻む実証の刀である。
本作は、豊臣秀吉所用と伝わる重要文化財「朱塗金蛭巻大小拵」(東京国立博物館所蔵)を手本として製作された現代の写しである。 本歌は桃山時代の作で、豊臣秀吉の没後、刀身と拵は越後国新発田城主の溝口秀勝に、金無垢の桐文透大小鐔は浅野家に贈られたと伝えられる。鞘は朱漆塗の上に二筋の金の薄板を螺旋状に巻く蛭巻とし、柄頭や鐺にも金無垢の金具を用いるなど、桃山時代の華麗な装飾性をよく示している。当初の鐔は金無垢の桐文透鐔であったが、浅野家に贈られたため、現在は鉄地の鐔が付されている。 柄巻は現在後補であるが、当初は黒糸諸捻巻であったとされ、目貫は尾張拵と同様に一般的な拵とは表裏の位置を逆に配している。また、返角は立ち上がりながらも鞘に対して斜めとならず、平行に取り付けられている点が特徴である。小振りな金無垢の柄頭を用い、巻掛としない形式は、後世の肥後拵にも通じるものがある。 本作は、本歌の意匠を写すとともに、浅野家に伝来した重要美術品「桐文大小鐔」(黄金透彫)をも金無垢で再現している。浅野家伝来の本歌の大小鐔は、金無垢地に桐文を透彫し、耳には波文様を手彫した豪華なもので、桃山時代の後藤家の作と考えられている。現在は別々に伝来する大小拵と大小鐔を、本作では一具として再現し、豊臣秀吉所用当時の姿を彷彿とさせる仕立てとなっている。 大小鐔の大は147g、小の135gをはじめ、縁頭、目貫、鐺、切羽などの金具はすべて金無垢で製作され、その総重量は推定396グラムに及ぶ。金の含有率は73.8%(約17.7金相当)とされ、18金に近い品位を有する。金鍍金や金着せとは異なり、金無垢を贅沢に用いた仕立てとなっている。 朱漆塗の鞘に金蛭巻を施し、黒糸の柄巻を配した朱、金、黒の鮮やかな色彩の対比は、豪華絢爛な桃山文化を象徴するものであり、天下人豊臣秀吉の美意識を今に伝える華麗な大小拵である。小の脇指拵の小柄が欠落していることが惜しまれる。 金無垢金具 重量明細 金含有量 73.8%(約17.7金相当) 目貫:1対(2個) 11g= 11g 切羽:4枚 28g = 28g 鐺:約9g × 2= 18g 縁:約13g × 2= 26g 頭:約8g × 2= 16g 鐔:(大) 147g = 147g (小) 135g = 135g 金鵐目と蛭巻部分:15g = 15g 合計 = 396g ※ 小の脇指拵の小柄が欠落しています。
取扱店 つるぎの屋
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江戸時代
徳川の泰平のもと、大小は法度の定める身分の制服となり、需要は城下町、とりわけ江戸に集まった。工芸は二つに分かれる。目利きのための華やかな鑑賞の作と、截断の結果を金象嵌に刻む実証の刀である。
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