二世紀半の泰平のあいだ、刀は武器である以上に武士の身分の標章であった。江戸の実証と大坂の華やぎのように都市ごとの作風が育ち、時代の末には需要も細っていく。
刀剣 鑑定書付:肥前国本行(NTHK鑑定書付属) 【解説】 本作は、肥前国(現在の佐賀県)で宝暦年間(江戸時代中期:1751-1764年頃)に活躍した四代本行による作と極められた一振りです。 初代本行について: 初代は当初「行平」と銘じ、自らを平安後期から鎌倉初期にかけての豊後国の名工、紀新大夫行平の末裔であると称していました。 寛永19年(1642年)に生まれ、当初は豊後国高田(現在の大分県)で作刀していましたが、延宝5年(1676年)、35歳の時に肥前国唐津へ移住。この頃に「河内大掾」を受領しました。 元禄7年(1694年)、江戸へ上った際に、古くから刀剣の研磨・鑑定を家業とする名門・本阿弥家より「本行」の名を授かり、以降これを名乗るようになります。権威ある本阿弥家から名を贈られたという事実は、彼の技量が極めて高く評価されていた証左と言えるでしょう。 また、江戸滞在時には鎌倉へも足を運び、相州伝の名門・綱広に師事して相州伝の奥義を学びました。 その後、唐津に戻った本行は、83歳の高齢に至るまで作刀を続けた記録が残っています。自らを「豊後太郎」と称し、また立派な髭を蓄えていたことから「髭河内」という愛称でも親しまれました。晩年には「松葉本行」とも呼ばれますが、これは「本」の字の書き方が松葉に似た独特の形状をしていたことに由来します。 本行の名は四代にわたって受け継がれましたが、特に初代の作品は愛刀家の間で非常に人気があります。各地を巡り、諸派の技術を貪欲に吸収して己の芸術性を高め続けたその情熱は、現代の我々の想像を絶するものがあります。本作の作域からは、彼が辿り着いた円熟期の高い技術力が遺憾なく発揮されていることが見て取れます。 【刀身】 長さ(Nagasa):67.6 cm 反り(Sori):1.7 cm 刃文(Hamon):焼き入れによって刃縁に現れる、変化に富んだ結晶構造。 地鉄(Jihada):折り返し鍛錬によって生み出される、美しい鋼の鍛え肌。 切先(Kissaki):刀身の先端部分。 茎(Nakago):柄に収まる中心(なかご)部分。 古い刀剣の茎に残る黒錆は、内部の腐食(赤錆)を防ぐ重要な役割を果たしており、その錆色や状態は、専門家が制作年代を特定する際の重要な指標となります。 鎺(Habaki):刀身が鞘に直接触れるのを防ぎ、刀身を固定して錆や欠けから守るための金具。 鑑定書: NTHK(特定非営利活動法人 日本刀剣保存会)鑑定書(第13492号) 日本刀剣保存会は、明治43年(1910年)に設立された、現代における最も歴史ある刀剣鑑定組織の一つです。本刀は令和7年(2025年)12月21日に鑑定を受け、本行の真作として認められました。ご購入者様には、この原本をそのままお渡しいたします。ご希望があれば、鑑定内容の英訳PDFも作成可能です。 銃砲刀剣類登録証: 神奈川県 第61789号 (神奈川県教育委員会発行の登録証が付属します)


















肥前 · 1716-1736頃
刀剣大鑑 上位87%
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江戸時代
二世紀半の泰平のあいだ、刀は武器である以上に武士の身分の標章であった。江戸の実証と大坂の華やぎのように都市ごとの作風が育ち、時代の末には需要も細っていく。
NTHKの中心的な鑑定書で、相応の出来を備えた作に発行されます。在銘作は銘の正真を、無銘作は審査員による刀工・流派の極めを示します。点数を記す詳細な審査表が付されます。
NTHK(日本刀剣保存会)は、NBTHK(1948年設立)に先立つ1910年に創立された、日本で最も古い刀剣鑑定団体です。長く会を率いた会長の没後、NTHKとNTHK-NPOの二つに分かれ、いずれも審査を続けています。NTHKの鑑定書は、点数と審査員の所見を併記する詳細な審査表が特徴で、特に無銘作の極めに定評があります。
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