縦72.8ミリ 横69.4ミリ 切羽台厚4.6ミリ 耳厚6.2~6.4ミリ 尾張透鐔は、よく鍛えた鉄を大胆に抜きながら耳と意匠のつながりを力強く保ち、左右対称を基調とする明快な構図と、切羽台へ向かって地が低くなる中低の肉置きに特色が見られる一派で、本品も厚く立った耳、引き締まった切羽台、左右に木葉を繋ぐ透かしが呼応し、無銘ながら尾張の作として鑑賞したい一枚です。黒褐色の鉄地だけで形づくられた意匠は、飾りを加えずとも葉の動きと広い余白が際立ち、古作の鉄鐔ならではの端正な風格を伝えています。 耳は八角形を基調に各辺をやわらかく張り出させた八つ木瓜形とし、中央の切羽台から左右へ伸びる細長い木葉を三葉ずつ配して、葉先が外へ開くような動きを与えています。左右の葉を結ぶ鉄線は細さと厚みを使い分け、耳に達するまで途切れずに続くため、大きく抜いた地透にも確かなまとまりがあり、鐔を手に取って向きを変えるたびに、輪郭と葉の重なりから異なる表情が現れます。 切羽台の上下には四つ木瓜形の小透かしを置き、左右へ広がる木葉の動きを縦方向から受け止めるとともに、八つ木瓜形の外郭とも静かに響き合わせており、上下左右の均衡を保ちながら、一葉ごとの向きと葉先の開きが景色に変化を添えています。幅広く取った切羽台と細く渡した木葉、外を囲む耳とのあいだに白い余白が大きく広がるさまは、光を通して眺めるほど輪郭を鮮明にし、装いに取り合わせた際には鞘の色を映して景色を変えます。 切羽台厚4.6ミリに対して耳は6.2~6.4ミリとしっかりとした厚みがあり、側面からは耳より中央が低い中低の造りが明瞭で、透かしを支える耳の量感と切羽台の締まった姿の対照に、尾張透鐔らしい力強さがよく表れています。表裏でつながる透かし際には時代を経た穏やかな丸みが見られ、落ち着いた鉄肌とともに手元で傾けてこそ味わえる見どころとなり、室町末期から江戸初期にかけての古い透鐔を好む愛刀家には、木葉と木瓜の形を練り上げた造形と、鉄と余白の妙をじっくり鑑賞していただきたい品です。
取扱店 刀心
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