芥子図笄 無銘(古金工) -Mumei (Ko-kinko)- 全長223.5ミリ 幅14.2ミリ 重さ45.6グラム 室町後期~桃山時代 The late Muromachi to Momoyama period 附属 保存刀装具鑑定書、桐箱 古金工とは、主として室町時代から桃山、江戸初期頃に制作された無銘の色金金具のうち、後藤家をはじめとする特定の流派へ帰属させず、その地金、魚子、彫法、古色などに古様を示す作品へ用いられる鑑定上の呼称です。本作には日本美術刀剣保存協会の保存刀装具鑑定書が附属し、「古金工」と明記されており、古い色金笄としての価値を確かな資料が支えています。 芥子は細い茎の先に可憐な花を開き、花後には丸みのある実を結ぶ植物であり、ひとつの株に花、蕾、実が移り変わる姿は生命の循環と豊かな実りを感じさせます。工芸意匠としても、細い茎の曲線、丸い実、柔らかな花弁という変化に富む造形を楽しめる画題です。 一体の山銅地を彫り下げることで画面と外周の小縁を作り分け、彫り下げた画面には魚子を打ち、芥子の花、蕾、実、葉を高彫で連続させ、花弁が開く姿、ふくらみを増した実、節を重ねて伸びる茎を一つずつ作り分けることで、細長い笄の形に沿って植物が下から上へ育つような流れを生み出しています。金などの色金を用いず、山銅そのものの色調と古色、彫りの高低だけで意匠を際立たせたところにも、古金工らしい素朴で力強い趣が感じられます。 鑑定書に記される「山銅魚子石目地」の肌合いは、均一に整えた後世の魚子とは異なる柔らかな揺らぎを持ち、肉高く起こした芥子の丸みとよく調和します。山銅の温かな褐色、彫り下げた画面の深い黒味、長い歳月を経て育った落ち着いた艶が重なり、華麗な色絵に頼らず地金と彫りだけで古拙な生命感を表したところに大きな魅力があります。 裏面は山銅の広い面を簡潔に見せ、表の濃密な植物彫と鮮やかな対照を作っており、全長22センチを超える堂々とした姿、室町後期から桃山へ遡る時代性、古色を保った地金、保存刀装具鑑定書が揃った、現存数の限られる古い笄の魅力を存分に味わえる収集価値の高い一口です。






室町
無銘
保存 (NBTHK)
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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